中共政権崩壊の「津波」を予測=台湾政治学者

2006年08月02日 07時35分
 【大紀元日本8月2日】「看中国」国際トップフォーラムがこのほど、台湾大学医院の国際会議センターで開催された。今回は台湾大学社会科学院と中華経済研究院が主催、大紀元時報台湾支社や台湾文化基金会、行政院大陸委員会などが協賛し、台湾大学社会科学院の院長・趙永茂氏が司会を務め、台湾行政院元副院長・呉栄義氏や陸委員会副会長・遊盈隆氏、中華経済研究院の副院長・陳文郎氏、台湾大学政治学部前部長・明居正教授などが講演し、台湾外交部の黄志芳・部長が祝辞を述べた。欧州議会のスコット副議長も台湾に駆けつけ、このフォーラムに参加した。

 台湾大学政治学部前部長、明居正・教授は、国家の発展を希望的観測の「直線型予測」で考えることの「落とし穴」を指摘し、中国共産党(中共)政権の崩壊を「非直線型予測」から見ると、さまざまな要素が見出され、中でも「脱党運動」の作用が中共崩壊の「津波」を予測する確実な証左であるとした。同教授の講演内容は以下の通り。

 看中国」国際トップフォーラムに参加できることは非常に光栄に思います。私は様々な角度から今回のテーマに沿って、中国の未来の政治経済の発展を分析します。私の意見は主流派でないかもしれませんが、主流に挑戦するのがすきです。そのため、私の今日の講演のサブタイトルは「非主流視角」で、そうした観点から論じたいと思います。

 1.国家の発展に関する直線型予測法の落とし穴

 国家の発展を予測する際に、往々にして直線型の予測法を用います。すなわち今日100元の稼ぎがあったら、明日は105元、明後日は110元、明々後日は115元を稼げると予測します。これは直線型の発展でありますが、信頼性の高い予測方法とは言えません。

 歴史においての幾つかの反例を分析してみます。1945年、第二次世界大戦が終戦した後、以下の国の経済発展が最も早いと予測しました。第一位はエジプト、第二位はインドネシア、第三位はフィリピン、第四位はブラジル。しかし、過去55年間、これらの国の経済は立ち上がりませんでした。これは直線型の予測法の失敗例であります。

 第二の実例は日本。1980年当時、日本の経済発展は非常に評価されました。GDPは米国の60%に達したとも伝えられました。日本の科学技術能力や、販売能力、経済発展のスピード…などなど、世界の先頭に立ち、すぐにでも世界N0.1になると予測されました。当時、全世界において、「Japan as NO.1」と叫ばれました。皆さんも恐らくこの言葉を覚えています。これは20年前のことであります。これは第二の予測失敗例です。

 第三例は、我が台湾であります。第二次世界大戦後、だれもが台湾を瀕死の小さな島と見なし、経済が発展する可能性はないと見ていました。周辺から閉ざされた島で、60万人の軍隊が駐留し、対岸には領土面積が300倍の敵が睨みつけています。台湾はすぐにでも破滅すると皆は思っていました。しかし、台湾は立ち上がり、アジア四小龍(編集者注:アジアニーズとも称す、アジアで経済の急発展を遂げたシンガポール・香港・台湾=中華民国=・大韓民国を指している)と言われるようになりました。ここ数年間の状況はあまり芳しくないだが、経済発展をしたのは間違いありません。

 以上のことから、私は以下の二点を指摘したいです。一つは、経済発展は常に非経済的な要素の影響を受けるため、直線型予測法での判断は必ずしも正確ではないことで、二つ目は、民主化の道のりは1つだけでない可能性があることです。

 2.民主化の道のりは1つだけではないが、大規模の脱共産党運動が必要

 我々は民主化を論じる際に、一般ではその国家の経済が発展し始め、比較的に多くの中産階級者を生み出し、そのような状況の中で、人民が国の主人公になること(民主)が求められるようになります。皆さんはこれが民主化発展の唯一のモデルケースと認識しているようですが、私がここで強調したいのは、必ずしそうであるには限りません。サミュエル・ハンティントン(編集者注:Samuel P.Huntington氏、米国ハーバード大学教授)氏の1991年の著書「第3波―20世紀後半の民主化」(The Third Wave-Democratization in the Late Twentieth Century)の中で、ポルトガルや、スペイン、ギリシア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン…などの国を含め、三十数カ国の実例を挙げ、これらの国で中産階級が民主政治の実現に役割を果たさなかったと分析した。

