分析 ルペン氏はフランス初の女性大統領になれるか?

2017年05月06日 13時00分

 7日にフランス大統領選の決選投票を控える中、中道派のエマニュエル・マクロン前経済相(39)と極右「国民前線」のマリーヌ・ルペン候補(48)は現地時間3日夜、最後のテレビ討論会に臨んだ。両候補は、国内経済、失業問題のほか、欧州単一通貨「ユーロ」離脱やテロ対策に重点を置き、約2時間半にわたり激論を交わした。

 フランス語では、マクロン氏の「Macron」の発音が、色鮮やかなフランスのお菓子マカロン「Macaron」に近く、ルペン氏の「Le Pen」とパンの「Le Pain」の発音に近い。そのため、国民の間では今回の大統領選は、日常生活に欠かせないパンを選ぶのか、それともお菓子を選ぶのかと皮肉る人もいる。

 仏調査会社Elabeが、テレビ局「BFMTV」の視聴者に対して行った簡易民意調査では、約63%の人がマクロン氏が「説得力があった」と示した。ルペン氏の敗北を早くも予測した。

 しかし、双方の立場とフランス国民の意見を分析すれば、ルペン氏の当選の可能性は依然残されている。

 ルペン氏は自身が率いる「国民戦線」が、父のジャン=マリー・ルペンが党首を務めた時代から「極右」色が強かったため、近年やや左傾化し、伝統的な価値観を尊重する保守的な右翼政党に変身させた。ルペン氏は選挙中、大統領に当選すれば、反グローバル政策の実施、そしてフランスの国家主権を取り戻し、国境管理を回復するなど、「アメリカをふたたび偉大に」ならぬ、「フランスをふたたび偉大に」と宣言していることから、一部のフランス国民から支持を得ている。

 一方、マクロン氏の政治観点は中道的だが、よく変わっている。マクロン氏は一時期、左翼の社会党党首でもあるオランド大統領の後継者と見なされていた。しかし国民の多くが近年右翼政党に傾いたのをみて、同氏はオランド大統領らと決別し、「左派でも右派でもない政治」を目指す新たな政党「前進!」を創設した。にもかかわらず、同氏が提唱する多くの政策は現在オランド政権と大きな変わりがないのが痛いところ。

 またマクロン氏は左派と右派の両方から支持を獲得するため、矛盾する発言が少なくない。例えば、選挙中に「ファシズムと共産主義は20世紀において最大な災いだった」と発言したが、しかし以前自らのことを「毛(沢東)思想主義者」と言い、毛沢東を崇めているという。

 フランスでは一部の評論家が、投資銀行員だったマクロン氏について「英語を話し、ドイツを愛し、フランスではなく欧州の利益に一致する政治家だ」「権勢のある人に取り入って出世しようとしている」と批判した。多くの労働者階級国民は、銀行家利益を代表するマクロン氏のことを好まない。 

 さらに、今回のフランス大統領選は左派と右派との闘いではなく、フランスの「愛国主義」と「グローバル主義」との戦いだとの認識を示す人がいる。ルペン氏は欧州連合(EU)からの離脱、不法移民への入国制限、フランス第一を、一方マクロン氏は、ドイツが主導するEU体制の維持、移民への容認、グローバル化を唱える。

 経済が停滞しているフランスでは、今年2月若者の失業率が23.6%に達した。2015年以降、約230人以上のフランス国民がイスラム過激派によるテロ事件に巻き込まれて死亡した。

 3日のテレビ討論会では、現在フランスが直面する多くの問題をめぐって、両氏は激論を繰り広げた。経済と雇用に関して、マクロン氏は過去30年において、政府が失業問題にきちんと対応しなかったことを認め、当選すれば中小企業により多くの雇用機会を創造していくと宣言した。しかしルペン氏は、同氏が経済相だった当時、なぜ改善できなかったかと追及した。

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