12月19日午後5時20分(日本時間同6時20分)ごろ、台湾・台北市の中心部で、男が煙幕弾を投げ入れた後に刃物で無差別に通行人を次々と襲撃する事件が発生した。この事件により、容疑者の男を含む4名が死亡し、6名が負傷した。
事件の経過と被害状況
事件は台北捷運(MRT)の台北駅M7出口付近から始まった。台湾籍の男(27)が複数の煙幕弾を投げ込み、現場は一時騒然となった。男はその後、北にある中山駅方面へ逃走しながら、商業施設の誠品南西店に侵入し、所持していた長刀で周囲の人々を無差別に襲撃した。
この襲撃により、以下の3名の男性が搬送先の病院で死亡が確認された。
- 57歳の男性:台北駅付近で被害に遭い、出血性ショックにより死亡。
- 37歳の男性:頸部を切りつけられ、馬偕医院にて死亡。
- 37歳の男性:心臓付近を刺され、新光医院で数時間の救急処置を受けたが死亡。
その他の負傷者6名も病院で治療を受けている。現時点で日本人被害者は確認されていない。
容疑者の背景と犯行の態様
容疑者の男は、1998年生まれの張文(27歳)と特定された。警察の調査によると、男はかつて警備員として働いていたが現在は無職で、今年7月からは兵役逃れの容疑で桃園地検から指名手配されていた。
男は犯行時、防毒マスクと防弾チョッキのような装備を身につけ、長刀のほかに煙幕弾やガソリン弾を所持していた。誠品南西店で警察に包囲された際、男は施設の6階から飛び降り、搬送先の病院で午後7時48分に死亡が確認された。
政府の対応と捜査の進展
事件を受け、蔣萬安台北市長は直ちに現場へ向かい、警察および交通当局に警戒強化を指示した。頼清徳総統も自身のSNSを通じて、公共の場での冷静な行動を呼びかけるとともに、政府として厳正な調査と安全確保に全力を尽くす声明を発表した。
警察当局は、男の自宅からガソリン弾の材料などを押収しており、計画的な犯行であった可能性が高いとみて、遺されたノートやスマートフォンの解析を進めている。また、男の両親は警察の調べに対し「息子とは2年以上連絡を取っておらず、生活状況は知らなかった」と供述している。
現在、台北市警察局は対テロ緊急対応センターを設立し、公共交通機関や主要な商業施設に約1,900人の警察官を動員して、警戒レベルを最大級に引き上げている。
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