中国軍タカ派、強硬発言が目立つ 民族主義は「諸刃の剣」

2013年01月18日 14時20分
尖閣諸島(中国名、釣魚島)(JIJI PRESS/AFP)

【大紀元日本1月18日】2012年10月29日の夜の一幕だ。オーストラリア・メルボルンで開かれたオーストラリア陸軍司令官会議の晩餐会で、中国人民解放軍軍事科学院の任海泉副院長が他の15カ国の軍高官の前に立ち語った。「第二次世界大戦の教訓を顧みない人が、戦後の国際構図に挑んでいる」「人は歴史を忘れてはならず、歴史から教訓を学ぶべきだ」「ファシスト国家が付けた戦火が多くの地域に燃え広がった歴史があり、オーストラリアのダーウィンも爆弾が落とされたじゃないか」。任氏のこの発言が終わるや否や、晩餐会に出席していた自衛隊の陸将らは会場を後にしたという。

 タカ派の強硬発言

 この一幕を明かしたのはロイター(中国語ウェブ版)17日付の特別報道。「中国軍タカ派、島の係争問題に強硬姿勢」と題するこの評論は、任氏の論調は決して単発的なものではなく、中国軍高官の中では代表的なものであると指摘した。

 「軍事衝突に備えよ」「短期間の力強い戦いで主権を守ろう」「先んずれば人を制す」など、軍高官の好戦的な発言がこのほど目立っている。言論統制の中国でタカ派の主張が広まったことから、中国の政治外交に大きな変化が生じたことがうかがえるという。

 欧米の軍事専門家は、中国の軍事予算はすでに2000億ドルに近付いたとみている。最新型の軍艦や戦闘機、ミサイルなどを豊富に備え付け、遠距離作戦などにも対応できる軍備拡張を、この30年間で行ってきた。「現代中国ははじめて、海岸線から離れた係争地を奪う軍事力を身に付けた」とロイターの記事は強調した。

 同時に、貿易大国となった中国は、原材料や商品、エネルギーなどが通過する海運ルートに、ますますどん欲になっている。その中でもとりわけ、東シナ海と南シナ海が地理的に重要な意味をもつため、主権争いが絶えない。軍事力と経済力の両面で高成長を遂げた中国は今度、係争地の領有権を手に入れるため、「武力行使もいとわないのではないか」との懸念が周辺諸国の中で強まっている。

 民族主義は「諸刃の剣」

 軍の高官らの好戦的発言は中国の策略の一部分であるとの見方もある。過激発言が報じられた高官のほとんどは軍所属の大学やシンクタンクに所属し、彼らは実際、230万の軍人の多数派意見を代表しているのか、国の外交政策に影響力をもつのか、さらに、彼らの発言は現職司令官らの声を反映しているのか不透明である、とロイターの記事は指摘。「憎まれ役」を扮して主権争いで中国に有利な立場をもたらすことが、こういった好戦的発言のねらいだとみる専門家もいる。

 中国の新指導者・習近平総書記は就任早々、「民族復興」を唱えている。タカ派の論調を、習氏が黙認あるいは奨励しているのか判断できないが、「必要性を感じた時、指導者はタカ派をいっせいに黙らせるだろう」と英BBC放送は関連記事で分析した。

 しかし、こういった過激な発言は国民を好戦ムードに駆り立てる恐れもある。このムードは一方で、領土権交渉における譲歩や妥協の可能性をなくしかねない。「民族主義は諸刃の剣。怪我するのは中国政府自身かもしれない」とBBCは苦言を呈した。

(翻訳編集・張凛音)


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