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IMFは15日、中国の金融システムに関する初の評価報告書を公表。写真は10月22日、濃霧に覆われる北京(STR/AFP/Getty Images)

IMF、中国金融システムの健全性を懸念 当局は冷ややか

 【大紀元日本11月17日】国際通貨基金(IMF)は15日、中国の金融システムに関する初の評価報告書を公表した。報告書は、中国の銀行の簿外融資や不動産バブルによるリスクが日増しに増大していると指摘し、金融システムの健全性に懸念を示した。

 IMFは中国国内大手銀17行に対してストレステスト(健全性査定)を行った。結果、不動産の低迷や金利の変動などの単発的なショックに対して、各行は回復力があるものの、複数の要因が同時に作動する場合は「深刻なダメージ」を受けることになるという。

 報告書が特に問題視しているのは、中国の成長鈍化と不動産市場の冷え込みをきっかけとする不良債権急増の可能性。世界的な株価指数であるMSCIの中国金融株指数は今年すでに23%下がっており、上海総合指数も10%の下落幅を見せている。報告書が公表される前日、米バンク・オブ・アメリカは保有する中国建設銀行株の大半を売却する方針を明らかにしたばかり。同行は8月にも中国建設銀行の株式保有を半分に縮小していた。

 一方、中国通貨当局の為替介入で人民元が割安に誘導された結果、将来の元高を見込んだ資本流入が加速されている。また、元高を回避するために、当局は巨額の外貨買い・元売りを実施してきた。それらによって引き起こされた過剰流動性をコントロールするため、人民元のより自由な取引を認めるべきだとIMFは提言した。

 報告書はまた、中国が現在実行している金融政策は「高い貯蓄率と流動性、不適切な資本配分、不動産を中心とする資産バブルのリスク」をもたらしたと指摘。これらの歪みはやがて、マクロ金融に浸透すると警鐘を鳴らした。

 具体的な改革案として、政策目標を達成するために金融機関を利用するのを改め、金融機関が融資における与信判断を行う際、政策に左右されず、事業採算など市場原理を基準とするよう要請した。また、決済システムや預金者保護、各種の法的枠組みの整備、定期的な資産査定の導入なども提案した。

 中国の反応

 IMFの警鐘基調をよそに、中国国営新華社は「IMFが報告を公表、中国金融システムは基本的に安定」と報道。報道はIMF報告が言及したいくつかのプラス面に重きを置き、「中国は金融機関の商業化改革で著しい成果を上げ、監督管理も強化された」と伝える。問題点について、「金融システムがいっそう複雑になり、世界経済が不安定していることを背景に、金融の安定を維持し、強力かつ均衡的な経済成長を促進するため、中国の金融機関は改革をさらに推進していく必要がある」との記述に止まっている。

 中国人民銀行(中央銀行)は同報告について、「必ずしも全面的、客観的ではないいくつかの見解が存在する」と冷ややか。「提案された一部の改革措置のタイムテーブルや優先順位については、わが国の実情に基づき研究を重ねるべき」と主張。さらに、IMFに問題視された金利や人民元改革は「すでに重大な進展を遂げている」と強調し、融資についての政府干渉は「1998年にも取りやめていた」とIMFの指摘を否定した。

(翻訳編集・張凛音)


 (11/11/17 09:29)  





■キーワード
IMF  金融  不動産  バブル  不良債権  元高  融資  


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