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韓国最大の有機栽培農場「丈岸農場」のリュウグンモ代表(50)(写真・李インスク記者)

韓国の「包み野菜」文化を世界に(下)

 【大紀元日本4月24日】

 ▲高級化ブランド戦略 サンチュ1枚1万ウォン?!

 「5月6日午前10時、南方向に育った大きさ8cmの茎の太いサンチュ」。これがまさに彼が決めた高級サンチュの基準。試験栽培・試食・収穫を数百回も繰り返して出来上がった。彼は最高名物サンチュ1・5kgに10万ウォンの値段を付けた。

 しかし彼は、来年はさらに高価なブランド品を発売する予定だと言う。100gで20万ウォン。つまり、サンチュの葉1枚がほぼ1万ウォン(850円)の計算になる。最高級のサンチュは、伝統的な在来種子を9月に植えるが、冬には枯れる。そのまま翌年の春まで放置し、根から新芽が出たら、3月25日に収穫する。7ヶ月間寒さに耐え抜いたサンチュを10日間だけ収穫し、残りは商品として出さない。枯らせてから復活させる栽培方法は発想の転換ではないかと聞くと、彼は「すでに先祖からやってきたことを再発見・再解釈しただけだ」と述べる。 「6代目の祖父が残した果菜栽培方法という本があります。私がそれを引き継いで、世界最高の包み野菜の生産に成功し、それが認められ有名になっただけです」

 ▲固定観念と限界を乗り超えて

 最初から事業が順風満帆というわけではなかった。子供の頃の夢は決して農家ではなかった。農家の「農」とは縁もゆかりもない人だった。ソウルの花市場で花粉レンタル業をしていた彼は、造景業に手を出したが失敗し、巨額の借金を背負うことに。13年前の1997年、当時の彼の負債は10億ウォンを超えていた。信用を失ったため、30万ウォンも彼にとっては大金だった。死まで考えるほど、大変な辛い日々だった。結局、妻の説得で農業の道に入った。

 「死ぬほど苦しかったのですが、苦しみは時間が経てば解決できるものです。これくらいの苦しみは乗り越えていくべきです。すぐにでも死んでしまいたいほど苦しくても、時間が経てばすべて解決できます。200万ウォン使っていた人が20万ウォンしか使えない状況になったら、これに合わせて生きるしかないでしょう」

 昼間は忠州で農地を借りて野菜を作り、夜はソウルカラク洞市場に走る。1週間のうち最低5日間は上京し、カラク洞市場を行き来しながらオークションに目を付けた。市場の商人たちの生活現場を観察するためだった。

 ついに、1年間の調査の末、彼は、包み野菜の有機栽培に人生をかけることに決めた。しかし有機野菜は、販売ル―トの確保が至難で、それだけに頼るわけにはいかなかった。夜間の時間を利用してソウルの包み野菜の店を回った。夜明け頃にやっと一日の仕事が終わり、睡眠時間は一日3、4時間という強行軍を続けた。資金もない苦しい状況だったが、彼は短期間で簡単に栽培できる野菜ではなく、厳しいオーガニック栽培を選んだのであった。

 「私の名前をかける以上は、いい加減にはしたくありませんでした。ブランドものを作ってみたかったのです。難しくてもそのような夢と希望を持っていました。自分の商品にこだわりを持って、売りたいところだけに売るという信念を持ちはじめました。しかし、もっと大きなものを成就させるためには、目先の誘惑に負けてはいけないと思っていました」

 一番の苦労は、雑草との戦いだった。雑草を抜いても3日経つとまた生い茂る。 6千ウォン(510円)の除草剤一瓶あれば、すぐ解決できる問題だった。「一度だけ」という誘惑に駆られ、農薬の瓶を手にしてはまた戻したことも一度や二度ではなかった。防虫の目的が、かえってビニールハウス内の温度をあげてしまい、その結果野菜を枯らせてしまった失敗も何度も経験した。その度に、畑を掘り起こしては、また種をまく。そんな彼にうしろ指を差す隣近所の目。それにも耐えなければならなかった。

