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中国企業の海外株式市場への上場件数が増加している一方、一部企業の財務透明度の低さ、また財務報告書偽造の発覚で、投資家に巨額な損失を被らせるケースがしばしば起きている。(TED ALJIBE/AFP/Getty Images)

海外上場16年で10兆円を調達 中国企業、不正頻発

 【大紀元日本10月14日】中国証券監督管理委員会(以下は証監会)の統計によると、1993年から今年7月末まで、海外の株式市場に上場した中国企業は154社となり、資金調達総額は1138億ドル(約10兆2420億円)に達したという。中国企業の海外株式市場への上場件数が増加している一方、一部企業の財務透明度の低さ、また財務報告書偽造の発覚で、投資家に巨額な損失を被らせるケースがしばしば起きている。

 中国経済問題専門家の何清漣氏によると、イギリスの法律事務所「ハーバート・スミス」の統計では、ニューヨーク市場に上場している香港・中国本土の企業のうち、11・5%が集団訴訟を受けており、また米国店頭株式市場「ナスダック」においてはこの数字が17・2%にまで上昇するという。海外市場で資金調達規模を拡大する中国企業には、投資家として慎重に投資を行うべきだ。

 1993年7月15日、青島ビールは中国国内企業として初めて香港のH株市場に上場した。それ以来、中国証監会は国内大型企業の海外株式市場への上場を大いに推進してきた。中国の経済成長により、中国企業、特に国営大型企業が香港だけにとどまらず、日本、シンガポール、米国と欧州の主要株式市場に上場するようになった。

 青島ビールは1993年香港H株式市場に株式公開したとき、多くの香港投資家を引きつけ、同社の株の応募買取率は110倍を超え、応募資金総額はほぼ111億ドル(約9990億円)に達していた。また、青島ビールの上場で当日香港株式市場終値は前日比で約28・6%上昇した。その後、青島ビールは国際預託証書(GDR)と米国預託証券(ADR)を取得し、米国ニューヨーク株式市場をはじめ、世界主要各国の株式市場への上場を果たした。米国株式市場に上場した初めての中国企業となった。

 1997年香港が中国に返還された後、中国建設銀行、中国工商銀行、中国電信、中国石油、中国移動、中国聯通などの国営大型企業が相次いで香港市場に上場した。香港は中国企業が海外で資金調達を行う主要拠点となった。

 2006年10月27日、香港市場に上場を果たした中国工商銀行は1株=3・07香港ドルの発行価格で取引を開始した。しかし、投資家からの買い注文が殺到したため、わずか3分間後に、その株価は1株=3・63香港ドルの高値に跳ね上がった。1日で、同銀行は190億ドルの資金を調達できた。世界最大規模の新規株式公開(IPO)となった。

 香港統計当局によると、今年4月までに、香港株式市場に上場している1200社の企業のうち、約470社が中国大陸系企業で、香港株式市場の時価総額の半分を占めているという。現在、中国国営と民間企業の海外株式市場への上場は香港にとどまらず、ニューヨークやロンドンなどの主要金融センターに拡大している。

上場企業、不正頻発 投資家が巨額な損失を被る

 中国企業の海外株式市場への上場件数が増加している一方、一部企業の財務透明度の低さ、また財務報告書偽造の発覚で、投資家に巨額な損失を被らせるケースがしばしば発生、海外投資家に中国企業への信用度を大きく失わせた。

 2003年11月中国最大手生命保険会社の中国人寿保険股份有限会社は当時の世界最大規模のIPOとして米国ニューヨーク株式市場に上場した。しかし、中国国家審計局の監査で、その親会社である中国人寿保険集団は、上場前に約6・52億ドルの違法資金が発覚したにもかかわらず、その情報を公開しなかった。そのため、同社の株価は高い水準のまま維持され、情報を知らない投資家が高い価格で同社の株を買わされてしまった。同社の不正が報道された後、米国の投資家らは中国人寿に対して集団訴訟を起こした。

 中国国営企業として2001年にシンガポール株式市場に上場した中国航油(シンガポール)有限公司は2004年12月、同社の陳久霖・最高経営責任者が石油デリバティブ取引で5・5億ドルの巨額な損失をもたらしことで、同社はシンガポール司法当局に破産申請を行った。報道によると、2003年石油デリバティブ取引を開始した同社は、国際原油価格の高騰で莫大な損失を計上したにもかかわらず、外部に情報を公開せず、また半年ごとに発表される決算報告書には、増収増益と偽りの内容が記載されていたという。

 事件発覚後、株式市場における中国航油の株式の取引が中止されたため、同社の株式を購入した機関投資家や個人投資家に巨額な損失を被らせた。また、シンガポール発展銀行が個人向けに中国航油などを含む主要大手企業株式関連預金商品(Rainbow Equity-linked Deposit)を額面5万シンガポールドルで販売していたが、事件発覚後この金融商品の価値が81・4%も急落し、投資金を5万シンガポールドル投入した投資家の手には9300シンガポールドルしか戻ってこなかった。そのため、7000人ほどの個人投資家は中国航油に対して集団訴訟を起こした。

 2006年6月、同じくシンガポール株式市場にIPOした教育サービスを提供する東方紀元有限会社は王越安社長が自社資金を私的流用し、長年にわたり収益や業績を誇張した偽りの財務報告書を制作していた問題が発覚したため、2009年3月に同社の株式はシンガポール市場において上場廃止となった。

 さらに、中国企業として初めて東京証券取引所に上場したアジア・メディア・カンパニー・リミテッドは2007年4月26日に、1株=640円の公開株価で取引を開始した。その6営業日後に、同社の株価は約2倍以上急上昇した。しかし、同社の崔建平・最高経営責任者が、同社資金の約16億円を私的に流用した事件で、2008年9月20日、東京証券取引所から株式の上場廃止の処分を下され、約5000人の個人投資家に損失を被らせることとなった。

(翻訳編集・張哲)


 (09/10/14 05:00)  





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