中国、一人っ子政策廃止

2016/01/27
更新: 2016/01/27

29日に閉幕した中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)で、「すべての夫婦が2人まで出産できる」と一人っ子政策を廃止することが決まった。深刻な少子化・高齢化問題、労働力減少に対応するためとみられる。

1979年に始動した一人っ子政策。強制的な中絶、避妊、不妊措置が導入され、違反者は行政処分や罰金を受けるなど、長年、国内外で強く批判されてきた。政策による諸々のマイナスの影響がより顕著になっていた。

まず、少子高齢化が急ピッチに進んでいる。2010年当時の14歳以下の人口は16.6%で、人口統計学の「重度少子化」の基準15~18%に達した。一方、世界保健機関(WHO)によると、2050年に60歳以上が全人口の35%を占める超高齢化社会になると予測されている。それにより、労働力人口が2012年から減少に転じ、「世界の工場」としての労働力資源の優位性が失われつつある。

中国政府は2013年から「夫婦のどちらかが一人っ子の場合、2人目の出産を認める」という緩和策を打ち出し、対象となる全国1100万組の夫婦から毎年200万人が生まれると見込んだが、実際のところ、2人目の出産申請は今年5月までに13%台にとどまっているとされる。その背景には「産みたくても、子育て費用が高すぎるから諦めてしまう」などの現状がある。米通信社ブルームバーグによると、中国で子ども1人あたり18歳までの平均年間生活費は2万3千元(約43万円)で、世帯平均年収が5万3千元(約100万円)の家庭にとって経済的負担が重すぎる。また、自身も一人っ子である若い世代の多くの夫婦は、高齢の親の世話や価値観などの理由で2人目を望まない人も多いとみられる。

政策の実施開始時期は明らかにされていないが、「早ければ年内とする」と中国メディアが報じた。

(翻訳編集・叶子)

関連特集: 一人っ子政策