勇気と寛容の人々・アーミッシュの生活

2006年11月25日 11時30分
 【大紀元日本11月22日】今年10月、米東部ペンシルベニア州ランカスター郡で銃を持った男がキリスト教の一派、アーミッシュ運営の学校を襲撃し、教員の女性一人と女子生徒3人が殺された。

 事件後、13歳の女子生徒が年下の子どもを守るために、「自分を先に撃ってください」と犯人の男に申し出たことや、犠牲者の遺族らが事件直後、犯人の家族を許すと伝え、食べ物を与えて犠牲者の葬儀にも招いたことが、多くのメデイアで報道された。13歳の少女の勇気と遺族たちの寛容な心に対して、感銘を覚えた人は少なくないだろう。アーミッシュというのは、一体どんな人たちなのだろうか
射殺された女の子の家に向かう女性たち=2006年10月(Mark Wilson/Getty Images)



アーミッシュの由来
 アーミッシュ(Amish)は、キリスト教再洗礼派に属し、16世紀にスイスを中心としてヨーロッパで生まれ、16世紀の宗教戦争などによる長期的な迫害を受けたため、18世紀のはじめに、アメリカに移住した。現在、世界のアーミッシュの人口は約20万人で、その99%が全米21の州に、1%がカナダのオンタリオに住んでいる。

アーミッシュの生活信条
 アーミッシュは、ほとんど300年前の生活様式を保っている。彼らは家族単位で農業を営み、自動車、電話、テレビ、掃除機、コンピューターなどの電気製品を使わない。馬車、風車、井戸水、薪、水車発電機などを利用し、質素な生活を送っている。経済的には、農産品以外に、手作りチーズ、木製家具、パン、クッキー、キルト、絵、陶器、ろうそく、革製品などを観
電気やガソリンなどの動力は使わず、昔ながらの方法で農作業するアーミッシュの家族=2006年8月(Mark Wilson/Getty Images)

光客に販売して収入を得ている。

 なぜ、このような質素な生活を守り続けているのかについて、アーミッシュ文化センターの説明によると、「再洗礼派は、決して科学技術が邪悪なものだと思っていません。しかし、科学技術はキリストの弟子の生活様式によくない影響をもたらすことがあります。例えば、旧アーミッシュ教派が電力の使用を拒む理由は、電灯の照明があれば、家族が別々の部屋に分散してしまい、一緒にいる時間が少なくなるからです。その他、電気を使えば、人々はラジオ、テレビ、ビデオなどの誘惑を受けやすく、良くないものを家に持ち込むことになりかねません」というわけである。つまり、アーミッシュは現代科学技術を拒んでいるのではなく、拒んでいるのは、これらの科学技術がもたらすマイナスの影響である。

アーミッシュの服装
 アーミッシュの衣装は、すべて無地の綿である。衣装の特徴から着衣を見るだけで、この人はアーミッシュだと判断できる。男性は、襟なしの黒い上着と黒い帽子が特徴で、女性は、長いワンピースに白いオーガンジーのキャップをかぶることが多い。子供たちは、たいてい白いシャツに黒いベストをつけている。一部のアーミッシュは、衣服にチャックやボタンもつけな
干されているアーミッシュ男性と男子のズボン=2004年10月(STAN HONDA/AFP/Getty Images)


アーミッシュの正装=2006年10月(Chris Hondros/Getty Images)

い。

アーミッシュの教育
 アーミッシュは、子供に中学校以上の教育を受けさせない。中学校までの教育レベルの知識があれば、アーミッシュの生活様式に十分だと考えている。多くのアーミッシュのコミュニティは、自分たちの学校を持っている。これらの学校は、通常一つの大きな部屋で、各年齢層の生徒が一緒に勉強する。もちろん、教師はアーミッシュのコミュニティから派遣される。このような教育方式は、アメリカ政府の許可を得ており、生徒たちは通常ドイツ語を習得した後、英語を学んでいる
干し草の上に座るアーミッシュの女の子=2003年10月(Chris Hondros/Getty Images)



アーミッシュの家庭と健康問題
 現在20万人のアーミッシュは、すべて初期の数百人の開拓者の末裔である。しかも、アーミッシュの婚姻は、ほとんどアーミッシュ同士の結びつきのため、近親結婚による遺伝性疾患が多発している。そのため、アーミッシュの児童の死亡率はかなり高い。彼らは、結婚前の遺伝子検査を拒否している。通常、アーミッシュは避妊を一切しないので、一つの家庭で7、8人の子供を持つことが多い。これによって、アーミッシュの人口は、ほぼ20年ごとに倍増しており、少子化のアメリカ社会に大きく貢献している。
射殺事件後二日目、通学途中のアーミッシュの母子ら=2006年10月(Mark Wilson/Getty Images)



アーミッシュと外部社会の関係
 アーミッシュは、常に米国の主流社会から距離をおいている。彼らは法律に従って税金を納めるが、健康保険や年金などの社会保障制度に一切加入せず、政府からの福祉を一切受けない。

 かつて、アーミッシュは徹底的な反戦思想と現代の生活様式を拒むことにより、主流社会から軽蔑され差別されていたが、現在、アメリカの21の州に住むアーミッシュは、ほとんどが周りの住民に受け入れられている。特にこの20年来、科学技術の進歩とともに生活のリズムが加速し、人々の心身の問題が多くなるにつれて、多くのアメリカ人はアーミッシュの質朴な生活様式に関心をもつようになった。今ではアーミッシュの手作り製品や自然栽培の農産品が人気を博し、居住地域を訪れる観光客は年々増えている。

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