【大紀元日本10月29日】
私は外食をする機会が多い。ある日、レストランで微笑ましい光景が目に映った。隣に座っている40数歳の父親が、5才くらいの小さい娘に箸の持ち方を教えている。父親は、「見てごらん、箸は平行に持つんだよ。交差じゃないよ」と優しく教えている。たちまち、私の心は暖かくなった。その光景に、私は十数年前の記憶が蘇った。
私が小学生の頃、家族で楽しく食卓を囲んでいた時、父が突然、何か大きな発見でもしたかのように、みんなの会話を止めた。そして、私に動作を止めるよう指図すると、父はそっと正しい箸の持ち方を教え始めた。先ほど私が見かけた、優しく娘に持ち方を教える父親と同じだった。
父は丁寧に教えてくれたが、当時反抗期だった私は、箸なんかご飯を食べるための道具に過ぎない、おかずを掴めればいいのに、と少しふて腐れ気味だった。しかし、伝統と文化を重んじる父の指導で、一週間もしないうちに私は平行に箸を持てるようになった。それまでの交差した持ち方も忘れてしまった。
年齢を重ね、家族と離れ、卒業して社会人となった今、父が昔言っていたたくさんの事は、すべて正しかったと気が付いた。そのうちの一つが、箸の持ち方である。私が日本へ留学していた時、日本人の教授が私の箸の持ち方を観察していた。そして「あなたはよく躾られていますね。現在、多くの日本の若者や中国人は正しい箸の持ち方を知らない」と言って、私のことを褒めてくれたことがある。また、西洋人の同級生に箸の持ち方を教えていた時、今まで私が気にも留めなかった多くの中華文化は、西洋人にとって驚くべき智慧なのだと気がついた。中華文化は数千年もの間、引き継がれてきた智慧の宝庫なのだ。
周りで食事をしている人々を見ると、箸の使い方の正しくない人が多いことに気付いた。
私は、箸の使い方を学ぶ女の子を眺めながら、心が温かくなった。きっと、あの賢そうな女の子は、すぐに箸の持ち方をマスターするだろう。私は心の中で、正しい中華文化を教えてくれた父に感謝した。
(明心ネットより)
(翻訳:鈴木真弓)
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