「北戴河会議」開幕 指導部や長老集結 経済政策・党運営が議題

2013年08月07日 17時30分
【大紀元日本8月7日】北京から東へ車を3時間走らせれば、河北省の避暑地・北戴河にたどり着く。この人口わずか7万人の地区は毎年夏になると、指導部や党長老らが集まり、党や国運営の重要方針を話し合う場となる。「第二の首都」との別名をもつ北戴河での非公式会議が今年も始まった。

 ドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレは6日、北戴河の今の物々しい雰囲気を伝えた。「湾に停泊している3隻の軍艦」や「疾走するスモークガラスの車列」から、「北京の指導者が今年も来ていることが窺える」

 習近平指導部が発足してから初めての「北戴河会議」。「今年はとくに張り詰めた空気」とドイチェ・ヴェレが評した今回の会議では、今後の経済構造改革や党の運営、元重慶市トップの薄熙来被告をめぐる裁判などが議題になるとみられる。

 利益争い

 清華大学の政治学者・呉強氏はドイツ通信社の取材に対し、「今回の会議の中心議題は李克強首相の経済政策になる」との見方を示した。「利益集団との間の駆け引きが事態を複雑にするだろう」。4大国有銀行(工商・農業・建設・中国)は一つの利益集団を為し、その他、地方政府や産業各界もそれぞれの利益のために、激しい攻防を繰り広げると呉氏はみている。

 会議直前の7月30日、習氏主宰の中央政治局会議が開かれ、財政・金融改革を今後も「深く推進する」ことを当面の方針として決定した。指導部は長老や利益集団の介入を懸念し、けん制の一手を打った構図だ。

 しかし、成長重視から歪み解消への経済政策の転換をはかる李首相の前には、「影の銀行(シャドーバンキング)」問題や金融不安、経済成長の鈍化や就職難、さらに、これらによる社会不安が立ちはだかる。

 中国政府直属の審計署(会計検査院に相当)は1日、採算を度外視した地方政府主導のインフラ整備などを対象に、全国一斉の債務調査に乗り出した。地方の歳入の伸びが鈍っている一方で、傘下の投資会社の債務償還が今後ピークを迎える。この局面に政府も危機感をあらわにした。ただ、今回の調査について、ドイツ通信社は政府高官の話として、政府が全面調査に取り掛かったのは、「地方債務がいかに破局的な状況にあるかが、それほど分かっていない」からだと指摘した。

 10月には党中央委員会第3回全体会議(3中全会)が予定されており、中国の中長期の経済政策などが決定される。その準備会議となる北戴河会議で、習指導部は、各勢力・利益集団の駆け引きを取りまとめ、政権の基盤固めをはかることが肝要。今後の経済構造改革の行方もそれに左右されることになる。

 勢力争い

 一方、党内勢力の争いが北戴河会議を前に表面化している。5日、中国共産党系メディアに政治体制をめぐる論争が勃発。党の機関紙・人民日報は、憲法に基づいた国の運営を主張する「憲政推進派」は「実質上、自由主義思想に賛同し、平和的手段で『資本主義憲政』に移行させることが狙いだ」と厳しく批判した。

 この論調に対し、同日、党の高級幹部を養成する中央党校の機関紙・学習時報は、「執政党は政治体制改革に長けるべき」と題する記事を掲載し、今の中国で政治体制改革を行う「必要性」と「緊迫性」を強調した。

 現在、中国共産党の意思は実質的に憲法よりも上位に位置づけられている。憲政の実行は、共産党の権力に法的制限を設けることになり、共産党の指導体制が脅かされる。しかし、法治の欠如は、共産党幹部の腐敗や環境汚染の温床ともなり、社会不安の火種になっている。

 政治体制をめぐる論争が北戴河会議前に表沙汰になることは、党内勢力間の対立を浮き彫りにしている。この論争は北戴河会議で収束することはないが、各勢力がより有利なパイの配分に躍起になっている。

 法治の試金石ともなる薄熙来被告の問題にも手を焼くはずだ。近く初公判が開かれる薄被告の後ろ盾の江沢民ら保守派は依然、習指導部に揺さぶりを掛けている。

 国営新華社は、薄被告の罪状として巨額の収賄や横領、職権乱用を挙げたが、収賄と横領の総額は2500万元(約4億円)と少ない。ドイチェ・ヴェレによると、当初、取り調べに非協力的だった薄被告は一転、協力姿勢を取るようになった。党内安定を重視した習氏ら党指導部と、薄被告やその背後にある江氏ら保守派との間で何らかの取引があったことが窺われる。今月中にでも開廷がささやかれる薄被告の量刑は、今回の北戴河会議で最終的に決まるとされる。

(張凛音)


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