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破裂し難い中国不動産バブル

文・林保華

 【大紀元日本6月17日】昨年の春、国務院は「八条」を公布し、膨張を続ける不動産業に対して調整を行ったが、これは失敗した。その一年後に見られたのは、「上海不動産市場に春が再来し、取引量が増加している」「北京の住宅価格指数が8年来の高値」といったニュースであった。後者については、第一四半期に20%値上がりし、上海の価格を上回った。住宅価格が高すぎ、民衆には受け入れがたいという社会世論が起こり、一部の都市において、住宅価格を抑制するための措置が取られた。しかし、その一方で中国社会科学院都市発展及び環境研究センターが編集した『2006年不動産青書』は、中国の住宅価格は長期に渡って上昇すると予測した。これは、率直に言って火に油を注ぐようなものであった。

 政府の態度はどうなのか?建設部が5月中旬に公表した情報によると、4月末時点において、40の重点都市における在庫商品物件は100万戸を越え、このうち、最近において価格の上昇ペースが最も早いいくつかの都市における余剰物件の数が多くなっており、北京における空室物件は12万7000戸であった。国家統計局の数字もまた、この点を証明している。全国にある商品物件の、4月末時点の空室面積は、1.22億平方メートルで、前年比18.9%の伸びであった。民間の資料によると、商品物件の空室率は約26%前後。なお、米国、香港の数値はそれぞれ7%、3%~4%であり、空室率10%という数字は、国際的に見て赤信号である。1.14億平方メートルという総空室面積のうち、1年以上空室であったものが50%を超え、2500億元を超える資金が焦げ付いており、国内各業界の不良資産のトップに位置している。

 上述の見方は、一部の経済学者の支持を得ている。また、調査からも、7割の民衆が住宅を購入できないことが明らかとなっており、いわゆる「住宅の奴隷」が出現している。香港で流行したフレーズ「彼らは、不動産業者のためだけに働いている!」という状況となっている。その一方、中国における商品物件の空室率は1%に満たないとし、価格の上昇は、需給関係の反映であると考える経済学者もいる。26%と1%、何と大きな差であろうか!何らかの利益関係が、学者の見方とその統計数字を決定しているようである。

 住宅価格の上昇と空室率の増加が同時に発生していることは、現在の中国不動産業の特徴であり、異状である。投機者の存在なくして、この状況が出現することを想像するのは非常に難しい。

 このため、中国人民銀行は、4月28日より、人民元貸出利率を0.27%引き上げた。また、5月17日における国務院常務会議の決議として、不動産に対して、2度目のマクロ調整を行うとし、6つの措置を取るとした。しかし、市場は全く無関心であった。5月29日、国家建設部等9部門が、合同で「住宅価格の供給構造の調整と住宅価格の安定に関する意見」を制定し、6分野における15の具体的な措置を行うとした。この中には、次の施策が含まれる。6月1日より、個人に係る住宅担保ローンの頭金の比率を30%未満としてはならない。住宅購入後5年以内に売りに出す場合、その収入に対して営業税を課す。しかし、30日の株式市場において、中国の不動産関係の銘柄は下落するどころか、上昇、ひいてはストップ高となった。香港紙「文匯報」が、北京、上海、広州、深せん、杭州、大連、成都、重慶、アモイ、南京等10市の支局記者を繋いで行った調査によると、この10市の住宅価格は却って上昇し、人々を驚愕させた。この事実は、上述の措置がやや手ぬるいことを証明するとともに、以前からの、「上に政策あれば、下に対策あり」、あるいは「面従腹背」、すなわち、地方が公然と中央に対抗するさまを世に示した。これは、経済における中央集権が既に機能していないことを明らかにしている。

 なぜこうした状況が発生するのか?最も重要な原因は、不動産業が暴利産業であるとともに、地方政府の官員が容易に口を挟み、利益を得ることができる産業(土地価格、市政の計画等)であり、彼らが住宅価格の下落を望まないことである。

 また、銀行の融資も不動産業のバブル化を支えている。なぜなら、銀行の上層部は、融資を通じてディベロッパーとの利益交換を可能とし、住宅購入者に対する融資にあっても同様だからである。例えば、上海のある個人は、銀行から6億5000万元を借り、110戸の住宅を購入した。このために、中央政府の調整を厳格にすることができないのであり、そうでなければ、ハードランディングにより、大量の銀行不良債権が発生することとなる。また、このために、政府官員、ディベロッパー、銀行管理層も、頼みがあって恐れがないことから、中央政府の調整が弱々しく、力のないものとなるのである。

 5月31日、いくつかの大都市においては、やはり物件を売る人が列をなす現象が発生した。一部の人は、やはり、ディべロッパーと投機者によるトリックを見抜いており、売り急いでいるようである。

 不動産業を冷却しようとしても、それは容易なことではない。このため、バブルは2008年のオリンピック後まで膨張を続け、そして爆発すると予想する。この時、中国経済に大きな問題が発生するであろう。

 (RFAより)

 (06/06/17 05:29)  





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