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習近平「金正恩は大嫌い」でも体制を延命させるワケとは?

2017年09月05日 19時00分

 「習近平氏は、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が大嫌いだ」。英BBCがマックス・ボーカス前在中国米国大使の発言として報じた。国家主席に就任して以来、北朝鮮と距離を置いてきた習近平主席は、政治利益のために金正恩政権を容認しているだけだという。

 中国は、今年最大のイベントである共産党第19回全国代表大会を10月に控え、朝鮮半島情勢の不安定化を避けたい。それを見透かした北朝鮮は挑発行為をエスカレートさせていると専門家は指摘する。

不可解な習近平氏の北朝鮮問題対応

元公使、金正恩らの中国逃亡計画を暴露=英紙

 オバマ政権下で在中国米大使館を3年間務めたボーカス氏は「習近平氏が口にした侮べつの言葉は、金正恩を形容するときのものだった」と語った。

 習氏が2012年、中国共産党の最高指導者になってから、かつての「血の同盟」にすきま風が吹き始めた。慣例となる北朝鮮訪問はいまだに実現せず、金正恩氏の度重なる訪中要求を却下したと伝えられている。

 その反面、核・ミサイル開発を止めない北朝鮮に国連が経済制裁を強化し、トランプ政権が制裁に協力するよう強く求めているにもかかわらず、中国当局は北朝鮮への支援を続けている。今年2月、北朝鮮からの石炭輸入を年内いっぱい停止すると発表したものの、北朝鮮の生命線となっている原油の供給は継続している。

 習近平政権は北朝鮮に致命的なダメージを与えず延命させようとしている。これについて、ボーカス氏は習政権が「半島の安定」を望んでおり、北朝鮮の体制崩壊を避けたいからだと考えている。「もし崩壊すれば、北朝鮮から難民が中国に押し寄せ、中国の裏玄関(北朝鮮)に米国が進駐し、朝鮮半島で米韓両国の影響力が強まる」ためだ。

 また、中国問題専門家の文昭氏は自身の番組で、習近平の目下の最大の関心事は19大の無事開催だ。北朝鮮を過度に刺激することも、米トランプ大統領との関係悪化も避けたい。「習近平の一見矛盾するような言動はそのためだ」と述べた。

江沢民時代の負の遺産に悩まされる習近平氏

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