THE EPOCH TIMES

【新紀元連載】重慶事件 薄煕来倒しのキーパーソンは習近平か 5

2012年04月19日 10時58分
 【大紀元日本4月19日】王立軍から薄煕来。亡命騒ぎから始まった事件はいよいよ中共の中枢部に迫ってきた。10日、とうとう党の全役職が停止とされた薄煕来に党中央がメスを入れたのは先月、全人代が閉会した翌日だった。当時、重慶市共産党委員会書記の解任を決めたのは胡・温両氏だが、新紀元誌が入手した情報によれば、同事件について対外的に沈黙を守り続けていた習近平・副主席こそ、最も決定的な役割を果たしていたという。

習近平、薄煕来の運命を握る

 北京の情報筋が本誌に寄せた情報によると、王立軍事件が起きた2月に、中共中央政治局常務委員は2回にわたり会議を開いた。その席で温家宝首相は、王立軍事件は、重慶市の過去数年の政治手法に「明らかに問題がある」ことを示したと指摘し、中央政府は重慶に対する徹底的な調査を行わねばならないと強調した。これに対し、他の8人の常務委員のうち、賀国強と李克強は賛成。周永康は王立軍事件が個別案件であり、薄煕来の重慶での業績を否定できないと主張した。李長春と賈慶林もほぼ周の意見に同意。胡錦濤と江派の呉邦国は意見を表明しなかったため、習の態度が決め手となった。

 2月のこの2回の会議で習近平は中立の立場を保ったという。しかし、3月13日に開かれた常務委員会議で、習は今までの立場を破り、「事実に基づいた全面的な調査」に賛成し、温家宝首相への支持を表明した。その後、呉邦国も同意を示した。習のこの態度の転換が、翌14日の温家宝の薄煕来非難につながり、さらに、15日の薄解任につながったという。

 同情報筋によれば、習近平サイドは、薄の出過ぎた行為にかねてから反感を持っており、薄の鉄腕ぶりと、彼がメディアに持つコネが今後、習を脅かす存在になるのではと心配していた。習は薄と違い、物腰静かで実務的。彼はここ2年間、何度も「誠実な人に損をさせない」と話している。また、別の情報筋によると、習にとって薄が悩みの種であり、重慶事件により、習は胡温の手を借りて悩みを解決することができた。

周永康、非難の標的に

 周永康は政治局常務委員の中で唯一、公に薄の肩を持った人物だ。北京の同筋によると、周が薄の「打黒(暴力団掃討)」を積極的に支持し、その見返りに薄も周一族に儲ける機会を積極的に用意した。

 また、情報筋は、胡錦濤主席は王立軍事件で、四川警察が米総領事館を包囲したことに相当な不満を抱いたことを明らかにした。その四川警察を動員する権利は政法委員会の書記・周永康にあるからだ。米国との外交事項も絡むにもかかわらず、周が政治局の許可なしで勝手に行動したのだ。

 中国で軍隊動員権は1950年代以後、厳格に制限された。小隊以上の部隊を出動させる場合、必ず中央軍事委員会の許可が必要。江沢民が90年代以後、150万の解放軍を武装警察に改編した後も、武装警察を出動させる場合は同じく中央軍事委員会の認可が必要だった。

 しかし、2000年に入ってから、中国全土で集団抗議事件が急増した。2006年、周が政法委員会副書記に就いていた頃、以前の制限が緩和され、中隊以下の武装警察動員権を各省の政法委員会に譲った。連隊規模の武装警察動員権は中央政法委員会にある。なお、連隊を超える武装警察の動員権は依然として中央軍事委員会の承認が必要である。

 一方、重慶事件以後の3月初め、北京市では突然新しい規定が制定された。突発事態が発生した時、武装警察部隊は「行動と同時に報告・許可申請が可能」という内容だ。北京武装警察は本来、軍部に直属しており、中央軍事委員会の許可なしで行動できない。専門家は、この規定は周永康が政変を起こす用意の一環だと見ていた。

 薄煕来への支持を煽動する北京大教授が解任

 著名な左派教授、北京大の孔慶東は3月8日、ウェブ動画ニュースサイト「第一視頻」の番組で、「あなたは薄煕来のために何をしたか」や「街に出て薄煕来を支持しよう」と発言し、胡・温を激怒させたという。政治局の事務機間、中央書記処は13日、北京大学に「孔慶東を処分」するよう通達し、同日、北京大は孔を解任した。左派が中央に挑む番組がウェブに公開されたことで、中央宣伝部の責任者・李長春も胡主席に非難されたという。「毛沢東旗幟」や「烏有之郷」などといった左派サイトが全面的に封鎖されたのはそれに続いた動きだった。

江沢民派も薄をめぐって意見が分かれる

 薄は江沢民派と密接な関係がありながら、江沢民派のメンバーらに警戒されている。その理由は薄氏が極左主義を唱え、重慶で現地の実業家への取締を強めていたからだ。彼が「打黒」や「共同富裕」などといった名義で、実業家らを非道な手段で攻撃し、彼らの莫大な財産を没収した。彼のこの行動に、いずれも億万長者である江派メンバーは脅威を感じていた。だが、一部のメンバーは薄に温家宝の制御を期待したいという下心から、薄の政治野心を支持していた。

 江沢民は現在、最期を迎えていると言われており、一派は身の寄せ所を探している。このことは、重慶事件でメンバーらがそれぞれ他の派閥に分かれた状況からも読み取れる。北京の情報筋によると、習近平の部下らは現在、活発に活動しており、今後に関する意見も最も進取的だという。習は自身の政治的基盤を築き上げるため、今後の一年でさらなる活躍を見せるだろう。

 (翻訳・王君宜)
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