臨界点の中国経済、中国投資に注意

2005年09月29日 15時10分
 【大紀元日本9月29日】台湾大学元経済学部長・張清渓教授と台湾対中国投資被害者協会理事長・高為邦博士の二人が9月下旬に来日し、大阪と東京の二会場で講演した。躍進一途の楽観論が強い反面、崩壊間近などの悲観論も出始めるなど表面上ではわからない中国経済と中国企業の実態、対中投資のメリットと落とし穴などについて、確かなデーターと実例を紹介しながらその問題点と展望について話した。大阪では、産経新聞のファンクラブ「ウエーブ産経」が24日に大阪国際会議場セミナーで、東京では、新唐人テレビ(本部・ニューヨーク)が25日、東京有楽町の日本外国記者クラブ(日本外国特派員協会)で講演「中国経済の真相」(東京会場、後援・博大出版、大紀元)を開き、3時間半にわたる講演にもかかわらず、来場者は熱心に聞き入っていた。

 張教授は、冒頭、すでに崩壊の臨界点に達している中国経済は、未だ崩壊していないことこそ、中国経済の真の奇跡であると述べた。中国の経済成長が始まって以来、崩壊の道を辿っており、年金制度の前借金は2兆元も超え、失業率20~40%の現状、貧富格差のジニ指数はすでに0・60を超え(0・40を超えると社会不安定を招く)などの中国社会の現状を詳細かつ確実なデーターを通して、あらゆる角度から中国社会がすでに崩壊の臨界点に達していると紹介した。また、そのような現状は、他国では社会はすでに崩壊してしまうのに、なぜか中国は崩壊していないのか,情報閉鎖、外資の吸収など五つの原因を上げた。

 さらに、崩壊に迫る社会問題は解決できるのかについて、中国の社会問題は全て政治問題であり、中国共産党がいかなる変化をみせても、政治改革だけは絶対ありえないという根本的な矛盾があることから、崩壊は避けられないと結論を結んだ。

 崩壊時期の予測について、2008年の北京オリンピック開催は不可能という一般的な見方に対して、それよりも早い時期の2006年、外資銀行が中国で人民元を扱う銀行業務を開始する時期、政府に不信を抱く中国国内の預金者が一斉に貯金を引き出す取り付け騒ぎが起きて、国有銀行が潰れる引き金となり、国家財政の破綻へつながるシナリオを示した。確かなデーターと新しい視点が、聴衆の関心を大いに集めた。

 張教授の学術的な分析に続き、高博士が生々しい実体験を紹介し、聴衆は中国投資の危険性を大いに実感した。中国の地方官員の不正により発生した台湾企業の強奪事件で、高博士は、中央高層幹部に訴えたが無視され、逆に訴えられた経緯を赤裸々に語り、中国で投資する外国企業に略奪行為を働くのは中共の政策であると証言した。年に一万件近くもある台湾企業の被害件数で、解決したものは一件もなく、被害の補償を求めるのは不可能であると結論を結び、台湾企業より投資が多い日本企業に、これ以上中国に投資しないように警告した。

 質疑応答では、このような膨大な被害があったにもかかわらず、台湾企業は、なぜ依然として中国大陸に投資をしつづけているのかの質問に、博士は、情報の不足だとしている。頻繁に被害があっても、マスコミが報道しないから、情報はなかなか伝わらないのが現実であるという。被害を台湾のマスコミに訴えた際、報道はできないと答えられた。なぜなら、報道したらそのメディアは今後中国大陸に入れなくなるからだという。被害台湾商人協会を設立した目的は、情報を多くの人に伝えることであるとし、もっと多くの人々が真相を知ったならば、今後大陸に投資に行く人も減ると予測した。そのことが今回の来日講演の目的であると説明した。

 張教授はさらに、海外の投資者が中国に投資を続けている状況について、「夢を見ているのだ」とした。「ザ・チャイナ・ドリーム(中国の夢)」という本が紹介しているように、中国に進出した大手海外企業は、利益を上げている企業はほとんどないにもかかわらず、中国に引き続き投資を行っている。その理由として、海外企業は中国をスーパーマーケットとして、大きな市場が開ける夢を見ているからだという。米国投資者イーサン・ガットマンが著した「ルージング・ザ・ニュー・チャイナ(新中国幻想論)」に紹介されたように、中国共産党は、投資する外国企業の倫理までをも破壊し、原則を放棄させ、共産党の共犯者にしているという。

