THE EPOCH TIMES

人権の危機:臓器移植と臓器売買

2008年02月10日 15時14分
 【大紀元日本2月10日】医療技術の進歩により、腎臓などの臓器移植が世界中で増えているが、需要と供給のギャップは広がり続けるばかりである。

 たとえば、欧州では、移植手術の待機期間は平均で3年、2010年までに10年に延長するとみられている。

 西ヨーロッパだけでも、透析を受けている患者12万人のうち、4万人が腎臓移植を待っている。これらの患者の約15-30%が臓器不足のため毎年亡くなっている。

 
2月8日、ネパールのカトマンズで逮捕された臓器密売グループの主犯格とされる、インド人外科医アミット・クマール容疑者(中央)。臓器密売に利用された貧困層は500人にものぼるという(Prakash Mathema/AFP/Getty Images)

臓器不足の問題を抱える多くの患者は、臓器密売にかかわることになる。密売にかかわる犯罪者などは、貧困にあえぐ人々に自らの臓器を売る、安易なきっかけとして臓器不足を認識している。そこには莫大な利益の可能性があることから、そうした犯罪者は興味をそそられるのである。実際、腎臓提供者にはおよそ2500ドルから3000ドルが支払われるが、移植を受ける人は10万ドルから20万ドルを支払っているのである。

 2007年12月11日、IHEU-生命倫理アッピグナニ・センターは、「女性の地位向上とジェンダー問題に関する顧問国連事務所(OSAGI)」と欧州評議会と共催で、専門家のパネルディスカッション「人権の危機:臓器移植と臓器密売」を開いた。会期中は、倫理的、医学的、社会的、法的問題などが取り上げられた。

 臓器密売と臓器市場について、ついに討論された。ペンシルバニア大学のアート・カプラン教授は、中国の刑務所や強制労働収容所に拘束されている法輪功修煉者が、中国内外の裕福な臓器移植患者のための供給源とされていると、法輪功を愛好するグループが長い間懸念していることを取り上げた。

 聴衆の一人が、二人のカナダ人による独立調査報告について話した。二人のカナダ人とは、カナダ議会の元議員、デービッド・キルガー氏と、人権弁護士デービッド・マタス氏で、法輪功修煉者を狙った臓器狩りの調査結果をまとめた。
2007年11月15日、キエフの独立広場で行われた集会でインタビューを受けるデービッド・キルガー氏(Vladimir Borodin/The Epoch Times)



 法輪功修煉者から収奪された臓器は、移植のために使われた。適合臓器を必死に求め、すぐにでも買いたいという人々へ移植された。調査報告で、二人のカナダ人は、それまでに集めた33の証拠を提示した。それらの証拠には、文書のほか、目撃者の証言、中国の病院へ電話し、病院側が法輪功修煉者の臓器であると認め、実際に入手可能と発言したものまでがある。 この特殊な状況を詳しく知りたければ、 www.organharvestinvestigation.net または、www.david-kilgour.comを参照するとよい。
2006年7月17日、香港での記者会見で話すデービッド・マタス氏(Woody Wu/AFP/Getty Images)



 国連顧問のレイチェル・マヤニア氏は、前置きで臓器密売に対する貧困の重大性を強調した。貧困層は選択の余地がなく、そうした貧しい人々に対する見解も、パネリストらの意見がわかれるところとなった。欧州評議会の事務次長に女性として初めて選出された、モード・ドゥ・ボーア-ブッキオ氏は、臓器密売とたたかうために、多国間で協調する必要性を強調した。

 外科と移植のウエストチェスター医学部門のカーリド・ブット教授は、臓器移植における提供者の貧困について触れた。教授は、移植手術の歴史からはじめた。1954年に最初の腎臓移植が行われ、臓器移植が救命処置の重大な理由であるかどうかについても議論することになった。

 ニューヨーク大学移植外科のトーマス・ディフロ教授は、「移植旅行」が盛んになり、複雑な問題となっていることを議論した。米国の臓器ネットの最新データによると、昨年、3万件の臓器提供に対し、およそ9万8千人が臓器を待っていることが明らかになった。

 その際、ディフロ教授は、米国の医療保障関連の専門機関が臓器市場と臓器提供者への報奨金には反対しており、また、インドの臓器売買のデータによると、お金をもらった臓器提供者の暮らしぶりは結局良くはなっていない(つまり、平均年収のから見て)ことがわかるとしている。さらに、売買された臓器は、質が劣っていることが多く、被提供者から拒否される可能性も高くなっているという。

 教授は、臓器移植医としての自らの経験について話した。中国で死刑囚の臓器を移植されて帰国した中国系米人の患者が、その結果、重大な倫理問題として自らの心に沸いてきたという。教授は、あるリポーターと中国での調査を紹介した。その調査内容は、1999年の「ビレッジ・ボイス」に掲載され、中国人死刑囚二人が家族の同意を得ずに臓器を抜き取られたことが報告された。

 ディフロ教授は、2006年に行われた腎臓移植は6千件で、一件につき8万ドルかかるとすると、1年で約5億ドル稼げる現金商売であると見ている。

 教授から提示された対策としては、臓器密売を取り締まる法律の整備、「臓器提供国」の健康改善対策を始めること、違法臓器提供者の特定、海外で臓器移植を受けた患者に対しては医療保険を認めないなどを考える必要があるという。 その犯罪責任は、臓器密売移植にかかわる人物を全員にかかわるべきで、ブローカーや仲買人、はては臓器提供者にも対象に入るべきだという。

※アナ・リタ博士は、
IHEU-生命倫理アッピグナニ・センターのディレクター、アナ・リタ博士(www.iheu.org)

IHEU-生命倫理アッピグナニ・センターのディレクター。同センターは無党派、非政府組織で、国際社会が直面する生命倫理問題を思慮深く、タイムリーに調査・分析している。詳細は、 www.humanistbioethics.org まで。

(翻訳編集・月川)
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