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半年で4度目の利上げ 「一石三鳥」になるのか

 【大紀元日本4月14日】中国人民銀行(中央銀行)は4月6日に追加利上げを実施した。今回の実施は昨年秋以来4度目で、今年に入ってから2度目となる。利上げの実施はインフレや不動産バブル、経済の過熱状況を抑制するためと見られるが、一部の経済学者は、今後さらなる金融引き締め対策が実施される可能性があると予測している。

 中国人民銀行の公式サイトによると、今回の利上げは、金融機関の貸出と預金の基準金利(いずれも期間1年)をそれぞれ0.25%引き上げた。これにより、金融機関貸出金利は6.31%、預金の基準金利は3.25%となった。今回の利上げは市場の予測より早期に実施され、市場関係者は、早まった実施は3月の物価指数(CPI)が今までにない高水準になることを窺わせると指摘する。

 ムーディーズ経済サイトの中国経済専門家・成旭氏がVOAの取材に対して、中央銀行による利上げは「一石三鳥」の効果を図ろうとしていると分析する。その第1の目的はインフレの抑制だという。

 政府が公表した2月の物価指数は4.9%に達し、1月とほぼ同水準だった。ムーディーズのデータによると、原油と食料以外の中心的な物価指数はすでに2%の上昇を見せている。このことから、物価の上昇はかなり広範に及んでいると推測できると成旭氏は指摘する。現在多くの研究機関とアナリストは、3月の中国の物価指数は5%を超えると予測している。

 利上げの第2の目的は投機的資金の不動産分野への流入を抑制することだと成旭氏は指摘する。金融危機後の中国経済はすでに回復しており、中国政府にとって、企業やメーカーがこれ以上の拡張投資を行うことは好ましくない。名目金利の引き上げは企業の投資コストの上昇をもたらすとともに、不動産への投資を抑制する作用が働くと成旭氏は分析する。

 第3の目的は不動産価格の上昇の抑制である。成旭氏によれば、金利の引き上げと同時に実施される不動産価格対策により、価格上昇の抑制がある程度期待できる。

 一方、国際経済研究機構キャピタル・エコノミックスの分析報告では、信用貸付量の制約要因は貸出金利ではなく、貸出可能な通貨流通量であるとの認識を示している。中国当局は原油高などの外部要因がインフレをもたらしたと主張しているが、分析報告はそれに異議を唱え、金融危機の後も続けてきた金融緩和策が過度な通貨流通量をもたらし、その結果、インフレを招いたと反論している。また、中国の過度な通貨流通量と賃金水準の上昇によりもたらされるインフレ問題は今後世界に広まるとの見方もある。

 今後の通貨政策について、ムーディーズの成旭氏は、食料や原油、鉄および非鉄金属の価格の全面的上昇により、インフレの状況がさらに厳しくなり、中央銀行によるさらなる利上げの実施が予測されると述べた。

 物価高の起点が、農産品の値上がりから原油など国際商品価格の高騰に移るにつれ、利上げの効果を疑問視する声が増えている。また、公開市場や預金準備率、金利、為替などにおける多くの金融政策手段が用意されているが、それぞれの作用がある一方、経済全般でみる場合、各種の政策間にトレードオフの関係もみられる。

 利上げによるインフレ抑制効果が限定的な上、賃金の引き上げは一層の物価上昇を引き起こしかねない。一方、インフレ抑制の切札としての人民元高を容認すれば、輸出企業の経営に打撃を与えるのも必至だ。中国経済のソフトランディングが依然難しい。

(翻訳編集・林語凡)


 (11/04/14 08:22)  





■キーワード
インフレ  人民元相場  不動産バブル  金融引き締め  金利  預金準備率  


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