袁斌コラム

自身の悪行におびえつづける中国共産党

2017年07月28日 15時17分

 中国の人権派弁護士、高智晟氏(57)が執筆した『2017,中国起来(2017年 中国よ目を覚まして)』。ここには高弁護士が、当時の胡錦涛国家主席と温家宝総理に公開書簡を出し法輪功の問題を解決するように呼び掛けたため、公安当局に要注意人物として24時間監視下に置かれ、そして強制失踪させられ、拘束された獄中ですさまじい拷問をうけたことなどが詳細に記されている。中国共産党政権の圧政に対する高弁護士の明晰な分析は、読み手に様々な示唆を与えてくれる。

 中国の歴史を知る者にとって、中国共産党が悪の化身であることは周知の事実だ。中共当局が悪事を働く際、神をも恐れず思うがままに振る舞い、その行為は果てしなくエスカレートする。だが、彼らは同時に、自らの悪行が白日の下にさらされることを極度に恐れてもいる。

人権派弁護士高智晟 
新著の発表後から連絡が取れず

 このことについて、高弁護士は著書の中で次のように記している。「彼らの中に、およそ常人であればにわかには信じがたいような、2つの矛盾する思考が存在していることに気がついた。一つは悪霊に取りつかれたかのように悪事に手を染めること。もう一つは、悪事を行ってから、それが露呈するのを、やはり悪霊に取りつかれたかのように恐れているという点だ。この数年間、私に暴行や拷問を加える相手に、悪に加担しないのが一番安全なのだと、私はいくども言い聞かせている。だが彼らはそれには耳を貸さず、手を汚してから『ばれやしないか』と震えているのだ」

 ばれるのが怖いなら、最初からしなければいい。だが中国当局の指導者層から末端職員まで、こうした当たり前のことが分からなくなっている。このことを説明する良い例がある。

 高弁護士が当局から迫害を受けるようになったのは、2005年胡錦濤主席(当時)と温家宝総理(当時)宛に法輪功学習者への弾圧の停止を求める公開書簡を出したことが発端だった。この時から秘密警察による高弁護士一家へ24時間の大ぴらな監視が始まり、当局はありとあらゆる手段を使って嫌がらせをするようになった。

 だが、一個人としての彼らが、悪事に加担することがばれるのをどんなに恐れているかが露呈したのもこの時だった。なにしろ、カメラやビデオカメラを向けるだけで、屈強な警察官が死ぬほどおびえ上がるのだから。その様子を、高弁護士は2006年に台湾で出版された『神与我们并肩作战(神とともに戦う)』の中で詳細に描写している。

 2006年1月1日の昼過ぎ、敬虔なクリスチャンである高弁護士一家は日曜日のミサに出るため、車で教会に出かけた。車には家族のほかに、海外から取材にやってきた新聞記者とカメラマンが同乗しており、高弁護士の車の後ろには、監視のため私服警官の警察車両がぞろぞろと何台も連なってついてきた(注)。

 そんななか、カメラマンがふと、高弁護士の車を尾行していた私服警官の車にカメラを向けた。すると、それに気づいた私服警官が血相を変えて、顔を撮られまいと車を右往左往させた。普段は我が物顔で警察車両を走らせているくせに、この日ばかりは住み家から始めて外へ出たネズミさながらに、カメラを恐れて狼狽していたのだ。その様子に、高弁護士の車内からどっと笑い声が上がった。

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