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テンセント 日本経由でNVIDIA最先端AIチップ活用か

2025/12/24
更新: 2025/12/24

アメリカが先進的なAIチップの輸出規制を一段と強化するなか、中国のテクノロジー大手テンセントは、クラウドコンピューティングの仕組みを通じて、日本経由でNVIDIA(エヌビディア)の最先端チップを利用する道を模索していると報じられている。

英紙フィナンシャル・タイムズは、事情に詳しい複数の関係者の話として、テンセントが第三者を介して日本のクラウドサービス企業Datasectionと提携し、海外のAIプロセッサにアクセスしていると伝えてい流。関連契約の総額は12億ドル(約1800億円)を超えるとされ、テンセントは同社が保有する約1万5000台のNVIDIA Blackwellサーバーの大部分を使用できる契約になっているという。

国家安全保障上の懸念から、アメリカは2022年以降、最先端のNVIDIA製AIチップの中国向け販売を禁止しているが、中国企業や研究機関はさまざまな経路を通じて、直接的・間接的にNVIDIA製品を利用している。

こうしたスキームはチップそのものの輸出を伴わず、海外データセンターがクラウド型の計算サービスとして提供する形であるため、法的には問題ないとされている。しかし米アメリカの一部の安全保障関係者は、これを規制の抜け穴とみなし、取引の精査が必要だと警告している。

この事業展開によりDatasectionは、NVIDIA製GPUの貸し出しに特化したアジア最大級の「ネオクラウド」企業の一つへと急成長している。欧米の同業他社と同様、世界の大手テック企業にNVIDIAサーバーを貸し出すビジネスモデルで成長を遂げている。

Datasectionの石原典彦CEOはフィナンシャル・タイムズの取材に対し、「半年前まではB200チップが5000個あれば十分であったが、今ではそれでは足りず、少なくとも1万個が必要である。この業界は本当に狂気じみている」と語った。

今月初めには、トランプ米大統領が性能を抑えたH200チップの対中輸出を認めたが、その演算性能はBlackwellシリーズと比べて依然として大きな差があると指摘されている。

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、チンユエン・リン氏は、中国のテック企業にとっては、NVIDIAチップを直接購入するよりも、海外のクラウド経由で最新AIチップを利用した方が魅力的かもしれないと分析している。

関係者によれば、テンセントのほか、アリババやバイトダンスも海外でAIモデルの学習を行っているという。

Datasectionが台頭する以前から、東南アジアでも同様の動きがあり、マレーシアやインドネシアでは中国企業が現地のBlackwellサーバーをレンタルしてAIモデルを訓練しているとの情報もある。