 事実上、民主政治は常に躍動的に発展します。このような現象は社会主義国家、特にポーランド、ハンガリー、東ドイツ、チェコ、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア、ユーゴスラビアとソ連などでは顕著に現れました。1989年6月4日、ポーランドで初めて公平な選挙が行われてから、1991年12月25日に旧ソ連が崩壊するまでに、わずか2年6ヶ月の期間で、これらの9カ国の共産党国家において、政権が崩壊し、民主化が実現されました。どの国に中産階級が存在したのでしょうか。なかったのです。

 これらの経験を予め整理してみると、以下の幾つかの特徴が浮上しました。第一に、中産階級が絶対的に必要ではないこと。 第二に、反対派がなくても、民主政治の実現は可能であること。上記の東欧諸国の実例では、ポーランド、ハンガリー、チェコ、これらの3国には、明確な反対派がいましたが、残り6カ国にはなかったのです 第三に、時には民主化実現のスピードは我々の想像より遥かに速いこと。 第四に、これら東欧の共産党国家は、崩壊する前に、いずれも比較的大規模な「脱共産党」の現象が現れました。この問題についてはほとんど注視されていません。

 最後に、我々は往々にして、民主化を実現する際には社会が動乱すると認識していますが、実際は必ずしもそうでないのです。上記の9カ国の共産党国家で、比較的大きな動乱が起こったのはユーゴスラビアだけで、あとはルーマニアで前独裁者が処刑されたぐらいでした。その他の国は紛争が起こらなかったのです。すなわち、中産階級が必ずしも必要でない上、最初から政権の反対派の存在がなくても大丈夫です 第三に、民主化は躍動的に発展する可能性があります 第四に、共産党から離脱する運動が起こる可能性があります 第五は、社会は必ずしも動乱しないかもしれません

 以上から、経済の発展は中産階級を生み出し、民主の実現に結びつくという考えは、我々の主観的な願望に過ぎず、客観的なものではないというのが、私の結論です。一見比較的平坦な民主化の道のりに見えますが、実際はこれより遥かに複雑で、一筋の道ではないのです。

 3.中国の未来の発展に影響する非経済的な要素

 以上の論点と今日のテーマ「看中国」に結びつけると、中国の未来の発展に影響する非経済的な要素とはなんでしょうか。私は今日会場に来る前に、経済学者と論戦するのを覚悟していました。しかし、今日珍しくある経済学者(台湾行政院元副院長・呉栄義氏)は私の見解に同意しています。学界では、政治学者は経済学者と永久不変の論争を展開しています。つまり、「我々(政治学者)はあなた達(経済学者)の経済に対する予測方法には絶対に同意しない。我々は多くの非経済的な要素と影響が存在すると認識しています」。このことは繰り返し強調されています。そのため、今日私は中国の未来の発展に影響する4つの非経済的要素を論じたいのです。

 第一、社会の動乱が大幅に増加している。中共公安部が発表した統計によると、中国国内で発生している集団暴動、言わば国民と公安当局間の武力衝突は、十年前には年間1万件未満だったのに対し、ここ数年の経済改革で、土地の売買、特に土地の分割が急激に発展し始めてから、この数字が大幅に増加しています。2003年には年間5万8千件となり、2004年には年間7万4千件に達し、昨年の2005年になると、8万7千件でした。皆さんは多分この厖大な数字に実感を持っていないかもしれませんが、私は試算してみました。すなわち、一年365日間に8万7千件の暴動が発生するということは、1日240件の暴動があるとの換算であります。どうしましょうか。

