THE EPOCH TIMES

【新紀元連載】重慶事件 周永康、苛酷な官_li_ 6 後半

2012年05月10日 11時23分
【大紀元日本5月10日】江沢民は国民や他の政治局常務委員らの反対意見を押し切り、独断専行で法輪功を弾圧し始めた。江沢民の最も側近だった周永康は積極的に弾圧に加担し、ほぼ全ての迫害行為に関与したとされる。

 2003年6月26日、温州市蒼南県龍港町で14人の乞食が毒殺される事件が発生した。捜査に進展がなく、地元メディアも「誰かが毒を投じた疑いがある」(7月2日付浙江都市快報)と報じたに止まっていたが、この報道の5時間後には、新華ネットは、当時の公安部部長・周永康と浙江省共産党委員会が承認したとして、同事件はすでに7月1日夜に解決し、「容疑者は法輪功学習者」であると報道した。弾圧対象に濡れ衣を着せる。これは周永康の一貫したやり方である。

 2008年3月、中国の武装警察がチベットで発砲し、多くの死傷者を出していた。これがきっかけで北京オリンピックの反対運動が世界で広がった。当時、国際社会は「北京五輪開催をボイコットせよ」と提案し、「同じ地球、同じ人権」をモットーに「人権聖火リレー」が世界五大陸を巡り、中共の虐殺行為を訴え、自由と人権への希求を世界中に呼びかけた。

 だが4月下旬、「オリンピック妨害への阻止」を口実に、周永康の命令の下で「独立を主張するチベット人」、「法輪功」および「陳情者」らに重点を置き、中国で全面的な弾圧が展開され、緊迫した状態に陥った。国際人権組織の調査データによると、北京オリンピックが始まる前の6ヶ月、1万人近くの法輪功学習者が拉致され、10万人近くの法輪功学習者が強制労働収容所に拘禁され非人道的な虐待を受けたという。

 中国の著名な人権弁護士・高智晟が発表した文章の中で、多くの悪行を重ねた周永康を名指しで厳しく批判した。そのため、周永康は高弁護士に深い恨みを抱き、高に対する弾圧をエスカレートさせた。

 海外へ勢力を拡大、ニューヨーク・フラッシング暴力事件を画策

 海外では、四川大地震が起きた2008年5月に、周永康を主とする江沢民派はニューヨークの華僑居住地であるフラッシング(Flushing)地区で、いわゆる「フラッシング暴力事件」を画策した。

 彼らは中国大使館と領事館を通じ、アメリカで活動している中共のスパイや、制御下にある学生学者連合会、海外華僑団体などと偽るスパイ組織、海外駐在メディアや中国政府系メディアを扇動し、在米法輪功学習者に暴力行為を働いた。中国駐ニューヨーク領事館はフラッシングで地元のならず者を雇い、迫害の真相を伝える法輪功学習者を妨害・殴打した。アメリカ人は「中共はアメリカにおいてさえも、社会治安や法律制度を恣意に踏みにじる」ことに驚いた。

 結局、これらのならず者は米警察に逮捕され、中共勢力が支援していたニューヨーク州議員の劉醇逸や楊愛倫らは、この事件の影響で相次いで失脚した。

 血に染まった北京オリンピックの黒幕

 かつてのベルリンオリンピックのように、北京オリンピックを独裁体制と独裁者を美化するものに仕立てるため、中共は容赦なく民衆を弾圧し、その中でも周永康は総指揮を振るった。オリンピックの名目で周永康らは、北京に住む300万人を北京市から追い出し、6万余の平屋を強制解体・撤去したとされる。全国範囲で100万人余りの陳情者と法輪功学習者が強制連行や投獄され、その中の多くは迫害によって死亡した。

 その年の5月に、貴州甕安県で民衆による抗争が起こり、中共指導部では緊張が高まった。周永康は直ちに武力鎮圧を指示した。この事件で少なくとも3人が死亡、150人余りが負傷、約300人が逮捕された。電気棒を振るわれ、その場で気を失った女子学生もいたという。

 周永康の息子・周斌の金銭と権力の取引

 2008年11月19日、中国一の大富豪・黄光裕が株価操作の疑いで逮捕され、公安部部長補佐官・鄭少東が巻き込まれ失脚した。鄭少東は周永康が公安部長・孟建柱の近くに配置した腹心であった。外部では、これは周永康を敵視する孟建柱・温家宝両氏の連合を示唆する事件であるとの見方があった。

 逮捕された鄭少東は最初こそ抵抗を見せたものの、後に自白を始めた。供述の多くは周永康の息子・周斌の違法行為に関することであったという。周斌は周永康の管轄地域や部門で権力と金銭の取引を大々的に行っていた。四川省のインフラ建設に介入し、国土資源部(周永康は初代部長を務めていた)を通じて勝手に土地売買を行ったり、中国石油天然気(ペトロチャイナ)の大型石油化学プロジェクトでも権利取引きを行った。さらに、父親の周永康の政法委トップとしての影響力を利用し、不正行為のある企業家から「保護費用」と呼ばれる巨額の賄賂を受け取るなどについても、鄭少東は具体的な証拠を提供したという。

