日本・マレーシア首脳が東京で会談 海上安全保障とエネルギー協力に焦点

2026/06/11
更新: 2026/06/11

高市早苗首相は6月10日、首相官邸でマレーシアのアンワル・イブラヒム首相と首脳会談を行った。両首脳は安全保障、エネルギー安全保障、重要鉱物のサプライチェーン、経済・貿易協力などについて踏み込んだ意見交換を行い、両国の「包括的戦略的パートナーシップ」をさらに強化していくことを確認した。

会談に先立ち、日本側は儀仗隊による歓迎行事を外交礼儀にのっとって実施した。その後、両首脳は正式会談、共同記者会見に臨み、昼食会をともにした。

高市首相は記者会見で、日本とマレーシアは基本的な価値と原則を共有する重要なパートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)ビジョンの推進において重要な役割を担っていると述べた。

2026年6月10日、高市早苗首相(左)が首相官邸でアンワル・イブラヒム首相(右)を迎え、儀仗隊による歓迎行事を行う(首相官邸提供)
2026年6月10日、高市早苗首相(右)とアンワル・イブラヒム首相(左)が首相官邸で首脳会談に臨む(首相官邸提供)
2026年6月10日、高市早苗首相(右)とアンワル・イブラヒム首相(左)が首相官邸で共同記者会見に臨む(首相官邸提供)

2027年には日本・マレーシアの国交樹立70周年を迎える。両首脳は、マレーシアのマハティール元首相が1980年代に推進した「ルック・イースト政策」を礎に、両国が長年かけて培ってきた友好関係をさらに深化させ、双方向の交流と実務的な協力を拡大していくことを確認した。

海上安全保障協力の強化

安全保障分野では、両首脳は海洋安全保障協力が極めて重要であるとの認識で一致した。高市首相は、海上自衛隊とマレーシア王立海軍が今後も共同訓練を継続して実施すること、また日本が「政府安全保障能力強化支援」(OSA)の枠組みを通じてマレーシアの能力構築を支援していくことを表明した。

また、両国の海上法執行機関は新たな協力文書に署名し、今後は共同訓練や法執行協力などの分野でさらなる連携強化を図る。高市首相は、重要なシーレーンを共有する両国が海洋分野における協力を深めることは、地域の海上輸送の安全と安定の確保に資するものだと強調した。

近年、日本は複雑化するインド太平洋の安全保障環境に対応するため、東南アジア諸国との安全保障協力を着実に強化している。マレーシアはインド洋と太平洋を結ぶ要衝であるマラッカ海峡を管轄しており、地域の海上安全保障において重要な戦略的位置を占めている。

エネルギーと重要鉱物のサプライチェーンに注目

経済・エネルギー協力分野について、高市首相はマレーシアが日本にとって重要な貿易・投資パートナーであると述べた。アンワル政権が推進する「マレーシア・マダニ」発展構想は日本が進める経済成長戦略と方向性が合致するとして、官民連携をさらに強化していく方針を示した。

世界のエネルギー市場が不確実性を増すなか、高市首相は、日本の重要なLNG(液化天然ガス)供給国としてのマレーシアの役割が一層高まっていると強調した。両国は、日本が提唱する「POWERR Asia(パワー・アジア)」構想の枠組みのもと、LNG、化学肥料原料およびその他エネルギー資源の供給協力を強化し、エネルギー安全保障の確保に取り組むことで合意した。

また、重要鉱物サプライチェーンの強靭化でも連携していくことを確認した。高市首相は、日本とマレーシアが価値観を共有する国々とともに、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行などの国際機関とも連携しながら、重要鉱物の開発、リサイクルおよびサプライチェーン整備を推進すると表明した。会談の場では、エネルギー安全保障、エネルギー移行、重要鉱物のリサイクルなどの分野に関する複数の協力文書への署名が行われた。

インド太平洋地域の強靭性を共同で高める

高市首相は、国際情勢の厳しさが増すなか、安全保障、エネルギー協力、サプライチェーン構築のいずれもが、日本、マレーシアおよびインド太平洋地域全体の戦略的自律性と強靭性の向上につながるものだと述べた。今回の首脳会談を契機に両国の包括的戦略的パートナーシップをさらに強固なものとし、協力関係を新たな段階へと引き上げていく意欲を示した。

日本とマレーシアは2023年に二国間関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしている。近年、両国は防衛協力、サプライチェーン安全保障、半導体産業、エネルギー移行などの分野で連携を着実に深化させている。地政学的競争の激化とグローバルなサプライチェーンの再編が進むなか、両国は協力強化を通じて地域の安定と経済安全保障の向上を目指している。

王君宜
王君宜