 第二、貧富格差の拡大。数年前の中国のジニ係数は0・3台でしたが、中共政権が昨年公表した数字は0・46でした。社会科学者は、ジニ係数が0・4に達すると、社会が不安定になるとみています。中国北京社会科学院が正式に公表しなかったジニ係数はさらに高く、0・54に達しています。

 第三、官僚の汚職は非常に深刻。豊かな国の高級住宅街に住んでいる華人の大半は中共の汚職幹部で、しかも「610弁公室」(編集者注:法輪功を弾圧を進めるための中共政権の特務機関)や、公安警察、あるいは国家財産局などに所属していました。どうしてこのような現象は普遍的に存在しているのでしょうか。明らかにこれらの高級幹部は潤沢な情報を掴んでいます。彼らは、この社会が急速な発展を遂げている一方、政権が崩壊する要素も生み出されていると明白に認識しています。すなわち私が言及していた貧富の格差や、社会の不安定、官僚の汚職などの要素であります。これらの汚職幹部は一番早くこのような問題に気づきました。気付いてどうしたのでしょうか。あらゆる手段を駆使して、大金を懐に溜め込んだ後、海外に姿を暗ます。つまり、沈没し始めた中共政権の大船から逃げ出したのです。

 このような中共幹部の数について、中共政権の統計で、「中華人民共和国商務部国際貿易経済合作研究院」の報告書によると、1978年に改革開放が始まってから、2000年、01年までに、海外に逃亡した汚職幹部の数は、処長クラス以上は約4千人、巻き上げた国有資金は500億ドルに達します。私が言っているのは米ドルです。

 第四、共産党から離脱する運動が拡大しつつある。中国国内において、「三退」現象が勃発しています。言わば共産党から脱退、共青団(編集者注:若者が加入する共産党組織)から脱退、少年先鋒隊(編集者注:12歳以下の子供が加入する共産党組織)からの脱退が頻発しています。参加者の数字は非常に厖大であります。私の手元には最新のグラフ表があり、それによると、現在の累計は1千2百万人(編集者注:8月1日までの統計)に達しました。毎日約3万人が共産党組織からの脱退を声明しています。年間で約1千万に達しました。「三退」の意味はなんでしょうか。人々は中共の船から逃げ出し、中共は民意を失い完全に孤立しているのではないでしょうか。

 一方、私はこの場で中国における環境破壊や、生態系の悪化について詳細に説明することはできません。我々は中国が良い方向に向かうことを望んでいますが、私個人は、中国が中共政権の手によって良くなるとは信じていません。

 4.両岸関係の対処法:問題を先送り、(中共の)変化を待つ、3つのアドバイス

 私はある簡単な結論を出したいのです。台湾と中国の関係について、人々に以下の3点のアドバイスを提案したい。多くの参加者がご存知のように、私は国民党に協力するシンクタンクだった、当時では平和的な転換を積極的に提案し、多くの企画と設計に手掛け、米国と欧州連合の戦略政策に協力することも含まれていました。

 ここ数年、私はこれらの数字の変化を目の当たりにし、自分は極端な保守主義だったことに気づきました。だからこそ、私はこの場を借りて提案したいのは、宋朝の戦略を用いて、問題を先送りし、(中共の)変化を待ち続けることであります。

 中国の未来の発展について、直線型の予測は非常に危険であります。そのため私はソ連と東欧の変化に言及します。これらの共産党国家では、最初に揺れ始めた国が現れてから、最後の国が完全崩壊するまでに、わずか30ヶ月間の期間でした。ポーランドは1989年2月から1990年1月に崩壊するまで、11ヶ月間でした。ハンガリーは1989年3月から1990年2月に崩壊するまで、11ヶ月間でした。東ドイツでは大量の難民が脱出してから、ベルリンの壁が崩壊、東西が統一するまでに1年も満たなかったです。ブルガリアは東ヨーロッパで最も安定する国家だったが、数ヶ月以内に崩壊してしまいました。ルーマニアは動乱の開始から終焉するまでにわずか10日間でした。ソ連は1990年揺れ始めてから1991年12月に崩壊するまでに、1年あまりの期間でした。皆さんが、1991年8月にクレムリン宮殿の広場で発生した政変と反政変運動を覚えているかどうかはわかりませんが、ゴルバチョフが政権から追い出され、数日後に舞い戻ったが、その4ヶ月後に共産党政権が完全に崩壊し、彼のことを見向きする人は誰ひとりいなくなりました。