 また、中国共産党が崩壊する前に、中国が戦争を起こす可能性についての質問に、張教授は「暴政を維持するのは唯一の目的である。その本質を見通すことできれば、この答えは分かるでしょう」と答え、共産党の真の敵は、台湾でも、日本でもなく、領土面の問題ではない。独裁の敵である民主を代表する米国であるとし、台湾海峡戦争から起因する対米の核戦争は中共の本音であると指摘した。

 以下は、講演内容の抜粋である。

 第1部「政治改革なき、経済問題の解決は不可能」

 講師:張清渓・台湾元経済学部長

 張氏は中国経済の実態を分析し、単刀直入に中国経済が崩壊寸前であるとの見通しを示した。

 「中国経済は見た目は素晴しく、経済成長率が世界一、外貨準備高は日本に次いで世界二位、外貨資本投資の吸収はアメリカに次いで、世界二位です。中国は上海で世界初の商業用リニアモーターカーを作っています。世界最大の長江三峡ダムを持っています。2008年、北京でオリンピックが開かれます。2010年、上海で世界博覧会が開かれます。

 しかしこのような輝かしい一面より、むしろ山積するはるかに多くの深刻な問題を抱えています。

 基本的には、総体的経済問題と社会的経済問題の二つに分けて見ることができます。総体的経済問題には政府財政問題、国民所得問題、銀行金融問題、国営企業問題があります。社会経済問題には、失業及びリストラ、所得分配、財産分配、三農問題、汚職腐敗、社会道徳、教育、環境生態などがあります」

 
講演する張教授=大阪会場(大紀元)

総体的経済問題の中から、財政赤字について


 「中国政府の財政は抜け穴だらけで、その抜け穴を補えば補うほど問題がさらに表に出てきます。帳面上の財政赤字ではなく、表に出て来ない財政の抜け穴があるのです。一例を挙げてみます。中国の地方職員の退職後年金制度は『退職時に支給制度』から『貯金制度』へ変更されました。しかし貯金制度下の個人貯金通帳にあるお金は、退職金に充当されたため、多くが「空口座」となり、しかもそれが年々増え続けています。実は1997年の140億あまりの人民元から1998年の450億、1999年の1000億、2000年の2000億、2003年の4700億人民元までに上りました。それでも赤字を解消できず財政から補填をしてもらい、1998年の20億あまりの人民元から、年々増えて2000年の300億人民元まで増えました。この数字はとりあえず、政府財政報告の数字であって、実際はもっと高い数字になっているかも知れません」

 国民所得について

 「国際的な笑い話になるほどの偽り行為がまかり通っています。中国国家統計局のホームページを見れば各省の成長率は全国成長率を超えていることが示されており、矛盾していることが分かるのです」

 銀行金融について

 「銀行の貸し倒れ案件と金額の多さからみれば、中国の国営銀行は既に何度も倒産していなければならないはずです。銀行内の貯金はすでに空っぽになっています。貸し倒れ率は貸付金の少なくとも40%を占めています。50%を超えているかも知れません。一般的に言えば、中国銀行体系においては既に何回も倒産しているはずです。中国の株式市場も崩壊しています」

 国営企業について

 「損失は継続し、銀行の貸し倒れも継続的に増えています。国営企業の先行きは経済を崩壊させる素因を持っています」

 経済を崩壊させる素因を隠しもつ経済成長について

 「いわゆる経済過熱とは過剰投資のことを意味しています。しかし何故投資が過剰になるのでしょうか?それは、政府の介入があるからです。政府の投資は通常コストにこだわらないという傾向があります。これは決して中国政府が独自に持っているものではありませんが、中国はこの傾向が特に顕著なのです。何故なら中共は中央政府から地方行政まで独占支配する制度が貫かれており、均衡をとる制度を持っていない政治団体だからです」

 次に社会経済問題の中から、世界最大規模のリストラ及び失業について

 「中国の失業率はすくなくても20%と見積もられていますが、実際は30%〜40%になっているかも知れません」

 都市及び地方における経済格差、ギニー係数指数について

 「中国における都市と地方における経済格差は世界級となっています。所得分配不均衡指数において、ジニ係数で統計した場合、一般の国は0.3に対して、中国は既に0.6を超えています。ジニ係数が0.4を超えていれば、その社会が不安定であることを示しているのです」

 三農問題(農業の低生産性、農村の荒廃、農民の貧困)を抱える中国の農民が、重税にあえぎ、政治制度の中でがんじがらめに縛り付けられていかに困窮しているかという問題について・・・

