THE EPOCH TIMES

一枚のTシャツ、中国政府に脅威=米博士の実体験

2010年07月19日 15時29分
 【大紀元日本7月19日】在米インド人のスーマン・スリニワッサンさんは、米コロンビア大学でコンピュータを専攻する在学博士。北京の学術会議に出席した彼は、滞在中、中国の警察当局に強制連行され、3時間の取調べを受けた。その後、国外に強制退去させられた。彼が所持していた一枚の黄色いTシャツが原因だった。

 「法輪大法好、真善忍好」と書かれたこのTシャツは、「中国政府に脅威をもたらすもの」と中国の警官に告げられたスーマンさんが、北京での「悪夢」の実体験を語ってくれた。

 無線LANインターネットなどの技術開発を研究するスリニワッサン博士。彼の最近の論文は「2010年 IEEE 無線通信・インターネット技術・情報安全の国際会議」に採用され、北京での会議に招待されて、6月25日から28日までに中国に滞在していた。

 
北京の国際会議で自分の研究成果を説明するスーマンさん(大紀元)

会議が終了した翌日の6月28日、北京の歴史名所を観光するため、午後1時頃、天安門広場西側を歩いていたスリニワッサン博士は、突然2人の警官に囲まれ、その場で身体検査を強いられた。ブルーのワイシャツを着て、一枚の黄色いTシャツを手にしていた。

 警官は黄色いTシャツに「法輪大法好、真善忍好」の文字が書かれていることを発見したという。「一人の警官が私の腕を掴み、もう一人の警官は電話をかけはじめた」とスリニワッサンさんが話した。

 すぐに一台のパトカーがやってきた。スリニワッサン博士は、パトカーに押し込まれ、天安門広場の派出所に連行され、取調室に連れ込まれた。

 取調は3時間続いた。

 幅も奥行きも3メートル半程度の小さな部屋で、一人の警官が英語で質問してきた。その周りには5人の警官がいた。そのうちの一人の黒服に身を包んだ私服警官は、タバコを絶えずふかしていた。

 「なぜ、法輪功を愛好しているか」「どこからこの法輪功のTシャツを入手したか」「明慧ネット(法輪功の公式サイト)をよく閲覧しているか」「どうやって、学術会議の参加資格を得たか」などを尋問された。

 取調の最中に、警官は私服警官とよく意見を交換していた。スリニワッサンさんに聞かれたくないためか、二人はいつも部屋から出て話していたという。また、ずっと誰かに電話で状況を報告していた。明らかに関心の的は黄色のTシャツである。何回も裏返したりして検査し、100%綿であることまでも電話の相手に伝えていた。

 取調べの全過程は撮影されていた。

 この警官はスリニワッサンさんに、「あなたの行為は中国政府に大変な脅威をもたらしている」と告げた。

 自分は違法の行動をしたのかとスリニワッサンさんが聞き返した。北京のインド大使館に連絡を入れ、逮捕の法的根拠を示す文書の提示を要求した。その後、警官は、スリニワッサンさんが違法なことは一切していないと認め、その場で2つの要求に応じると約束した。

 3時間後、この警官は、インド大使館には連絡していないことや、逮捕の法的根拠の文書は提示しないことを通告してきた。

 「平気に約束を破る行為に、私は強い憤りを覚えた。その中の一人の警官の警察官番号は056024。取調を担当する警官は警戒する様子で、ずっと無線機でその名札を隠していた」と、スリニワッサンさんが話した。

 「米国政府は法輪功の修煉を許可するかもしれない。インド政府もあなたの修煉を許可するかもしれない。しかし中国では、我々はあなたの法輪功修煉を許可しない」というのが、中国警官の言葉だったという。

 最後に、中国入国ビザの取り消しを通告され、「法律」に基い臨時ビザ発給の160元(約2200円)の手数料を強要した。誠に滑稽な話だ。同日の米国行き航空券を持っているため、臨時ビザは不要だと再三に反駁したが、彼らは聞く耳をもたなかった。

 結局当日、スリニワッサンさんはそのままパトカーに乗せられて、空港に直行した。空港では5人の警官が彼を囲んで、特別通路から搭乗手続きを済ませた。

 取材の最後、スリニワッサン博士は、自ら共産党国家の人権状況を実体験し、体制下の警官の愚かさを目の当たりにしたと語り、「最も強く感じたのは、中国では人間の尊厳が完全に無視されていることだ」と話した。

 「中国政府の行為を回りのすべての人々に伝えるべきだ。旅行や出張で中国を訪れる人々にも直面するかもしれない危険を知らせるべき。中国を訪れる人がいなくなれば、中国政府も変わらざるを得ないだろう」と、スリニワッサン博士は、インドでIT会社を経営する父親にアドバイスされた。

(記者・李新、翻訳編集・叶子)


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