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6月13日、日本人投資家が米国の商業不動産市場に目を向けているという。写真は1月、オレゴン州の建設現場(2006年 ロイター/Richard Clement)

米不動産市場に日本勢回帰の兆し、ファンドに資金投入

 業界専門家らによると、13年間におよぶ空白期間を経て、日本の景気回復によって得られる利益よりも高いリターンを求める日本人投資家が、米国の商業不動産市場に目を向けている。

 米不動産投資調査会社リアル・キャピタル・アナリティクスのディレクター、ダン・ファスロ氏は「日本勢が資金を調達している。何年ぶりかで、米国に焦点を合わせたマネーが存在する」と述べた。

 1997年のアーンスト・アンド・ヤングの報告によれば、1985年から1993年まで、日本人投資家の間で火の付いた米不動産購入ブームにより、米国には773億ドルのジャパンマネーが流れ込んだ。しかし1990年代初頭に米不動産市場の底が割れ、日本人投資家は数十億ドルを失った。当時は日本経済も低迷していたため、多くの日本人投資家が投資資金を本国に引き揚げざるを得なかった。

 今回、日本勢は不動産を直接所有し、企業のバランスシートに巨額のモーゲージを抱えようとはしていないとアーンスト・アンド・ヤングの世界不動産担当パートナー、マーク・グリニス氏は指摘する。その代わり、日本人投資家は不動産を所有する予定のファンドに資金を投入しているという。

 クシュマン・アンド・ウェークフィールドのブローカー、スコット・レイサム氏は「多くのグループではない。非常に少数だ。打診している感じだ」と語った。

 三井不動産<8801.T>米国部門のグラハム・ボンド最高業務責任者(COO)は、同社が4億─5億ドル規模の不動産ファンドを組成する計画であることを明らかにし、「われわれは資産を購入し、日本人投資家向けのファンドを組成する計画だ。巨大物件を購入するつもりはない。1億─2億ドル前後の小規模ビルを購入する」と述べた。同社は首都ワシントンのバーモント・アベニュー沿いのオフィスビルを購入したほか、ロサンゼルスにも物件を持ち、ハワイでは名門ハレクラニ・ホテルを買収し、再開発している。

 ボンド氏によると、同社の米国ファンドの負債比率は約30%。これは典型的な米不動産投資信託に比べて低水準。また、90%以上を借り入れで賄うことで知られているオポチュニティーファンドや多くのプライベートエクイティーと比べると極めて低い水準だ。

 ファンドを用いたアプローチは、米国市場から決して撤退しない一部の日本の不動産会社にもアピールするとクシュマン・アンド・ウェークフィールドのレイサム氏は話す。

 また、少なくとも不動産業界専門家の1人は、日本人投資家が中東の投資家の足跡に習い、米不動産市場でのビッグプレーヤーになると予想する。ジョーンズ・ラング・ラサールの国際ディレクター、ノーブル・カーペンター氏は「来年の今頃は『日本人投資家が交わした契約を知ってるかい』と話しているようになるだろう。昨年の今頃は中東マネーが投資場所を求め、今年実際に入ってきている」と語った。 

 日本の商業不動産のリターンは約4%であり、米不動産市場は既に過熱気味であるとはいえ、比較すればなお良好に見えると専門家らは指摘する。

 日本勢は1980年代のように米不動産市場の重量級投資家となるだろうか。アーンスト・アンド・ヤングのグリニス氏は「そうは思わない。世界的な見地の中で米国不動産をとらえる、慎重な多様化の一環となるだろう」と語った。

[ロイター13日=ニューヨーク]

 (06/06/14 16:32)  





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