THE EPOCH TIMES

焦点:中国「小切手外交」で攻勢、南太平洋諸国を借金漬けに

2018年08月04日 12時43分

Charlotte Greenfield and Jonathan Barrett

[ウェリントン/シドニー 31日 ロイター] - 南太平洋に浮かぶ島国トンガの首都ヌクアロファでは約10年前、死者が出るほどの暴動が発生し、ビジネスや政府庁舎の集まる中心部の大半が破壊された。

がれきの中から、政府は新たなクルーズ船のための埠頭建設や王宮の修繕を含む市の再建策を打ち出した。

そうした一切の費用は、中国からの融資で賄われた。

中国からの融資は当初6500万ドル(約72億円)程度だったが、現在は1億1500万ドルを超える。1年間の国内総生産(GDP)のほぼ3分の1に相当する。利子が膨らんだほか、トンガ全土の道路開発のために新たな融資を受けたためだ。

元金返済計画が9月にスタートするが、トンガの年間元利払い費は約2倍に膨れ上がることになり、同国政府は対応に追われている。

トンガの不安定な立場は、南太平洋の小国を直撃している広範な「負債疲れ」を示している。同地域が財政難に陥り、中国からの外交圧力にますます影響を受けやすくなるという恐怖も駆り立てている。

特に、同地域の小国への融資は、台湾承認を巡る中台の影響力争いで、中国に「てこ」をもたらすことになる。台湾は同地域で強力な外交関係を築いており、同地域は世界有数の中台勢力争いの現場となっている。

ロイターは南太平洋の島国11カ国の財務書類を分析。その結果、この10年で中国の融資プログラムによる債務残高がほぼゼロから13億ドル超に膨れ上がっていることが明らかとなった。

オーストラリアが南太平洋地域に対して大規模な援助プログラムを提供しており、いまなお最大の支援国ではあるものの、2国間融資においては、いまや中国が最大の貸し手であることを財務書類は示している。

中国からの融資は、トンガの対外債務全体の6割以上、バヌアツのほぼ半分を占めている。金額では、パプアニューギニアが約5億9000万ドルと最大で、同国の対外債務全体の約4分の1を占めている。

「経済の脆弱(ぜいじゃく)性や収入源の希少さを踏まえれば、多くが過剰債務に陥るリスクが高い傾向にある」と、世界銀行のマイケル・カーフ局長(東ティモール・パプアニューギニア・太平洋島嶼国担当)はロイターの電話取材に対しこう語った。

「こうした国々の債務は持続可能と思われる限界に達しつつある」

<戦略ツール>

自国経済が台頭し世界的影響力が増す中、中国は2006年から南太平洋諸国への融資を増加させており、それは他国との関係を強化する取り組みの一環だと、大半の専門家はみている。融資パッケージはインフラ建設プロジェクトに参入する中国国有企業にも機会を提供している。

中国企業は同地域の至るところに施設を建設している。バヌアツのルーガンビル港埠頭は上海建工が建設。クック諸島ラロトンガ島の水道施設は国有の中国土木工程集団が建設中だ。

中国外務省の華春瑩報道官は、同国が持続不可能な債務に責任があるという証拠はないと主張する。

「関係国の希望に沿って、われわれはできる限りの金融支援を行い、社会的・経済的な発展を促進する上で必要とされる支援を提供している。そうした国々からは肯定的に受け止められ、歓迎されている」と、同報道官は記者会見でロイターの質問にこう答えた。

中国とトンガの関係は「非常に良い」と同報道官は語った。

しかしながら、スリランカが債務危機の悪循環に苦しむ中、中国が戦略的に重要な南部ハンバントタ港の建設に融資し運営権を得たことは、融資も強力な戦略ツールであると中国が認識していることを示していると、専門家は指摘する。

中国の対外融資と外交に関するハーバード大学による分析の共同執筆者であるサム・パーカー氏は、ハンバントタ港の一件は「警鐘」だと指摘。南太平洋には同様の脆弱性があると同氏は言う。

「他国に借金をさせようという壮大な陰謀が中国にあったとは思わないが、融資しているからにはそれを利用しようとするだろう。地理経済学的に、中国は攻勢を一段と強め始めている」

実際に、最近の米国家防衛戦略は、中国が、とりわけ自国の有利となるようインド太平洋地域の再編を近隣諸国に強いるなどして、「略奪経済」を利用し戦略目標を達成しようとしていると警告している。また、先月公表されたニュージーランドの防衛政策も、中国の台頭により、南太平洋で混乱が高まっていると強調した。

<台湾問題>

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