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日中、学校に行かず野菜の収穫を手伝う子どもたち=中国北西部の寧夏回族自治区古源の村で(Getty Images)

中国:名ばかりの義務教育無償化

 【大紀元日本9月21日】中国都市部小中学校の9年間義務教育期間中の学費・雑費の免除が9月1日発表され、これにより中国全土の義務教育無償化が実現されることになる。2006年に改定された「義務教育法」では、義務教育期間中の学費と雑費の免除が決定され、教育施設が整備されていない農村部から段階的に実施されていた。しかし、国内紙の報道によると、義務教育無償化が実施されたはずの農村部で昨年一年間、16の省で5000万元の過多徴収があり、教育負債額は27億元にも上ったという。

 名ばかりの「義務教育」

 中国当局は1986年にすでに義務教育法を制定し、義務教育期間中に学費が免除されることが盛り込まれている。しかし、予算の不足により、生徒はある程度の雑費を納めなければならない。2006年6月29日、義務教育法が改定され、同年9月1日から小中学校の9年間義務教育無償化が実施され、学費と雑費のいずれも免除されることになった。

 しかし、北京の大衆紙『京華時報』2008年7月5日付の報道によると、中国国務院直属の会計検査署である審計署が16省54県の2006年1月から2007年6月までの農村部義務教育交付金について監査した結果、半数の地区で教育交付金が適時に投入されておらず、総額1・15億元が流用されていたことが判明した。交付金流用は8割の地区で見られたという。また、各種の名目で過多徴収された費用の総額は5109万元、違法な費用徴収は11181万元に上った。

 また、2007年6月現在まで農村部小学校の負債額は26・88億元、各県の平均負債額は4978万元まで膨らみ上がった。一部の学校は返済能力がないため、債権者に強制的に閉校され、学生は授業を受けられない状況に陥っている。さらに、裁判所に訴えられ、義務教育交付金が強制的に返済に充てられた学校もある。

 雑費免除された後、農民の負担は軽減されたが、地方政府の財政状況が厳しくなると交付金がカットされ、非常勤教師、編制外教師が大量に解雇され、教師一人しか残っていない学校もある。農民はお金を出し合って、教師を呼び戻そうとするが、学校側は、費用の過多徴収として発覚すれば処分が下される恐れがあると言い、応じなかった。

 一部の学校は運営費のために、学生に無償労働を課している。中央テレビの報道によると、2004年4月、湖北省谷城県のある小学校は1000人以上の在学生を茶加工工場で茶摘み作業に従事させた。報酬はすべて学校側に支払われたという。働きぶりがよくないと、体罰を受けることもあるという。
中国広西省のある小学校で。中国の貧困地区では多くの子供は学費を納められないため、学校に行くことができない(Getty Images)


 学費と雑費の中身

 9月1日から学費と雑費が免除されるが、学費と雑費の定義について各地に違いが見られた。多くの省では、学費と雑費は免除されたが、サービス代などの名目の費用が徴収されている。

 例えば、中国の西部にある青海省では、すべての費用が免除されるのではなく、保護者は割増学費(学区外の生徒から徴収される費用)、寄宿費、サービス費と学校側が立て替えた費用を支払わなければならない。同省の場合、割増学費は中学生500元、小学生300元となっている。教材費や宿題ノート代、飲用浄水代、制服代、映画鑑賞代(当局から鑑賞を義務づけられた映画)などがサービス代に含まれている。

 貴州省の場合、サービス代に社会実践費、健康診断費、飲用浄水代、教材資料費、立替代に制服代、教科書代と宿題ノート代が含まれている。

 南京師範大学の郭泉副教授はこれについて、免除された学費と雑費は生徒の教育費用のわずか一部でしかないため、免除されても国民の負担が大幅に軽減されないと指摘し、中国の教育が義務教育までまだ程遠いと述べた。

 さらに、学費と雑費の免除が決定されたにもかかわらず、それを実施しない学校もあり、証拠が残らないように、費用を徴収しても領収書を発行しない学校が増えている。同法は名ばかりのものになる恐れがあると専門家は懸念している。
北京の街角で物乞いする子供(Getty Images)


 教育経費はGDPの2・2%

 中国国務院が1993年に公布した『中国教育改革・発展の綱要』の中で、2000年に教育経費を国内総生産(GDP)の4%まで引き上げることを目標として掲げた。1996年制定した『教育法』では、国家財政中の教育支出がGDPの6%以上でなければならないとも定めたが、いずれも実現できない公約になってしまった。

 中国のGDPは年々増加しており、2007年世界4位まで躍り出たが、教育支出が占める割合はこの数年ほとんど変わっておらず、GDPの2.25%前後の水準で推移しており、国連が定めた最低水準の3分の一にも満たしておらず、アフリカのウガンダより下回っているという。 

 一方、中国各級幹部が接待に使った公費は財政収入の20%にも上っていると報じられている。2008年3月に開かれた全人代で通過された予算案では、教育支出は国家財政収入の3%でしかなかった。

 教育に当てられた経費が少ない上、経費流用も多発しているため、無償化された義務教育が小中学生に学力を身につけるさせることができるのか、疑問視する声が多い。

(翻訳編集・高遠)

 (08/09/21 10:23)  





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