「抗議者の姿が中国訪問団の目に入ってはダメ」6年前の抗議妨害をデンマーク政府が再調査へ

2018/06/29
更新: 2018/06/29

デンマークのソーレン・パペ・ポールセン(Søren Pape Poulsen)司法大臣(法務相)は今月7日、2012年と13年に中国高官が同国を訪問した際、デンマーク警察当局が住民の抗議活動を妨害したことについて、再調査する方針を示した。

12年に当時の胡錦濤中国国家主席がデンマークを訪問した際、法輪功学習者とチベット人抗議者の姿が主席の目に入らないよう、デンマーク警察は車両4台を配置するなど、妨害工作を行った。

デンマーク警察当局は、中国高官らの代表団が法輪功学習者や亡命チベット人らの抗議デモが見えないよう、4台の警察車両を配置した(林達/大紀元)

13年、当時の中国政治協商会議の兪正声・主席が同国を訪問した際、警察当局は、中国共産党に弾圧されている気功グループ、法輪功の学習者2人をその場から排除した。その後、その2人とチベット支持者のデンマーク人6人は、憲法違反があったとして警察当局を相手取り、訴訟を起こした。

同国の法務省は15年10月に、独立司法権を持つ調査委員会を設置し、調査を行った。17年12月18日に調査結果を発表した。

2000ページを超える報告書によると、駐デンマーク中国大使館は事前に各レベルの政府高官や関係者に接触し、圧力をかけていたという。

調査では、「対応マニュアル」があったと結論付けた。マニュアルは、中国国家主席に抗議活動の光景が見えないよう警戒態勢を敷く、という内容だった。「抗議者が見えたかどうかが、訪問の成否を判断する基準だと大使館は強調していた」

2012年6月、当時の中国の胡錦涛・国家主席のデンマーク訪問期間中、現地の法輪功学習者は国内で行われた弾圧を抗議する活動を展開した(林達/大紀元)

報告書では、コペンハーゲン市警察当局は、抗議の妨害に責任を取るべきだと指摘した。コペンハーゲン市警の幹部2人に対して責任を追及するという。また、200人余りの抗議者に対して、1人当たり2万デンマーク・クローネ(約34万6000円)の損害賠償を支給する。

ただ、調査委員会は、警察当局の当時の担当幹部はすでに退職したため、「政府上層部から指示があったのかどうかは不明だ」と結論付けた。

報告書が公表されたのち、市民から「政府上層部からの指令がなければ、警察当局は独断でこのような行動は取らないはず」と異議が噴出した。今年6月4日、ポールセン司法大臣は再調査しないと決定した。

しかし、7日に事態が一転した。同大臣は「警察当局のサーバーの定期メンテナス時、事件に関する当時のEメールを発見した」と発表し、事件の再調査に方針転換した。

事件の再調査を受け、原告の1人、法輪功学習者の鮑さんは、「訴訟を起こした目的は、デンマーク政府を非難するためではない。中国共産党の浸透工作は世界各国に及んでいる。デンマーク政府にもこの事態を認識してほしい」と話した。

デンマーク法輪大法学会のベンニ・ブリクス(Benny Brix)氏は、抗議デモへの妨害は「デンマークの恥だ」と述べた。「しかしこの局面を作り出したのは中国共産党だ」

(翻訳編集・張哲)

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