中国で事故被害者を見殺しにする人が急増 「高いリスクがつくから」

2017年08月01日 14時02分

 道徳の崩壊を象徴するような出来事がまた、中国のネット上で話題になっている。2011年10月に車にはねられた2歳の女の子を大勢の通行人が救助せず、女の子が後に死亡した「小悦悦事件」はまだ記憶に新しい。今年4月下旬に同様の事件が再び起きた。中国人の道徳問題に関する議論が再燃した。

 11年10月13日午後5時半ごろ、広東省佛山市内で当時2歳の悦悦ちゃんが同じワゴン車に二度轢かれてひき逃げされ、数分後に別の軽貨物車にはねられた。現場を通り過ごした18人は彼女を無視し、悦悦ちゃんに手当てを施し母親に知らせたのは19人目の通行人、廃品拾いで生計をたてる女性だった。8日後に幼い命は病院で息を引き取った。

 当時、現場の監視カメラの映像がインターネットで公開され、国内外でショッキングな話題になったが、6年が過ぎた今年、同様の事件が再び起きた。

 Youtubeの映像に事件の一部始終が収められた。それによると、今年4月21日夕方、河南省駐馬店市内の大通りで赤信号の横断歩道に立ち止まった女性は、一台のタクシーにはね飛ばされた。タクシーは止まることなく逃げ去った。まだ意識のある女性は一度、頭をあげて周りに目線を向けたが、そばを通り過ごした20数人は誰も彼女を助けなかった。そしてまもなく、一台の乗用車が彼女の上を通過したのだ。

 こうした事は中国では決して稀なケースではない。6年前の悦悦ちゃん事件のときも、中国社会のモラル欠如を批判する声が噴出し、国際社会が「中国人はなぜこうなってしまったのか」と理解に苦しんだ。

 中国では「人を助けるには高いリスクがつく」という事情がある。人を助けたばかりに後に「加害者だ」とゆすられて多額の金銭を請求されたり、賠償金を狙った「被害者詐欺」が多発しているからだ。

 2006年、南京市の路上で、ある年配の女性が自ら転倒し負傷したのを見て、通行人の男性は彼女を病院に連れて手当てを受けさせた。男性はのちに、女性を転倒させたとして女性とその家族に裁判を起こされ、敗訴した。およそ4.6万元(約75万円)の治療費を負担する判決を言い渡された。判決をめぐって中国全土で熱い議論が巻き起こったが、この事件をきっかけに、事故被害者を発見しても助けない人が急増した。

 のちに、この出来事は中国人の道徳感を50年間後退させたと評された。この現象を招いたのは中国の現代社会で人と人の信頼を失ったことが原因だと、大紀元の中国問題専門家・袁斌氏は指摘する。「共産党は文化大革命など一連の政治運動を通じて、中国社会の礎だった『仁、義、礼、智、信』の伝統文化を排除し、共産党が好む『虚偽、悪、闘争』を中国に定着された。その結果、大多数の中国人は互いに信頼しない無情な人間に変わってしまった」

(翻訳編集・叶清)

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