THE EPOCH TIMES

米中貿易摩擦の核心は「赤字削減」ではない 

2018年06月09日 14時25分

着地点がなかなか見えない米中通商協議は3日、3回目の交渉が終了した。共同声明が発表されていないことから、交渉が決裂したとみられる。5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、中国当局は米側に対して、700億ドル規模の米農産物とエネルギー製品の購入と引き換えに、米通商法301条に基づく制裁関税の実施を放棄するよう求めた。しかし、ある米当局者は「(放棄は)ありえない」と同紙に語った。

米政府は5月29日、6月に500億ドル(約5兆4200億円)相当の中国からの輸入品に25%の関税を課す計画だと発表した。中国政府系メディアは3日、交渉終了後の声明で、米当局がこの計画を実施する場合、「これまでの交渉で得た合意をすべて破棄する」と反発した。

中国指導部はなぜここまで米追加関税を警戒しているのか。

米に狙われた「中国製造2025」

米通商代表部(USTR)は4月初め、米の知財権が侵害されたとして、追加関税措置の対象とする1300品目の中国製品リストを公表した。中国の製造業振興策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025」が言及した航空宇宙産業、通信情報技術産業、ロボット製造業、他のハイテク産業の製品がリストの約半分を占める。

中国の清華大学の馬弘・副教授が4月9日、ポータルサイト「捜狐網」に寄稿した。副教授は、追加関税措置で業界として最も打撃を受けるのは、航空宇宙産業、光学医療機器業、鉄道車両・軌道製造業、アルミ製品製造業、旋盤製造業だとした。中国の対米輸出において、この5つの産業が占めるシェアが高いからだという。

馬氏は、航空宇宙産業を例に、米政府が追加関税を実施すれば、各産業は破滅的な危機状況に追い込まれるとの見解を示した。同氏の試算では、リストに挙げられた航空宇宙関連品目の金額は、同業界の対米輸出総額の99%を占めている。

2015年、米国は中国から4億8700億ドル規模の航空宇宙関連製品を輸入した。馬氏は、米の措置によって、航空宇宙製造業は「一網打尽」される状況に陥る可能性を示した。同時に、米の関税措置は実質的に「中国製造2025」計画の破綻を目指す内容だと危機感を示した。

USTRは、1300品目の一覧の選定について公表した。「中国製造2025」計画に有利だが、米国経済成長を阻む製品がターゲットとなった。一方、米国内の需給バランスに与える影響が少ないなどの考慮もなされた。

米市場を失うことに怯える中国

中国時事評論家の横河氏は、対中制裁関税の実施は、中国を米市場から締め出すことを意味すると述べた。

「中国にとって、米市場を失えば、世界市場を失うことに等しい。なぜなら、大量の中国製品を消化できる国は、米国しかないからだ」

中国製造業にとって、国内市場はすでに過剰生産で飽和状態になっているため、活路を見出せるのは海外市場しかない。これは、中国政府が支援する国営企業でさえ直面しなければならない事実だ。

製造業の技術力増強を図るには、良い資金循環が前提条件だ。開発・研究資金の確保、生産力の維持には、まず製品を販売できる大きな市場が不可欠だ。

中国国内の長江商学院の薛雲奎教授は過去、ドイチェベレに対して、中国国有企業、通信大手の中興通訊(ZTE)について、中国当局からの補助金がなければ、経営破綻すると述べた。

「ZTEが公表した財務諸表を見ると、ZTEの主要事業の収益が非常に少ないことが分かる。中国当局からの輸出増値税の還付金と開発研究関連補助金を受けているため、ZTEはわずかな黒字を出している」

当局から補助金を得られない中小民間企業はより深刻な状況だと推測できる。

ロイター通信の5月の報道では、アパレルや鉄鋼材などの中国企業は過去数カ月間、米国からの受注が激減したと頭を抱えていた。

中国は制裁関税を回避できるか

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