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中国上海の街の風景(PHILIPPE LOPEZ/AFP/Getty Images)

2010年、中国経済に潜む政治的リスク

 【大紀元日本3月15日】2009年、中国経済は世界的景気不況を乗り越え、国内総生産(GDP)実質成長率が8・7%に達した。しかし2010年の中国経済には、依然として多くの政治的リスクが潜んでいる。

 3月2日付のロイターは、政治的リスクとして以下の5点を挙げている。▼貿易摩擦と人民元▼ネット検閲▼社会不安▼環境問題▼不動産バブル。これらの点を枠組みとして、以下、現状を検証してみた。

 (1)貿易摩擦と人民元

 欧米の主要経済国の対中貿易の不均衡は顕著で、2010年は、人民元切り上げのプレッシャーが一層高まると見込まれる。特に米国のオバマ政権は、今年11月の中間選挙を控え、国内産業を保護し雇用環境の改善を図るため、中国製品に対する反ダンピング措置は増加するだろう。一方、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月6日、全国人民代表大会で、「経済回復の基礎が依然堅固ではない」とし、現在の人民元政策を当面継続する姿勢を示した。専門家は、景気回復を図る中国政府が、2010年半ばまでは、人民元の変動を厳しく管理すると推測している。

 (2)ネット検閲

 今年1月、米国ネット検索最大手のグーグルは、中国からの事業撤退を示唆した。中国からの大規模なサイバー攻撃と、グーグル・チャイナに課せられた中国当局からの検閲要求に対する拒否がこの背景にある。これをきっかけに、中国国内の外資系企業や各国政府が、中国の商業・投資政策に不安であることが示された。今年、中国当局が、海外ネット関連企業に対して、ネット検閲措置を強化するか注目されている。また、中国当局は、国内のネット関連企業・業界が海外企業に対抗できるように、その保護政策を打ち出すことも予想される。

 (3)社会不安

 現在中国で起きている集団抗議事件は、年々増加しているにもかかわらず、まだ短期的で、一部の地域に限られたものである。また、今まで発生した事件のほとんどは地方政府の官僚に対するもので、当局による抗議事件への厳しい鎮圧により、抗議活動は地方に限定されている。しかし、都市人口も、物価や住宅価格の暴騰に対する不満を積み重ねている。広範囲の抗議活動に発展するとは思われない、しかし、国民の不満増大のため、当局は何らかの経済・金融政策を打ち上げ、早期に過熱した中国経済を沈静化することが余儀なくされるだろう。

 (4)環境問題

 中国の経済急成長は深刻な環境汚染問題を引き起こし、多くの国民は環境汚染を起因とする健康問題を懸念している。2010年は、中国の気候変動対策において注目すべき点が三つある。i) 昨年を上回る温暖化ガス排出削減目標を、当局が今年、実際に提出する可能性。ii)中国政府は2011年から2015年にかけて、5年ごとの「炭素強度」削減計画を実施する可能性がある。これにより、省エネ技術が大いに発達し、温暖化ガス排出量の試験的な取引の可能性。iii)環境保護措置の強化により法的基準が厳しくなり、業界の一部のプロジェクトにストップがかかる可能性。

 (5)不動産バブル

 不動産価格の暴騰で、住宅を購入できない中国国民がますます増えている。社会不満の一つの主因である。バブルが弾け不動産価格が急下落すれば、各銀行だけではなく、貯蓄した貯金で住宅を買った人々に大きな苦痛を与える。2008年、中国株式市場株価がその年のピークから70%急落したにもかかわらず、広い範囲での社会的騒乱にはつながらなかった。しかし、住宅価格の急落は、より多くの損失をもたらす。中国不動産市場への投資家は、次の二つの政治的リスクに留意すべき。i) 昨年急増した融資が、より大きく、よりリスクの高いバブルをもたらす可能性。ii) 当局による金融引き締め政策の内容。中国は2007年にもバブルの沈静化をはかるため、金融引き締め政策を実施したが、効果薄だった。

(翻訳編集・張哲)


 (10/03/15 01:35)  





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