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一部の専門家は中国政府が4月15日までに人民元切り上げに踏み切る可能性があると見解している(AFP)

中国、4月15日までに人民元切り上げに踏み切るか

 【大紀元日本3月24日】米政府が中国を「為替操作国」に認定するかどうかを明示する、米国財務省為替報告書の発表が4月15日に迫っている。今後3週間で、中国政府が人民元政策に対してどのような動きに出るかが、注視されている。中国がいったん「為替操作国」と認定されれば、米国向けのすべての中国輸出製品に対する関税が、大幅に引き上げられることになる。

 各界が注目する中、22日、中国商務部・陳徳銘部長が急遽米国に飛び、人民元切り上げ問題への米政府の対応に怒りを表した。ワシントンポスト紙のインタビューに対して、「米国の一部の議員がもし中国に為替操作国のレッテルを付けようとするなら、あるいは中国製品に懲罰的関税を課すならば、中国は必ず反撃する」、「米国が為替レート問題で新たな貿易戦争を発動したら、最も打撃を受けるのは米国だ」などと厳しく指摘した。近々、訪米する副部長と一緒に米国商務部及び貿易代表と会談を行う予定だという。

 一方、米国財務省も国内からの強い政治的圧力に直面している。中国を「為替操作国」と認定すれば、米中の経済・貿易関係に深刻な打撃となることは確実だ。しかし、認定を再度見送れば、国会から強い非難を浴びるだろう。

 一部の専門家は、中国政府は「為替操作国」の認定を逃れるために、4月15日までに二度目の人民元切り上げに踏み切る可能性があると示した。小幅な切り上げにしても、また一回限りの切り上げにしても、「為替操作国」の認定と比べれば、損失は少なくて済む。

 フランス金融大手ソシエテ・ジェネラル・バンクのチーフ・アジアエコノミストのグレン・マグワイア(Glenn Maguire)氏は、中国政府は人民元切り上げ、または人民元再評価計画を諦めてはおらず、今年の4月か5月に中国政府は人民元の対ドル基準レート水準を5%から10%切り上げると予測する。マグワイア氏は、5%から10%の人民元切り上げにより、米政府が11月の米国中間選挙を意識して、中国に対してとっている、貿易・人民元問題における強硬姿勢は弱まると見解する。

 カーネギー国際平和財団のダグラス・パール(Douglas Paal)副理事長は「ボイス・オブ・アメリカ」(3月19日付)の取材に対して、中国政府は「為替操作国」の認定を逃れるために、4月15日の期限ぎりぎりまで、小幅に人民元基準レートを引き上げていくだろうと述べた。同氏は「中国金融管理当局の示唆したわずかな情報に基づき、中国政府は人民元為替レートを再調整していると判断した。その切り上げ幅は4月15日の認定を逃れるのに十分と思われる」と述べ、切り上げ幅は3%から5%という予測を示した。

 シンクタンクであるケイトー(CATO)研究所のジェームズ・ドーン(James Dorn)副所長は「人民元切り上げと同じ効果を得られる2つの方法が他にある。その一つは物価急騰、すなわちインフレである。二つ目は生産効率の上昇。しかし、生産効率を上げるには限度がある。またインフレは無論、中国政府が目にしたくないものだ。したがって、残るのは人民元切り上げしかない」と指摘する。

 「ブルームバーグ」18日付の報道によると、中国国際貿易促進委員会の張偉副会長は、人民元相場の上昇が国内企業にどのような影響を与えるかのストレステスト(耐性試験)を12業種において行った。海外メディアはこの動向から、中国政府が人民元切り上げの準備を進めていると分析する。これに対して、中国商務部は19日、同部はストレステストに関与していないと公言した。

 北京で開かれた「両会」中の3月6日、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は人民元政策について、「非公式の政策」を解除する時期を慎重に選ぶ必要があると、人民元切り上げをほのめかす発言をした。また、3月7日、同行の蘇寧・副総裁は「緩やかな元高は国に有利であろう」と発言したことを、中国国内の主要メディアが相次いで報道した。

 その一方で、温家宝首相は14日、主要経済国からの人民元切り上げの圧力に強く反発し、またその後政府系報道機関「新華社」をはじめとする国内メディアも一転して、人民元切り上げを求める欧米各国を批判的に報道した。

 中国金融管理当局と中央政府との間に人民元切り上げに関する相違があるように窺えるが、中国国内の一部の有識者は、「為替操作国」と認定され、その後に生じる貿易制裁が与える中国輸出企業への多大な打撃を考えれば、中国政府にとっては人民元切り上げは、もはや避けられないとの見方を示した。

(翻訳編集・張哲)


 (10/03/24 09:10)  





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