 「河北省の農民企業家がタマゴを売るために、40を超える手続きを済まさなければならないという話があります。この手続きを済ませる項目ごとに費用が徴収されるのです。また中国農村の青年が結婚する際どれくらいの税金を支払わなければならないのかといいますと、結婚証書費用、紹介状費用、婚姻公証費用、婚前検査費用、母子保健費用、一人子保証金、披露宴消費費用、屠殺費用、結婚緑化費用、児童楽園建設費、生育計画保証金、高齢出産保育保証金、夫婦相愛保証金、金婚保証金などがあります。もう一つの例は朱熔基氏が、農民が家を建てる際、土地証書費用の5元以外に如何なる費用をも徴収してはならないという通告を一度出したことがあります。しかしその結果どうなったかといいますと、地方が審議した際、土地徴収管理費、土地有償使用管理費、所属変更費、土地改造費、開発費、受益金など、合計費用が5000元に達した議案を通過させました。このようなケースは中央においても同様に見られるものです。国務院に所属する各部の委員会が農民に対する徴収を下した議案は1990年までに、既に149条の項目が実施されていると言います。中国農業問題解決の本質は政治問題に他ならないのです」

 社会道徳の堕落、汚職腐敗、環境生態系の破壊について

 「契約履行率は5割しかなく、偽物は至るところにあふれています。何でも偽物を作って恥じない社会となっています。信頼について三つの段階があるとする考えがあります。先ずは知人を信頼します。次は見知らぬ人を信頼します。最後の段階は制度を信頼することです。ところが現在の中国はまず知人を破滅させることが最初に着手すべきことなのです。まず知人にひどい損害を与えるのです。そして腐敗はどこにでもあり、多くは公然と賄賂を使い、無法地帯が各級各界に行き渡っています。ここに3枚の衛星写真がありますが、中国全土の緑がほとんど荒廃に瀕していることがわかります。中国の環境は踏みにじられ、ほとんど何も残っていません。これは政策による環境破壊がすさまじく進行したからなのです。環境破壊も政治問題にいきつくものです」

 中国は多くの深刻な問題を抱えています。にもかかわらず何故中国は未だに崩壊せずにいられるのでしょうか?

 「私はこれを中国経済の本当の奇跡と呼んでいます。崩壊せずにいるこの奇跡的な経済を作り出した原因は何でしょうか?5つの素因があると思います。

 1)中国人は世界最高の貯蓄率を有しています(所得の40%を超えている)

 2)中国は外国資本投資の吸収が、世界で2位を占めています

 3)情報通信の抑制が世界で最も厳しい国です。嘘偽りを言い、デマをでっち上げています(嘘の情報を意図的に流して経済過熱を導くのです―外資を誘惑的に導入)

 4)中共は世界で最も血なまぐさい暴力を使う残酷な統治者であり、暴力装置を駆使して崩壊を食い止めています。

 5)中共は銀行を厳密に管理制御し、好きなようにお金を下ろすことができません。銀行内に貯金があれば債務の穴埋めをし、足りなくなれば紙幣の印刷を行います。

 中共はこのように邪悪な国になったのです。中共の邪悪な本性は、世界の多くの国と企業がこれまで堅持してきた人権、誠実さ、信用などの原則を放棄させ、中共に同調させるように仕向けることに成功してきました。こうして延命が図られてきました」

 中共は邪悪な本性を遺憾なく発揮して崩壊を食い止める彌縫策を弄し、表面的な華やかさを演出して経済崩壊の延命を図ってきたのだと言えるでしょう。それはすべて独裁体制を政治的にひたすらに維持せんがための悪あがきに過ぎないとしても、果たして中国の経済の奇跡は持続可能でしょうか?

 「いいえ、持続しません。嘘偽り及び暴力は、中共が中国での独裁専制を維持するためのものです。全ての中国問題、財政の抜け穴、銀行の貸し倒れ、いい加減な投資、洪水のように勢いを増して広がる失業数、貧富の格差、失敗した教育、いたるところにある汚職腐敗、道徳の堕落及び環境汚染、生態破壊など、すべてが<政治問題>であるというのが本質です。経済過熱の熱の温度を下げなければならないと温家宝氏が言った時、経済過熱は経済問題ではなく、政治問題であることを彼は指摘しています。しかし中共は政治改革を決して行わないでしょう。中共政権に危害を及ぼす恐れのある素因は全て芽生える時に消滅させるという方針を貫徹しているからです。したがって独裁政権を脅かすいかなる政治改革をも行う勇気を持っていません。中共は政治改革を行いません。それは中共政権に危害を与えるからです。この政治的理由があるからこそ、中国が今抱えている全ての問題は、根本的に解決できず、中国経済は必ず崩壊するという道を一歩一歩踏み固めつつあるのです。2008年の北京オリンピックを中国は開催することはできないでしょう。私たちは中国が将来必ず崩壊するという事実を受け止めなければなりません」

