中国の都市化計画が難航か 指導部、リスクを警戒=ロイター

2013年05月27日 10時40分
2012年4月の統計によれば、中国の出稼ぎ労働者は約2億6000万人(WANG ZHAO/AFP)

【大紀元日本5月27日】ロイター通信は23日、中国の都市化計画草案が待ったをかけられたと報じた。指導部は、都市化にともなう巨額投資が地方の債務残高をさらに押し上げ、不動産バブルを加速させる可能性に慎重な姿勢を示している。

 ロイター通信はこの報道で、内部の情報筋の話として、李克強首相は国家発展改革委員会(NDRC)が提出した都市化計画草案を跳ね返し、経済改革にもっと重きを置くよう要求したと伝えた。

 都市化の推進は習・李政権の目玉政策と言われている。2011~20年の10年間に40兆元(約660兆円)を投じる。これは経済成長の新たな成長エンジンと目されている。しかし、この40兆元をめぐってすでに見せた、各地方政府の遊説合戦の過熱ぶりが、指導部の神経を尖らせたとロイターは分析する。

 「都市化計画は延期されるだろう。正しい道がたどれない場合のリスクを指導部は警戒している」。ロイターは政府系シンクタンクのエコノミストの見解を伝えた。「指導部は改革の活性化を目指しているが、地方政府はそう思っていない。彼らは投資拡大の最後のチャンスだと捉えている」

 都市化政策は李克強首相が長年にわたって暖めてきたテーマである。1990年代初頭、李首相は共産党青年団中央書記処に勤めながら北京大学で履修した修士課程でも都市化に取り組んでいた。しかし、その李首相も、著名学者らの警告でより慎重になっていると、政策決定に参加したシンクタンクの情報筋はロイターに証言している。

 李首相が今回の草案に求めているのは、戸籍制度や土地制度、税制の具体的な改革案であるという。これらは健全な都市化プロセスを支えるための不可欠な施策であり、都市に移住する農民に市民としての権利を保証するものでもある。

 2012年4月に当局が発表した農民工(出稼ぎ労働者)調査報告によれば、2011年における全国の農民工の総数は2億5278万人。この数字は毎年、1000万人のペースで増え続けている。しかし、現在の戸籍制度では、これらの農民工は都市戸籍を持ちにくく、衣食住、子弟の教育、医療などは不安定な状況にある。

 一方、現行の税制面では、中央と地方政府の分税制で、収入は中央政府に多く流れるものの、支出は地方政府が約8割も負担している(中国統計年鑑)。財政が困窮する地方政府にしてみれば、地価を上げ、土地使用権の譲渡益を手に入れることが、財政収入を確保するのに手っ取り早い方法である。反面、都市化の名の下で行なっている農村部土地の「再開発」は、住居の強制取り壊しや住民の強制移転などといった社会問題ももたらしている。同時に、チェック機能の不在で地方政府による非効率の過剰投資は、地方の債務増大の要因にもなっている。

 これらの制度のひずみは都市化を阻むばかりか、深刻な経済・社会問題の源にもなっている。中国著名なエコノミストで社会科学院の易憲容氏は、「都市化の焦点は土地と戸籍制度の改革に当てなければならない。地方政府の支出拡大に頼ってしまったらおしまいだ」とロイターの取材で指摘した。

(翻訳編集・張凛音)


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