中国大連、軍艦専門家3人が台風で死亡 新型原潜を補強作業中か

2018/08/27
更新: 2018/08/27

中国大連市で軍艦専門家3人が20日、台風18号による高波にさらわれ死亡する事故が起きた。3人は初の国産空母を建造している中国船舶重工集団(中船重工、CSIC)傘下の大連760研究所に所属していた。中船重工は事故について、埠頭(ふとう)に停泊中の「設備」の補強を行う際に起きたと説明しているが、軍事専門家はこの設備は新型原子力潜水艦の試験艦だと推測している。

中船重工は22日、自社のWeChat公式アカウントで事故が発生した当時の状況を説明した。設備の固縛補強をはかる応急措置を行なっていた4人の作業員が激しく揺れていた設備のうえで孤立状態になったのを見て、760研究所の黄群副所長など12人が支援に加わったが、うち7人が高波に飲み込まれ、相次いで海に転落した。数時間に及ぶ救助活動の末、4人が救助され、黄副所長や現場総責任者、機電課長ら3人が死亡した。

中船重工は事故現場を「国家の重点的な試験用プラットホーム」とし、「科学研究のための専用の海洋試験装置で、中国船舶の核心となる技術レベルを引き上げるためには非常に重要である」と述べたが、設備の詳細には言及しなかった。

24日に複数の中国メディアに公開された事故現場の映像では、埠頭に停泊中の艦船が暴風や高波に打たれ、激しく揺れていた。係留するワイヤロープはすでに抜け落ち、一部のボラードは曲がったり折れたりしている。転覆や沈没の危険が差し迫っているという状況が見られる。

24日の香港紙アップル・デイリー(蘋果日報)は、軍事専門家の黄東氏の分析を引用し、事故現場の設備は開発中の初の国産新型原子力潜水艦であると伝えた。「760研究所は過去数十年間にわたり、大型水上艦の建造を手がけた。今回、原子力潜水艦は初めて建造するため、経験不足だった」

一方、死者3人はいずれも中国トップレベルの軍艦専門家で、うち2人が軍職を持つことから、造艦を監督する海軍軍官の可能性もあるという。黄東氏は今回の事故は今後の建造計画に影響が出るとみている。

国有大手の中国船舶重工集団は中国最大の海軍造船会社で、世界上位500社にランクインした中国唯一の造船会社である。現在、同社の大連造船所で中国初の国産空母を建造しているほか、すでに就役した遼寧号のメンテナンスも担当している。傘下の760研究所は遼寧省大連市に位置し、船舶の騒音・振動の計測および海洋工学などの研究開発を行っている。

(翻訳編集・王君宜)

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