 第2部「対中国投資トラブル対策」

 講師:高為邦博士(台湾対中国投資被害者協会理事長)

 高為邦博士は、1961年に東海大学化学工学部を卒業。米国カンザス大学で博士号を取得。1976年から台湾の中小企業に資金を投入し、ガラス繊維プラスティック産業経営を始めた。1997年、中国大陸への投資活動を開始。河北省燕郊で「為邦複合材料有限会社」を設立。

 1999年、中共は中共政権の司法制度を利用して会社に打撃を与えた。2000年、会社は操業停止に追い込まれた。同年5月、立法院で「台湾投資者の告発」という公聴会が開かれ、2003年、台湾対中国投資被害者協会が設立される。百件以上の事例を調査したが、正義と公道が果たされた事例は一件もないという実態を追跡調査した。

 
講演する高博士=東京会場(大紀元)

「私はある時中国大陸の曽念慶氏という人物と知り合いました。河北省にある強化プラスティックメーカーと仕事をしていた彼は私に大陸への投資を持ちかけました。彼が出入りしていたメーカーの品質は悪く、返品が絶え間なく彼自身出入り禁止になるなどメーカーとのトラブルを当時抱えていました。彼はこのまま顧客を失いたくなかったので、私に投資を持ちかけたのでした。こうして私が大陸の工場で雇った責任者・曽氏は大学を卒業して2年ばかりの若者であり貧乏でした。私は彼に高い給料を払い経済的な援助をしてあげることにしました。やがて当社の製品はニューヨークの顧客から高い評価を与えられるなど、優れた品質の商品を生産し業績は順調に伸びてゆきました。

 曽氏は生産技術及び品質管理をマスターした後、豹変し私の会社の略奪を画策し始めたのです。私の指示に従わなくなり、一人で経営するから、工場を譲るように迫ってきました。私は彼に「あなたは会社を経営する資金はあるのか?』と聞きました。すると彼は『あなたが私の代わりに銀行からお金を借りて、私のために立て替えてくれればいい。儲かった時にゆっくり私は返済するから」と提案しました。もちろん私は同意しませんでした。

 しばらく彼はおとなしくしていましたが、密に銀行と結託し、私のサインを偽造して、工場の建物と土地を担保にして、銀行から120万人民元を借り入れて、自分の口座に入れました。彼はさらに別の場所に自分の工場を建て、私の工場にある原材料や鋳型及び設備を密に彼の工場へと移動させ、全く同じ製品を作り始めました。

 当時私は中国の司法システムについてほとんど分かりませんでした。曽氏が文書を偽造し、詐欺によって会社の財産を略奪した罪を追及すれば、彼を刑務所に送ることができるに違いないと思っていました。

 そうこうしている内に1999年中国の旧正月休日の間隙を縫って、曽氏は中意強化プラスティック会社社長岳紅軍氏と岳氏の友人・裁判所の職員、岳氏の会社の役員など40数人の社員らと休暇中の工場にやってきました。岳氏が連れてきた2人の裁判官が法律執行という名義で警備員にドアーを開けさせ、私の工場にある、製品、半製品、原材料、機械設備、鋳型などを含む財産を、岳氏の所有する工場へ堂々と運び出しました。そして同じような製品を生産してアメリカに輸出し始めたのです。曽氏は一介の大学卒業生で、こんな略奪を企て実行に移す勇気はとてもなかったはずです。曽氏に知恵をつけた司法官僚と民間人との結託チームワークが背後で示し合わせていたのです。

 私は被害届けを警察署に出しましたが受理されませんでした。弁護士を雇って正式に提訴しましたが、同様に受理されませんでした。公的権力がこの件の解決のために介入することはなく、警察も盗品の追及を放置したままでした。

 国務院台湾問題対処オフィスにこの件の解決を相談しましたが、見せ掛けの話以上に進展することはありませんでした。何故なら河北省政治司法委員会の書記・馮文海氏が曽氏をかばい、案件を押さえつけたままであったからです。実は馮氏は河北省公安庁・検察院と裁判所の直属上司であり、彼が許可しなければ誰もこの案件に触れることなどできなかったのです。

 仕方なく私は1999年末記者会見を開き、事件の全過程を社会に公開する決意を固めました。これに対し中共は、記者会見をこの時期に開かれると台湾大統領選に悪影響を与えると判断し、国務院台湾問題対処オフィスの圧力の下に馮氏は次の4つの指示を出してきました。