 2011年6月、国土資源部の元副部長・李元が、違法行為で党籍を剥奪され公職を解任された。一部の報道によると、周斌が李元を通じて土地売買を行ったという。周永康が国土資源部部長を務めた時、李元は副部長に当たり、周の側近の一人だった。李元の調査に当たる中紀委の賀国強が調査を始めた時、周は自身の勢力に影響を及ぼすことを危惧し、賀国強を通じて調査を中止させる一方、ひそかに公安部への調査命令の出所を調べるよう命じた。この件はその後うやむやに終わってしまった。

 高官らは庇い合い、数百億元がマネーロンダリングに

 イギリス日刊紙デイリー・メールが今年1月、中国で経済・社会分野を牛耳る10人の人物を選出した。周永康は9人の政治局常務委員の中で唯一の当選者だった。周は江沢民との姻戚関係を頼りにし、中共中央政法委のトップとして中国の公安、警察、司法、諜報等の領域で万能の権力者となり、自身の思うままに権力を乱用していた。

 周永康は公安部長在任中に数多くの側近を抜擢し、鄭少東はその中の一人に過ぎない。公安部反マネーロンダリングの前局長で、経済調査局上海総隊長の呉衛華も、黄光裕から巨額の賄賂を受け取った疑いで調査を受けた。鄭少東や呉衛華といった公安部要職が相次いで汚職で失脚したことから、胡・温両氏は激怒し「厳正に処理すること」を命じた。にもかかわらず、この事もうやむやに終わってしまった。

 内部の情報筋によると、呉衛華は黄光裕の依頼を受け、100億元余(約1270億円)を洗い流したのみならず、陳紹基(元広東省政治協会主席)、王華元(元広東省共産党委員会の副書記・紀律委員会書記)、黄麗満(江沢民の愛人・元深セン市党委書記)、許宗衡(元深セン市長)、黄志光(元深セン市政治協商会議副主席)などの高層幹部らにも100億元余のロンダリングの協力をしたと供述している。「上の命令に従わざるを得なかった」と呉は無罪を主張する。

 軍備費を超えた治安維持費の背後にある陰謀

 過去10数年の間、江沢民と胡錦濤の権力をめぐる駆け引きは、中共権力闘争の核心になってきた。胡政権に移行した後も、江沢民は引退に甘んぜず、周永康を通じて政法委傘下の公安と武装警察部隊の勢力を拡張させ続けた。そのことから、治安維持費は年々上昇し、特に2008年では北京オリンピックの名目で維持費が大幅に増加し、オリンピック後も毎年、増え続けた。

 財政部が公布したデータによれば、オリンピックが終わった2009年、2010年、2011年の中国の治安維持費はそれぞれ、4744.09億元、5517.70億元、6293.32億元であり、毎年約700億元の上昇幅を見せた。

 2010年の内訳を見ると、維持費は「武装警察、公安、裁判所、司法、密輸捜査警察およびその他」の6部分に分かれる。そのうち、公安支出は2816.31億元で総額の半分以上を占めている。また、過去10年間にわたって、中共の暴政に抵抗する民衆への鎮圧に、各地の武装警察を拡大させるためにも維持費が注ぎ込まれている。現在、周永康は武装警察150万、公安250万の合計400万の人員を保有しており、胡錦濤が掌握している200万の正規軍より2倍多いとも言われている。たとえ公安と武装警察の野戦能力が正規軍に及ばないにしても、もう一つの軍権と言えよう。

 江沢民と周永康は治安維持の名目で自身の軍権、特に優れた軍備を備える優秀な特殊警察を拡充し続けてきたことにより、中共の権力内紛で胡・温両氏を威嚇する切り札を作り上げたのである。これが治安維持の背後に隠された大きな陰謀である。

 情報統制による秘密警察国家へ

 周永康のもう1つの「政績」は、スパイ政治を治安維持に導入したことである。

 中共の諜報機関では一般的に諜報員を「友達、連絡員、情報員、秘密幹部、派遣幹部」という5種類に分類している。現在、中国では「友達」の身分を持つ情報提供者は300万人を超え、年間支出も100億元を超える。また「情報員」の人数も100万人を超え、年間支出は300億元を超過する。

 「治安維持の飯を食う」これらの人の存在について、党幹部を養成する中央党校の封麗霞・副教授でさえも、「法治の尊厳性を犠牲にしている」と批判。「法律と政策の境界を越えるやり方は、一時的で表面的な安全を維持することができるが、ゆくゆく法治を犠牲にするだけでなく、公共安全が消えてしまうことになる」と指摘する。「治安維持の飯」によって、毎年横領・着服された公金は60億元を超えるとも言われ、「腐敗産業」の連鎖もこれによって形成されている。

 一方、治安維持費の中でも、少数民族の抗議を弾圧することにもっとも多く費やされている。多くの学者は「中国は治安維持によって分裂する」と警告する。また、分裂は現代中国の道徳倫理の面でも反映される。告発し合うことによって、「周りは皆敵である」との意識が膨らみ、社会的不安が生まれる。薄煕来がかつて、一晩で20万件の告発要請書を発送し、そして1万件近くの告発状が届けられたという。

 今年3月に開会された全人大では、「国家安全を害する」という理由であれば「秘密監禁」が可能となる「刑事訴訟法修正案」草案が可決された。これによって中国が「秘密警察国家」になった学者らは批判する。

(翻訳・王君宜)


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