 他の農家が野菜を農産物販売センターや中間商人に卸すのに対し、彼は1週間のうち5日間野菜売りに出かけた。努力に対する正当な代価を得るには、既存の市場だけでは無理があったため、苦肉の策で選んだ道だった。1週間のうち5日間売りに出る彼を、まわりの住民は理解できなかった。

 彼には「国内初」という肩書きが数多く付けられた。しかし、それを獲得するまでは周囲の否定的な視線と固定観念を乗り超えなければならなかった。「野菜を郵便で売るなんて馬鹿げている」。野菜を通信販売すると決めたとき、前例がないという理由で周囲の視線は否定的だった。しかし、彼はあきらめなかった。包み野菜のギフトセットをつくり、鮮度を保つ特殊な袋を開発して市場を開拓した。最初は注文がほとんどなかったが、いつの間にか口コミで伝わり、徐々に売上が上がり、注文販売や宅配販売を始めた初年度で約5千万ウォン(420万円)を売上げた。

 ▲包み野菜名人になる

 苦労が尽きれば楽が訪れる。1998年、リュウさんは「環境にやさしい無農薬品質認証」を通過し、2年後には環境にやさしい農産物のうち、最高等級である「有機農産物認証」を獲得。最高品質のサンチュを作るための彼の努力はまだ続く。昼も夜も頭の中はサンチュのことだけだった。土壌には、キトサンや漢方薬のかすの酵素を蒔き、玉や炭や麦飯石も撒いた。年間300トンの麦飯石を堆肥と混合すると、鮮度が長持ちするからだ。 野菜に撒く水は、地下岩盤水に玉と麦飯石を入れて使用。化学肥料の代わりに堆肥を作った。有機野菜で育てた牛の糞に鋸屑、米ぬかを混ぜて発酵させる。堆肥を熟成させる倉庫に穴を開けることによって空気を循環させ、発酵過程に生じる高熱によって有害な細菌が除去される。このようにして6ヶ月間発酵させた堆肥は、においがほとんどしない。

 「玉と麦飯石を入れた水を私も牛も飲み、サンチュにもやります。よくできたサンチュは人が食べ、品質がちょっと落ちるのは牛が食べます。牛が食べ、排泄したもので堆肥を作り再び土壌に戻します。これがまさにオーガニック農業の循環農法なのです」

 農薬や肥料で育てた野菜は、いくら新鮮でも10日を超えることはまずないが、彼が育てた野菜は、キムチ冷蔵庫で保管すると、ひと月は十分もつ。有機栽培した白菜でキムチを漬けると、その味と鮮度は一般の白菜の2倍は長持ちするという。

 有機野菜の鮮度が高いのは、独特な農法のおかげであるという。土壌を健康にすることによって、野菜自ら虫の攻撃に耐えることができ、人にたとえると、基礎体力をつけるのと同じ道理なのだ。健康で病気にかからないので、殺虫剤を使う必要もなく、そのため野菜の表皮が傷つくことなく維持できるので、味と鮮度を保つことができる。化学肥料で育った野菜は、一所懸命根を下ろす必要がなく、背だけ伸びるので、害虫に弱く、そのため農薬を使わないといけない。農薬によって野菜の表皮が剥がれると、鮮度が落ち、野菜本来の味もなくなってしまうのだという。

 「まともに有機栽培をしようとすると、どんなにお金に誘惑されても、虫に食われた野菜を抜いてしまうことです。見ている人がいないからといって殺虫剤を使うと、数千万の利益になるかもしれませんが、私は1億儲かるとしても、良心からそんなことはしません」

 誠実な経営の甲斐あって、丈岸農場は、昨年韓国初の海外HACCPの認証を取得した。包み野菜部門のアメリカUSDA / NOPとヨーロッパIFOAMの国際認証(グローバルオーガニック)も獲得し、今年4月からは、海外にも包み野菜を輸出する予定だという。韓国国内初の記録を相次いで作った彼には、もう一つの目標があるという。「今後の目標は、生きている活人野菜を作ること。人々を活気づける野菜を作ることです」

(ジョユンドク記者、編集・明吉 )


 (10/04/24 05:00)  





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韓流  韓国料理  オーガニック  無農薬  包み野菜  有機栽培  


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