 ① 関連部門が岳氏を早急に逮捕すること

 ② 法律に沿って当件を迅速に調査すること

 ③ 冀州裁判所に対して審査を行うこと

 ④ 関連部門に対して働きかけて、高為邦氏の工場の稼動と会社の経営がいち早く回復するように協力すること

 しかし選挙が終わっても、4つの指示が執行されることはなかったばかりか、私の工場は強制的に閉鎖させられてしまいました。馮氏の指示は単なる時間稼ぎのためであって、政府の公文が詐欺の道具になったのです。河北省と国務院台湾オフィスは、国家の威厳と正義を一顧だにせずグルになって台湾の投資家を騙したのです。中共国家の威厳がこれほどまでに堕落していることを思い知らされました。

 さらにそれから追撃するように私の身に起こったことをお話します。中国銀行が私に対し借金を返済するように提訴しました。私は貸付契約書に銀行のサインと捺印があっても、会社側の法廷代表者のサインと捺印は偽造されたものなので契約は無効だと主張しました。しかし人民裁判所裁判長は、会社の社版は偽物ではなく本物であるから、契約書は有効であると言い張りました。裁判が終わってから私は地元の有識者たちにこの裁判長はどこの大学の法学部を卒業した人物なのかを尋ねてみました。すると裁判官になるのに大学を卒業している必要はない、共産党員であれば人脈を通じ短期間訓練を受ければなれるのだという返事が返ってきました。裁判官になってから案件を処理しながら学んでいけばいいことだ。万が一判決に困ったら、上層の指導者に聞けばいいのだと大笑いしながら説明したのです。

 やがて曽氏が私と会社に対して告訴しました。曽氏が言うには会社側が彼に対して50万人民元の借金があり、彼に返済すべき投資用に使った7万8千ドルの借金が私にあると言うのです。何の証明する書類もなく、でっち上げられた一言で訴訟が成立したのです。私はこれらの訴訟案の判決が下りる前に、中国大陸を離れるしかありませんでした。そうしなければ刑務所行きに決まっているからです。以上が私の工場がいかに略奪されたかという経過のあらましです。

 大陸を脱出してから私は『大陸司法の台湾企業に対する迫害実録』というタイトルの本を書きました。以来、中国大陸で罠にはめられ被害を受けた台湾企業は、誰も決して中国大陸では正義と公道を回復することはできないと断言してきました。台湾企業を略奪することが中共の国家政策であるとまで疑わざるを得ません。多くの被害者が私の本を読んで立ち上がり、皆で力をあわせて『対中国投資台湾企業被害者協会』を設立するにいたったのです。

 台湾企業の被害案件は台湾海峡交流財団法人に対する訴えだけでも、1200件を超えています。中国海協会や台湾問題対処オフィスに対する訴えは、5000件を超えています。実質上被害を受けた案件は、1万件以上あると見られています。

 今までに私は100件以上の案件に対して追跡調査して来ましたが、解決した案件は未だにありません。私は実際にあった案件から12の略奪手段をまとめて『対中国投資は、落とし穴を知るべし』という本を書きました。

 次に中共が行う投資誘致活動政策の裏にある偽りについて、私の事例を引いて参考としていただきたいと思います。私が知らないうちに、私名義の投稿が幾つか中国大手新聞に掲載されているのを発見しました。私が中国投資によって成功した人物として記者のインタビューに答えている記事などがありますが、私はこのような記者の取材を受けたことはありません。インターネット上のサイトで未だに私の名義を偽った文章を掲載し続けています。これは抗議してもまったく何の反応も改善もありません。このように嘘偽りの情報を掲載してまでもして投資誘導をあおっているのです。

 最後に台湾企業間で流行っている『三つの頭』の説をご紹介しましょう。

 ① 磕(かい)頭:あらゆる手段を使ってあなたを騙して、中国に対して投資するように、額を地に押し付けて拝むことまでして誘っても、決して惜しいことだとは思わないことです

 ② 搖頭:資金を一旦手に入れてしまえば、今までの約束はどんどん当てが外れて行き、次から次へとトラブルが発生し、解決に奔走しても政府職員らは全員頭を横に振るということです

 ③ 殺頭:解決するためにこちら側から様々なところへ訴えを続けると、逆に無実の罪をでっち上げられ、刑務所行きになります。向こうがその気になって必要とあれば、首を切られる(頭を落とされる)こともあるということです

 対中国投資で落とし穴に引っかかり、略奪のトラブルに巻き込まれたら、それを中国大陸で解決する方法はないということを強調しておきたいと思います」

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