中国知財問題

アップルやIBMら米大手所属の業界団体、中国技術盗用を危惧=米公聴会

2017年10月27日 07時00分

 米国通商代表は10日、中国知的財産問題の調査についての公聴会を開いた。出席した業界団体は、中国の外資抑制ルールが、米国企業の知的財産と機密の盗用をうながしていると批判した。米ニューヨーク・タイムスなどが同日、報じた。

 アップル、グーグル、IBMなど、中国で事業を行う米大手200社を擁する業界団体「中国経済諮問会議」のエリン・エニス(Erin Ennis)上級副代表は、公聴会のなかで、中国が外資規制のルールとして、外国企業の技術を中国企業に移譲するよう要求していると指摘。中国当局が米国企業に「不当で差別的な負担」をかけているとの懸念を示した。

 またエニス氏は、米証券取引委員会(SEC)の情報を引用し、中国関連法に基づき技術移転の要請を受けたのは、中国でビジネスを展開する米国企業の3分の1にあたるとした。

 米国企業からは、太陽電池大手ソーラーワールド・アメリカら2社が出席。米司法省は2014年5月、中国人民軍所属のハッカー5人が同社ら複数の米企業の技術を盗用したとして刑事追訴した。訴状には「中国の国有企業に米国企業の機密情報を渡し、競争上の利点を与えた」とした。

 同社CEOユルゲン・スタイン氏は公聴会で「JAソーラーやトリナ(Trina)のような、今日みられる中国の太陽電池メーカの急速な発展は、私たちの技術盗用なしには起こりえなかったと確信している」と証言した。

 中国における知的財産の扱いを監視するために 5 年前に設立された民間団体「米国知的財産権窃盗に関する委員会」のリチャード・エリングス代表は、「米国企業は、中国で製造拠点を設立することに合意するだけで、自社知的財産が窃盗される危険、または、技術移転を強制される危険にさらされる」と述べた。

 「中国の行為は全面的に不正であるため、米国政府は強さと影響力を用いて対応する必要がある」と、政府に強硬策を求めた。

貿易調査、違反なら経済制裁も

米通商代表ロバート・ライトハイザー氏

 米トランプ大統領は、8月中旬、米国貿易法第301条に基づいて対中国貿易慣行調査を行うよう通商代表部(USTR)ロバート・ライトハイザー氏に命じた。違反が認められれば、中国に対してさらなる関税や貿易制限をかける可能性がある。ホワイトハウスは、11月の訪中前に一部の調査結果を報告するとしているが、調査自体は最長1年かかるとみられている。

 ブルームバーグによると、USTRはこれまで、中国当局が外国企業との合弁会社を通じて、企業の機密や知的財産を盗用していると主張してきた。米国当局者は、中国が人工知能などのハイテク産業の世界的リーダーになる戦略の一環として、米国の技術を狙っているのではないかと危惧しているという。 

 米公聴会の発言の報道を受けて、中国商工会議所副代表の陳洲氏は強く反発を示した。陳氏はブルームバーグに対して「混乱を招く調査を大いに懸念している。貿易戦争の引き金になるかもしれない」と述べた。

 エニス氏は、制裁のような貿易戦争を煽る可能性のある一方的な行動は避けて知的財産の問題を解決するようトランプ政権に提案した。例えば、世界貿易機関(WTO)が扱う係争処理プロセスを挙げた。

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