中国富裕層の移民ブーム 各国の対応策さまざま

2014年08月26日 21時35分
【大紀元日本8月26日】海外移住を望む中国人が増える中、6割強の富裕層は移民をしたか、または移民を申請中か、検討中との報告がされた。同移民ブームに対して、手を広げて歓迎する国もあれば、移民政策を緊縮する国もあり、各国はさまざまな対応策を講じている。その現状を追跡した。

 中国の民間調査機関、胡潤研究院は2013年度末発表の報告書で、関連の調査結果を明らかにした。

 それによると、調査の中で「海外に移民した」、「移民申請中」、「移民検討中」と答えた総資産160万ドル以上の富裕層は64%に達し、前年度比6.7%も増えた。そのうち、総資産1億元(約16億7千万円)以上の人の3分の1はすでに海外に移民済みという。

 同報告書によれば、上記の980人の聞き取り調査の結果、もっとも多い移民の理由は、「子女の学校教育」「政治・社会不安から資産を守る」「安心できる老後生活」「環境汚染」「食の安全」の順だった。移民先としての人気順位は、米国(52%)、カナダ(21%)、豪州(9%)、欧州(7%)、ニュージーランド(4%)、シンガポール(3%)、香港(2%)、日本(1%)である。

 移民ブームはまだ始まったばかりともいわれている。

 各国の投資移民政策

 まず、世界最大の移民国家である米国をみてみよう。

 昨年、50万ドル以上投資の外国人に永住権を交付するという米国のEB-5投資永住権プログラムでは、中国人がそのビザ発給枠の8割を占め、6895人に上り、2位韓国の364人を大きく超えた。

 全米不動産協会のデータによると、2013年3月からの一年間、中国人が購入した米国不動産の総額は220億ドルに達する。

 投資移民だけでなく、留学も相変わらずの人気だ。米国国際教育研究所の統計では、2013年に米国大学に入学した中国人留学生は23.5万人に達し、前年度比21%も増加した。中国からの中・高校生の留学生数も上昇しているという。

 さて、同じく移民大国であるカナダはどうなっているのか。

 同国移民のうち、中国人の数が最多。カナダ紙グローブ・アンド・メールの報道によれば、過去28年間の中国人投資移民(香港と中国本土)の数は13万人を上回った。

 一方、カナダ政府は今年2月、投資移民プログラムの中止を発表した。5年間に80万カナダドル(約7600万円)を所定の案件に投資すれば、永住権を取得できるという同プログラム。英国や豪州と同様のプログラムの規定の最低投資額よりかなり低いため、中国人申請者が殺到した。この現状に対する国民の反対の声が高まったことから、プログラムが中止されたとみられる。

 2004年から移民政策を大幅に緩和させ、中国人移民を大量に受け入れてきたニュージーランドも2013年末、同政策の見直しを発表した。

 「中国からの移民に極めて友好的だった」とされるシンガポールは2012年、永住権取得5年後の家族全員の長期滞在や、経済と雇用への貢献などの条件を設け、申請のハードルをあげた。

 一方、英国や豪州は、より資産の多い中国富裕層の受入れに積極的である。

 英紙デイリー・メールの報道によれば、昨年英国の投資移民ビザ(最低投資額100万ボンド、約1億7200万円)の取得者の3割は中国人だという。

 豪州は2012年末、最低投資額500万豪州ドル(約4億8000万円)の投資移民政策を発表。移民当局の最新データによると、同申請者545人のうち、9割強は中国人だ。

 それに比べ投資要求額が大幅に低い欧州の小国も、移民先として人気が高い。

 スペインや、ブルガリア、ギリシャーなどが2012年から相次ぎ、不動産投資を前提条件とする移民政策を打ち出し、中国人移民の心をわしづかみにした。

 各国の同不動産最低投資額を調べてみた。スペインは50万ユーロー(約6850万円)で居住権取得、ブルガリアは同金額で国籍取得、ギリシャーは25万ユーロー(約3425万円)で居住権を取得できる。ブルガリアの同国籍取得者のうち、9割は中国本土と香港からとも報じられた。

 一方、「中国上場企業の最高経営者らのベストの移住先」として意外な国の名が挙げられた。イギリス連邦加盟国、西インド諸島の小国「セントクリストファー・ネイビス」である。中国国内の複数の有名実業家がすでにその国籍を取得したと報じられた。移住目的は同国での事業展開と株式上場だという。

 中国人移民と移住先国との隔たり

 中国人の投資移民は永住権目当てであることから、多くの人は移民先国に家族だけを残し、依然として中国で事業を運営する。そのため、「技術移民よりも移民先国への貢献度が低い」と問題視され、カナダ移民問題の専門家は「これは、カナダ政府が投資移民プログラムを中止する一因だ」とみている。

 また、政治、生活習慣、言葉などの要因から、投資移民を含め多くの中国人移民が現地社会に溶け込めず、チャイナタウンに固まっているのも現状。カナダでは、「チャイナタウンは将来、中国領化するのではないか」と懸念されている。

 「各国は中国人の富を歓迎しているが、その生活スタイルを必ずしも理解しているわけではない」との見方も多い。

 技術者に交付されるビザ「技術ビザ」でカナダに留まっているある女性は、「カナダは移民国家だが、移民を歓迎していない」と中国人の目線で語った。

 また、中国人富裕層は世界各地で札束を積み上げて不動産を買いあさっているが、カナダや、ニュージーランドなどでは、「中国人は不動産価格上昇の災いの元」と一部地域の住民の反感が高まっているのも事実だ。

 国連が6月7日に発表した「2013世界移民報告」によると、2013年時点で海外に移住した中国人は930万人に達し、インド、メキシコ、ロシアに次いで世界4番目の移民輸出国となった。中国国内からは、「大量の海外移民は人材確保と経済・社会の発展にマイナスだ」との論争が勃発している。

(翻訳編集・叶子)


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