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中国と世界の賃金比較表。右端のグラフによると、業界間の賃金格差は、世界水準が70%なのに対して、中国は3000%であることがわかる(劉植栄氏のブログより)

「アフリカ国家より低い」&「業界間差30倍」 中国の賃金水準、世界159位=中国人学者

 【大紀元日本2月19日】中国国内独立派の学者・劉植栄氏が自身のブログで発表した論文「世界賃金研究」が国内インターネット上で大きな反響をよんでいる。同論文の中で劉氏は、「中国の最低年収は世界平均水準の15%にも達していない。中国の賃金水準は調査対象183カ国の中で159位。最低賃金額はアフリカ32カ国よりも低い」「国有企業と民間企業の業界間賃金差は30倍」などと指摘している。

 世界銀行やアフリカ銀行で勤務経験を持つ劉植栄氏は同ブログで、中国の教育問題、不動産、賃金制度、語学文化、司法制度などに関する研究論文を発表し、国内多くのメディアやネットユーザーに注目されている。

 劉氏は16日海外メディアの取材に対して、「これらのデータは全部中国政府が公表したもので、私は政府公表のデータしか使っていない。しかし、実際の状況はもっと悪いだろう」と述べた。「われわれが求めているのは公平性で、働いた分に相応する賃金をもらうことだ。たくさん働いたらたくさんもらう、働いた分が少なければ、少ない賃金をもらえばいいということだ。中国国内では、まじめにコツコツ働く労働者、特に農民工たちの労働力は中国経済に大きく貢献しているにもかかわらず、彼たちが受け取った富は非常に少ない」という。

 劉氏は論文の中で、中国賃金水準の低さに関してまず、完全な賃金制度がないことが大きな問題であると示す。

 また、主に4つの面で改善しなければならないと指摘する。

 まず一つ目は、中国の賃金統計はほぼ公務員及び国有企業の従業員のみを対象とするもので、農業従事者や個人経営サービス業の労働者などその他の産業従事者は統計から排除されている。政府公表の賃金統計の主要対象となる公務員などは全体労働者の15%にも満たない。劉氏は「毎年政府が公表した全国平均賃金に対して、多くの国民は自分の給料が勝手に『増長された』ことに非常に憤りを覚える」と海外メディアの取材で話した。

 二つ目は、国家法定最低賃金額を1月当たり1177元(約1万5654円)に引き上げるべきだという。

 中国の現在の最低賃金額は1月当たり510元(約6783円)、1年当たり6120元(約8万1396円)で、世界183カ国及び地域中の158位となっており、アフリカの32カ国よりも低い。また、最低賃金と1人当たり国内総生産(GDP)の関係において、最低賃金水準はおよそ1人当たりGDPの58%となる世界基準と対照、中国では現在最低賃金は1人当たりGDPの25%にとどまっている。2009年中国の1人当たりGDPは3566ドル(約32万940円)で、世界99位となっている。世界基準に従って、中国の最低賃金水準は1月あたり1177元に引き上げるべきであると劉氏は主張する。

 劉氏の研究によると、世界の多くの国では、企業コストに占める賃金の割合は50%となっているが、中国では10%にも達していない。国内の85%の労働者の賃金は非常に低く、賃金水準も長い間調整されていないため、国民の労働所得が総所得に占める比率が年々低下している。最低賃金水準の低さは内需不足の主因だと劉氏は指摘する。

 三つ目は、公平な公務員賃金制度と利益回避制度を設定すること。

 国家統計局によると、2008年公務員の平均賃金は1年当たり3万3869元(約45万458円)、1月当たり2822・41元(約3万7538円)で、最低賃金の6倍に達した。一方、世界基準では公務員の賃金は最低賃金水準の2倍。世界基準で計算すれば、中国公務員の賃金は1月当たり1020元であるべきだ。また、最低賃金水準を1人当たりGDPの58%の1月当たり1177元に訂正すれば、合理的な公務員の賃金は1月当たり2354元(約3万1308円)となる。

 劉氏は、公務員の賃金を国民に公表しないで、密かに上げていることは問題であると指摘。統計によると、2008年の公務員の賃金は前年比17・2%増となった。その増長率は中国国内総生産(GDP)の増長率の倍にあたるという。

 劉植栄氏は「外国視察から帰国した多くの中国政府官僚はよく、外国の公務員の給料がいかに高いか、福利厚生がいかに良いかを話すが、その国の国民の給料は中国国民の40倍で、福利厚生も中国国民より多いことには全く触れない。中国官僚らは自分らの給料を国際基準まで引き上げることしか考えていない。国民の収入などは全く考えていない」と批判。

 一方、四つ目の改善点について、劉氏は国有企業従業員の賃金水準を引き下げるべきだと示した。2009年5月5日付「中国青年報」によると、株式上場を果たした国内14の銀行のうち、浦東発展銀行、民生銀行及び中信銀行の従業員の平均賃金が最も高く、それぞれ1年当たり45・62万元(約606万7400円)、39・82万元(約529万6000円)及び34・61万元(約460万3100円)となっている。一方、中国建設業、飲食業などの業界の従業員の平均賃金は1年当たり1万元(約13万3000円)ぐらいだという。その業界間の賃金格差は約3000%。しかし、業界間賃金格差の世界基準は約70%である。

 国有企業幹部の収入について、国家国有資産監督管理委員会の李栄融・主任はかつて、「現在中央政府が出資する企業の幹部らの収入は高くない。平均年収が約60万元(約798万円)ぐらい」と語った。劉氏は「これはまさに中国の問題だ。中国の官僚たちは自分らの給料は高くないと思っている。しかしながら、この60万元は、普通の国民にとっては一生涯かけても得ることのできない金額だ」と示した。

 中国の賃金水準は低いが、国民の納税負担は低くない。中国政府の税収入は過去20年間で、年平均増長率が19・5%に達しており、GDP増長率を大幅に超えた。しかしながら、中国政府はこの税収入を医療・福祉や教育などの国民生活に関連する面に還元していないようだ。2008年4月4日付「中信網」によると、2003年~07年のGDPに占める中国教育支出の割合は2・6%で、世界平均水準の半分しかなく、医療衛生支出の割合は3・56%に満たず、15%を超える米国やフランスなどの先進国とかなりかけ離れている。2000年世界保健機関(WHO)は世界191カ国を対象に医療制度の公平さについて調査を行い、中国は188位となった。

(翻訳編集・張哲)


 (10/02/19 08:54)  





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