 私はここで皆さんに1つのことを忠言したい。近頃、宇宙船の発射や、オリンピックの主催など、中共は一見非常に強大にみえています。しかし、注意してほしいのは、ソ連が当時完全崩壊するときに、どれだけ強かったでしょうか。第一、513万人の軍隊を有していました 第二、3万個あまりの核兵器と1万1千個あまりの攻撃武器を保持し、毎回のオリンピックで獲得する金メダルは100個近くに達していました。宇宙船についても、ソ連は「平和号」と名づける宇宙ステーションを持っており、しかし打ち上げた時はソ連だったが、地上に戻るとロシアになっていました。ソ連が崩壊するときに党員の数は1900万人でしたが、脱党運動が起こった際に、22%となる420万人が共産党からの離脱を声明しました。東欧には8カ国の追随国がいました。こんなに強大な国家すら、翌日に目が覚めたら、完全に崩壊してしまいました。

  5.中共の解体:津波理論

 私が語りたいのは「非直線型理論」であります。一部では似ている内容があるため、私は特別に言及したい。先ほど皆さんに脱党の図表を開示しました。2004年12月の数千人のペースから現在の月に80、90万、100万近くの中国人が中共の関連組織からの離脱を声明しています。脱党運動はどのように始まったのでしょうか。とても簡単です、一書「九評共産党(共産党についての九つの論評)」が火付け役です。

 ある人たちは、「あなた達は中共を呪っている。台湾の投資家はどうすれば良いのか、教育問題はどうなるのか、『希望工程』(編集者注:中国の貧困地区の学校に行けない大勢の子供に教育を受けさせるために、善意の人々が特定の子どもを認知し、教育資金を出す援助制度)はどうするのか。三峡ダムの建設はどうなるのか」と質問を投げてきます。私はこれらの問題を解決できません。津波が来るときに、すべてのことを処理してから、津波を迎えるという訳にはいきません。私のできることは、「津波がきますよ」と忠告することしかありません。 

 今、私は津波を発見しました。しかし予測する術はありません。私は中共を呪っている訳ではありません。察知したことを皆に告げただけです。ここで皆さんに「津波理論」を進言します。産業界はどうしますか。先ほどある男性が私にこう言いました、「私は某産業組合の理事長。過去数年間にほとんどの同業者は中国に押し寄せたが、今全員が台湾に引き上げた」という。この場にいる多くの参加者も恐らくこのようなことを経験し、多くの実例があります。我々は両方の証拠を提示しなくてはなりませんが、しかし、今の新聞や、雑誌、マスコミなどは、これらの真実をマイナスな面として受け止め報道しないのです。それに加え、台湾の与野党の闘争によって、多くのことが「政治化」され、問題の本質に目を向けようとしません。これは我々が非常に憂慮していることです。

 ですから、我々は党派の問題を提起しません。津波が来た時に、党派や、社会地位など関係ありません。だれでも死ぬのです。私が皆さんに忠告したいのは、津波が来るかもしれないとのことだけです。中国国内の不安定な社会状況や、脱党運動、社会の暴動、貧富の格差などの問題、中共の船から逃げ出す高官もこれらの問題に気付き、津波がやってくることを察知したでしょう。

 皆さんと共有したいのは、当時ソ連と東欧で、3年足らずの間に、天と地を引っ繰り返したような変革が起こったことです。9カ国の共産党国家が短期間に完全崩壊しました。このことを予見した専門家はいたのでしょうか。答えはノーです。米国の一流大学や、西側の一流大学の学者は全員誰ひとり察知できなかったのです。もしいれば、今この方は非常に有名になるはずです。我々はこの人を発見していません。

 現在、私はこのことを予言しています。将来有名になるためではなく、私は誠心誠意を持って、皆さんに「津波がやってくるかもしれないよ」と忠告しています。それだけのことです。

 
(記者・李音亮、南希)


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