「次世代のリーダー」孫政才氏失脚の裏側

2017/07/25
更新: 2017/07/25

中国共産党中央規律検査委員会(中規委)は24日、孫政才・前重慶市党委員会書記を「重大な規律違反」で調査していると正式に発表した。

同氏は15日に重慶トップを退き、後任には習氏最側近で貴州省党委書記だった陳敏爾氏を充てられた。その時点で同氏の失脚は確実視とされた。

同氏は25人がいる中央政治局委員会のメンバー。直轄市重慶市のトップは最高指導部、いわゆる「チャイナセブン」をうかがえる「花形ポジション」。孫氏は19大で最高指導部入りを果たすとみられ、「ポスト習近平」としてもてはやされていた。それだけに、同氏の失脚による衝撃は大きい。

しかし、なぜ自身の後継者とされる人物までやり玉に挙げたのかーー大紀元が入手した情報によると、孫氏は江沢民派が推した後継者だった。現在、江沢民派と熾烈な戦いを繰り広げている習近平氏にとって、孫氏を失脚に追い詰めたことはさらに駒を進めたことになる。

孫氏は江沢民派だった

孫氏が重慶市トップに就任したのは2012年11月。当時の二大勢力は胡錦濤前主席を筆頭とする「団派」(共産党の青年組織、共青団)と江沢民派。中南海に近い情報筋が大紀元に寄せた情報によると、この二大勢力の駆け引きで同氏の就任が決まった。江沢民派は孫氏、団派は胡春華氏(現広東省委書記)とそれぞれ推した。胡氏が国家主席候補で、孫氏が首相候補という見方もあった。

孫氏はもともと農学博士で、北京郊外で研究生活を送っていた。VOAの報道によると、孫氏は北京農林学院で副院長を務めた際、江沢民氏の妹・江沢慧と知り合い、そのつてで江沢民とつながりを持った。その後、出世を重ねていった。

さらに、北京順義県党委書記に在任中、格安の値段で同県の土地を前国家副主席・曾慶紅氏の息子に売却し、一族と親しい関係にある。同氏の妻はすでに失脚した令計画前中央統戦部部長の妻を中心とする民生銀行「夫人倶楽部」の一員でもある。同銀行は妻らを通じて高官に資金提供していた疑惑をもたれている。曾慶紅氏、令計画氏はいずれも江沢民派のメンバーだった。

習近平氏、長老の影響力を排除

同情報筋はさらに、孫氏の失脚は党内権力の再編を意味すると指摘した。

共産党内で、後継者をめぐって「隔代指名」という不文律がある。六四天安門事件後、当時の趙紫陽総書記は失脚し、鄧小平は江沢民をトップに据えた。江沢民以後はようやく、2期10 年を務めると交代するルールが定着し、江沢民を継いで、鄧小平の指名した胡錦濤がトップとなった。今の習近平主席もやはり江沢民から指名を受けた。鄧小平氏も江沢民氏もこのやり方で、党内で影響力を保ってきた。

中国の内情に詳しい「逍遥公」と名乗る人物はツイッターで、「孫氏の失脚で江沢民派最後の希望は消された」と評した。

習近平主席は江沢民派の後継者を引き摺り下ろし、これまで続いた「長老支配」に終焉を告げ、そして江沢民派存続の道を完全に閉ざした。

(翻訳編集・高遠)

 

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