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何清漣:金メダル獲得数世界一で失ったもの

 【大紀元日本9月4日】五輪は閉会し、中国は取敢えず、金メダルの獲得数は世界1位になり、収穫はあった。しかし、経済的勘定にしても政治的勘定にしても、中国政府は結果として負資産としか言いようがないのだ―――ここではっきりさせなければならないことは、政治的勘定をする必要がある理由として、中国政府は元から北京五輪を自国の国力および国威を顕示するための政治ショーに仕立てたからだ。

 まずは経済的勘定から見た場合、中国当局は開催権を取得した当時では、約4兆6千200億円しか五輪建設には費やさないと発表したが、北京市発展および改革委員会五輪経済顧問の黄為氏は、実際、2001年7月13日五輪開催権を獲得してから、2008年8月8日五輪開幕式までに合計57兆2千億円を投入したと発表した。これほどの巨額を投資しても、北京の重心地区においての経済成長率は僅か1%の引き上げだった。しかし、五輪を過信した部分によって、中国経済の頭である不動産が崩壊しつつある。この崩壊は近年不動産業で業績を伸ばした浙江明星南望企業グループにまで影響を及ぼした。

 浙江明星企業南望グループ、一新薬廠および富可達などが不動産に手を伸ばしたことから破産に追い込まれる窮地に陥った。さらに、不動産所有者が供給を断ち切ったことから銀行の不良債権の増加を加速化させた。これらの現状によって、中国経済は至る所で悲鳴をあげる企業や個人が増えるであろう。また、証券市場は2千300ポイントまで落ち守勢になっても、実は単なる始まりである。事態をどう収拾するかは見ている第3者までが冷や冷やして悩むところだ。

 次は政治的勘定である。政治的勘定は中国政府の中での重要性によって幾つかのランクに分けることができる。

 *国際名声。これは中国政府がもっとも欲しがっている「入金」である。しかし、政治的または非政治的角度からみても、負資産状態を呈していて、2007年よりさらに悪くなっているほどだ。政治的な面からみれば、中国が約束した北京五輪開催時の人権改善促進および報道自由の承諾実行を期待していた。しかし、中国当局はこれに対して、胡佳氏等を含む人権活動家たちを拘束した上刑を処し、「社会のあざ」とされた直訴者たちを北京から追い払い、3つの公園を開放し抗議デモ指定エリアを設けたにもかかわらず、デモ申請者を拘束し、抗議デモを不許可、報道およびインターネットを制御する行動で国際社会に答えた。当局は北京を警察、武装警察、保安らの管理制御下の軍事戒厳状態にした。

 非政治的な面における国際的信用と評判にも大きなダメージを与えた。開幕式の時の偽造花火は、花火の製造技術に影響が及んだのではなく、信用を失ったのだ。林妙可ちゃんの開幕式での口パク疑惑の議論がまだ冷めていない時に、女子体操の年齢偽称が浮上した。これに対して、国際メディアが大量の証拠を見つけたことで、大騒ぎになった。これらのすべてが中国の国家信用に影を落としてしまった。米ABCは題名を「五輪を完璧にするために、『偽造』のオンパレード」で、北京五輪の盛大な開幕式を報道した。また、「オーストラリア・センチュリー」紙では「人々に虚像を与える北京五輪」の題名で、偽歌手、偽花火、偽少数民族の子供を指摘し、五輪期間中の偽の報道自由、偽のインターネット使用許可、偽の人権改善の保証および観客席にいた偽観客をも指摘した。多くのメディアは「偽造・偽称」は北京五輪のイメージを歴史に刻まれるキーワードだと思っている。

 *政治凝集力の喪失。1984年7月29日以降、許海峰氏は米ロサンゼルス五輪で中国にとって最初の金メダルを獲得した。もっとも、五輪は中国の中では最初から宣伝部門とメディアに「強国夢」として宣伝拡大され、あるものないものの重荷を背負わされた。しかし、この状況は2004年には一時改善された。2004年アテネ五輪開幕式で、「五輪金メダルの落とし穴」と題された文章は多くのインターネットサイトで流行った。中国がアテネで金メダル獲得数2位を占めて帰国してから、当時、別の文章で題名が「1枚の銀メダルが7億元(約107億8千万円)」の発表で、全国スポーツ制の思考が始めて出て大陸で議論が白熱化した。その時の討論の焦点とは、教育および民主は金メダルより重要であること、国家財政の出支はもっとも必要とされるところに使用すべきだとの内容だった。しかし、今日人々が金メダルスポーツ制度に対する反省では、それに関連する資料、観点、持論は2004年当時に勝ることもないし、論議する自由もない。実際、当時金メダルスポーツ制度の弊害を論議したこと自体は、当局は五輪を人心凝集のための政治手段にした場合は、すでに効かなくなったことの現われだ。2008年北京五輪が悪名高い五輪になったとは、北京当局の自業自得で、北京五輪終了後、国際社会が中国の繁栄安定を目にするのではなく、当局が政治自信に欠け、その統治は民意の支持の無さを物語っている。

 
(翻訳/編集・余靜)


 (08/09/04 00:08)  





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