THE EPOCH TIMES

米報告:中国の武器開発ペースを過小評価 「戦略的欺瞞」が一因

2012年04月09日 10時54分
 【大紀元日本4月9日】米議会の政策諮問機関・米中経済安保調査委員会は5日に研究報告を発表し、米国が今まで数回、中国の兵器開発ペースを過小評価していたことを指摘した。今後、中国軍のさらなる近代化と作戦能力の向上に備え、米国も分析手段と能力を高める必要があると助言した。

 中国が軍の近代化を大々的にスタートさせたのは経済体制改革を開始した1979年。1989年以降、中国は軍事改革を加速し、国防予算は24年間連続して2桁の増加を続けた。2008年の国防白書では、2010年までに国防の「確固たる基礎」を築き、2020年までに「自動化と情報化への重大な転換」を果たし、今世紀半ばには「国防現代化」を実現する、と明確な目標を掲げていた。

 その「現代化」の過程において、中国は武器装備の自主開発力を身につけてきた。今回米中経済安保調査委員会が発表した報告書は、中国の自主開発兵器の一部が開発から配置にかかった時間は、米国などの予測より短かったと指摘。その例として挙げたのは、039A/B/041型(元級)ディーゼル潜水艦、SC-19衛星破壊ミサイル、対艦弾道ミサイル・東風21D、殲20ステルス戦闘機という4つの重要な武器システム。

 近海用に有力かつ強力な039A/B/041型(元級)ディーゼル潜水艦は、2004年に初めてその存在が確認されるまではまったくマークされなかった。それに加え、水中での駆動が可能なAIP(非大気依存)推進能力が備わっている可能性も予見できなかったという。

 SC-19衛星破壊ミサイルの開発には米国は敏感に反応した。実験が実施される具体的な時期こそ突き止められなかったものの、2007年に行われることを予測した。しかし、中国側がそれまで対外的に宇宙兵器開発に消極的な姿勢を示し、選択的に公開した情報が欧米の専門家やアナリストを誤誘導させるよう働いた、と報告書は指摘した。

 また、2008年に中国が対艦弾道ミサイル・東風21Dを開発している情報は米国が把握したものの、その開発ペースを「甘く見ていた」という。当時、米国防省は、同ミサイルが2010年の12月に初めて作戦能力を獲得すると見ていたが、実際、その当時、すでに作戦配備の段階に入っていたと中国国内や台湾のメディアは報じていた。

 殲20ステルス戦闘機の試験飛行についても、米国は2012年に実施されるだろうと予測していたが、その予測をはるかに上回るペースで同戦闘機の開発が進み、予想より1年早く、2011年1月に試験飛行が行われた。

過小評価の理由

 中国国産兵器の開発力を過小評価した理由について、報告書は、中国の政策決定過程の透明性の欠如と中国の現状についての欧米の認識不足などにあると分析した。

 中国政府の政策決定、とりわけ軍事や国家安全保障などに関する情報は不透明で、兵器開発の進捗状況を知る手がかりが少ない。その中でも、当局が故意に誤誘導メッセージを流すことで、他国の評価システムを狂わせる「戦略的欺瞞」を行っていると報告書は指摘する。

 また、中国の政軍間の政策の差も、軍事力や軍事政策の評価を難しくしている。昨年1月、ゲーツ前米国防長官の中国訪問中に実施された殲20ステルス機の飛行試験も、胡錦濤主席は事前に知らなかったと伝えられている。一方、このような「歩調の乱れ」も実は計算された芝居という見方もあり、錯綜する情報が分析をいっそう困難にしているという。

 中国の軍事力を過小評価しがちなもう1つの理由は、中国指導層の米国に対する脅威・敵対意識を、米国側は十分に認識していないことだという。1996年の台湾海峡危機(中国の軍事演習に対抗し、米国が空母打撃群で威嚇)や1999年に起きた米軍による在ユーゴ中国大使館の誤爆は、いずれも中国当局の脅威認識を深め、結果的に中国が自国の兵器近代化を急ぐきっかけとなった。

 中国の兵器開発への投資増加や軍民両用技術の発展に対する米国の認識不足も兵器の過小評価につながったという。過去20年間、中国は兵器の研究開発を促進し、教育費や研究費の増加、外国からの技術導入、ひいては工業スパイの活動などによって、近代兵器を製造する力を徐々に獲得した。軍民両用技術の発展も著しく、防衛産業に応用できる多目的電子製品などの開発も中国の軍事力の先進化に一役買っている。

 これらの軍事関連情報は中国語で発表されることが多いため、米国は理解力の不足に加え、注目度も足りなかったと報告書は指摘。その結果、多くの情報を見落とし、間違った判断と推測をしてしまったと分析している。

 今後、米国は中国の軍事力がさらなる発展を遂げることを十分に認識した上で、中国から発信される各種の情報を複合的に分析することが必要だと報告書は助言した。

 (翻訳編集・張凜音)
関連キーワード
^