「慈善家」の裏側

NYタイムズを買収しようとした中国人大富豪 陳光標の正体

2016/09/28 06:00

 中国国内メディア「財新網」が9月20日、米紙「ニューヨークタイムズ」買収騒動を起こした富豪・陳光標氏が商業活動と慈善活動において、粉飾や寄付金のだまし取りなどの不法行為を行っていたことを暴露した。また同記事は、すでに失脚した元公安部副部長の李東生氏と元統一戦線工作部(統戦部)長の令計画氏が、陳氏の後ろ盾であると指摘しており、陳氏をめぐる党内政治勢力闘争の様相を改めて浮き彫りにしている。

 この評論記事は、中国政府も公認の権威あるメディアが発表したもの。これまで、元中央政治局常務委員の周永康氏や令計画氏らが失脚する前に、本人とその家族の腐敗・汚職に関する評論記事が「財新網」で暴露されたことがある。この前例にならえば、陳光標氏の「失脚」が遠くない。

 大紀元の時事評論員・夏小強氏は、同評論記事が解き明かしていない陳氏をめぐる謎について指摘する。

 

左から陳光標の妻、令計画、李源潮、陳光標。それぞれ敬称略。陳氏の後ろ盾だったと指摘された令氏とは、どのような関係なのか(ネット写真)

 謎その1 高級なビジネス諜報員? 陳光標の本当の職業

 共産党や軍内関係者の中で、南京軍区出身者の「南京系スパイ幇」と呼ばれる江沢民派がいる。このスパイ幇の代表的人物が、元総参謀部情報部長の楊暉氏だ。陳光標氏は、この楊暉氏と深いつながりがあった。

 2010年より前、楊氏が総参謀部情報部長だったごろ、陳氏は中国共産党国防大学で3か月の諜報活動の研修を受けている。陳氏は人民解放軍の「商業諜報員」となり、「商業圏高級レベル諜報員」とも言われている。

 軍側からの支持を受けた陳氏は、武器などを転売することで巨額な富を手に入れた。しかし、このことは中国メディアで報道されたことはない。軍諜報機関の働きで、逆に陳氏は「大慈善家」と称賛されてきた。

 陳氏をこのように仕立てた楊氏の背景に、江沢民元国家主席がいる。江沢民が80年代に上海市党委員会書記を在任中、人民解放軍南京軍区の司令官らと親密な関係を築いた。江沢民が主席に就任したのち、南京軍区司令官らの高官を、総参謀部長や国防部長に昇進させた。江はその側近らを通じて、総参謀部を牛耳った。

 中国共産党の江沢民系諜報機関は、陳氏が党に有利に働くことができるよう、巨額資金を投じて、世に陳氏が「中国の大富豪」であるとのイメージを広めようとしていた。

中国メディアにより「慈善家」の顔が剥離する富豪・陳光標氏。写真は「アメリカの貧困を救う」と陳氏をたたえる新華社の記事(ネット写真)

 謎その2 「NYタイムズ買収騒動」と、でっちあげの「天安門焼身自殺」

 陳氏は、2013年に失脚した元公安部副部長の李東生とも深い関係があった。李氏は国営中央テレビ放送局の副局長だった時、同局の「焦点訪談」などの番組において、陳氏を「中国首善」(中国で一番の慈善家)と長きにわたりアピールしてきた。

 陳氏の後ろ盾は江派閥軍関係者、李東生氏、周永康氏以外に、元統戦部長の令計画氏、党のプロパガンダを管轄する李長春氏、劉雲山氏とその背後にいる江沢民が挙げられる。

 江派閥らが陳氏を「中国首善」とアピールする目的は、迫害が続く法輪功にかんする問題が暴露されたり、または党内権力闘争において不測の事態が起きたりした場合、陳氏を利用して、状況を自らの有利な方向に導こうとすることにあった。

 このことは13年12月に李東生氏が失脚した際に実を結んだ。李氏の主導で作成された、中央テレビによる「天安門焼身自殺事件」の自作自演が外国メディアにより暴露されたことで、江派閥はあわてた。それは中国共産党指導部内の権力闘争が、江の法輪功迫害問題に及んでいるためであった。陳光標氏は指令を受けて、ニューヨークで江沢民による迫害政策を正当化しようとした。

 

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