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水不足で干上がった農地に座り込む村民(STR/AFP/Getty Images)

北部地区も干ばつ、中国経済を揺がす水資源の不足

 【大紀元日本3月29日】昨年秋から、百年に一度といわれる大干ばつに見舞われる中国の西南部。約2千万人の飲用水確保が困難で、生き残るため地元を離れた人々は百万人以上という深刻な状況。西南部の特大干ばつが続く中、中国北部も干ばつの危機に晒されている。26日、国家干ばつ・水災害防止総指揮部のトップ、水利部劉寧副部長がメディアに、北部地区でも干ばつの徴しが現われ、東北部、華北部と西北部の一部地区では飲用水確保も困難な状況にあると、南北同時干ばつの厳しい局面を伝えた。

 「十年に九年は春干ばつだ」。水資源がより豊かな南部と比べ、中国北部は例年春の季節に、干ばつに悩まされてきた状況。10年前、南方の地域から干ばつに苦しむ北方へ水を送り、水不足を解消するという「南水北調」プロジェクトが始まった。ダム建設やトンネル工事を含め、工事費の総額はおよそ5000億元(約7兆1500億円)。規模、難易度ともに「三峡ダム」の工事を超える一大プロジェクトだったが、巨額の工事費や住民の移住問題、環境破壊、地震の危険性など数々の問題が浮かび上がり、今年着工が予定されていた、プロジェクトの主要工程である「西ルート」の工事が中止となった。これによって、北方の水不足問題は、ますます解決が難しくなり、中国経済全体の基礎を揺るがす可能性が大きくなった。

 一方、深刻な水不足な状況を招いてしまったのは中国経済の発展そのもの。16日付の米紙ワシントン・ポストは、「中国経済の発展が、各地の深刻な水不足を招いている」と論じ、豊かで贅沢を極める北京が地方の水を枯渇させている現状を伝えた。

 同紙によると、近年目覚ましい急成長を遂げた中国では、工場や発電所の数も激増し、加工や冷却用に莫大な量の水が使われているという。また、年々巨大化する都市部では、飲用水や生活用水の需要が増え、下水の量も増加。大量の水は、100カ所もあるゴルフコースや人口のスキー場など、娯楽施設にも欠かせない。石油は輸入で賄えるが、水の問題は解決するのが厄介だと同紙は指摘する。

 特に、年間30万人のペースで人口が増えている北京は、水の消費量も顕著だ。北京市西北部にある官庁ダムの水は汚染され、飲用水には適さなくなってしまった。東北部の密雲ダムの蓄水量は、10年前の3分の1に落ちている。近年では北京の水の4分の3が地下水から調達されるが、水位は20年前より5倍以上下がっている。

 贅沢な北京とは対照的に、農村部の状況は深刻だ。北京から車で2時間ほどにある施廷地域には、農業用水の源となる馬河という川があったが、国有企業への水の供給を確保するため、5年前に北京政府が川の流れを変えてしまった。とたんに水不足となった同地区では、小麦など大量の水を必要とする穀物の耕作が見込めず、飲用水の危機にも直面している。

 北京「公衆と環境研究センター」の馬軍主任は、「今中国が直面している課題は二つ。一つは水不足で、一つは汚染だ」と話す。また、水不足を解決するためのダム建設や取水工事が、土地の生態系を破壊していることにも懸念を示す。

(翻訳編集・YJ)


 (10/03/29 08:48)  





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