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三峡ダム建設は生態環境と移住民の生活に「重大な問題」をもたらした(AFP)

三峡ダムによる「重大な問題」を指摘=重慶市副市長

 【大紀元日本3月7日】中国紙「京華時報」によると、重慶市副市長・譚栖偉(タン・シーウェー)氏が北京で開催中の全国人民代表大会重慶代表団全体会議で、三峡ダム建設は生態環境と移住民の生活に「重大な問題」をもたらしたと指摘し、当局に「三峡ダム管理条例」の早期制定と経済支援を求めた。

 貧困問題

 譚氏によると、ダム建設で移住を余儀なくされた15地区の住民は、移住後の失業率が8・1%で、21・9%の移住民が生活保護に頼って生活しているという。特に貧困問題が深刻な8地区では、失業率が8・95%に上り、1人当たりのGDPは全国平均水準の半分に止まっている。

 また同氏は、ダム建設に関連する産業構造が立ち遅れて、移住民に十分な就職先がなく、与えるべき補償金が今でも届いていないところは少なくなく、さらにダム貯水池周辺の人口密度が高く、耕地の不足の問題も重なり、貧困問題がより深刻になっていると述べた。

 環境破壊が深刻

 譚氏によると、土壌流失により、地面下の岩石が表面に現れるという「石漠化現象」がダム周辺の広い地域で進行しているという。

 更に、水質汚染も「重大な問題」の1つだと指摘。三峡ダムの水没地や周辺地域からの汚染物質の流入により、長江流域の水質が悪化、生態系への影響が懸念されている。上流地域の工業・生活排水対策が不十分であることが疑問視される中、今回譚氏は農薬の大量使用などによる農業汚染が汚染問題の7割を占めているとの見解を示した。

 農薬の大量使用は、農業の知識に乏しく、貧しい生活を送る農民が少ない耕地で多くの収穫を得たいがために起きた問題だと考えられている。貧困問題同様、移住民の働き口と耕地問題を解決しない限り、生態環境の破壊問題も解決されないとみられている。

 移住民が大幅に増加

 三峡ダム建設に伴い、当初は、140万人の移住が計画されていたが、2007年には、さらに400万人が移住させられる可能性があると当局が発表した。

 ドイツ在住の環境問題専門家・王維洛(ワン・ウェイロー)氏もかつて、ダム周辺の山崩れや地すべりなどの地質災害による生活用地の減少で、貯水池のある重慶市の周辺地域に移住が必要な住民は400万から500万人に上ると予測していた。今回の譚氏の発言の中でも、当地区の地質災害の発生は既に252カ所に上り、発生の危険がある場所は1万カ所あると指摘している。

 ダム建設およびその二次災害により、生活用地を取られた「三峡移住民」の受け入れ先として、都市化および工業化プロセスに組み入れるものとしていたが、その計画を実現するには、ダム建設により得た電力収入を、当該地域の経済支援にもっと多く回すべきだと譚氏は主張している。

(翻訳編集・張YH)


 (10/03/07 09:17)  





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