最近、米国は不法移民への取り締まりを継続的に強化しており、米国に入国する旅行者に対しても、審査される情報の範囲が拡大している。12月10日、米税関・国境警備局(CBP)は新たな規制案を発表し、40以上のビザ免除国・地域からの渡航者に対し、「電子渡航認証システム(ESTA)」の申請フォームを記入する際に、SNS履歴の提出を求めている。これは入国審査の必須手続きとなる見通しだ。
CBPは10日、「連邦官報」で規制案を公表した。それによると、英国やフランス、豪州、日本など、米国のビザ免除プログラム対象の40以上の国と地域からの渡航者に対し、ESTAを申請して米国に入国する際、過去5年間のSNS履歴の提出を義務付けるとしている。
実際、2016年の時点で、SNS履歴の提出に関する質問はすでにESTAの申請フォームに追加されていたが、必須項目ではなかった。申請者が回答しなくても、あるいはそもそもSNSのアカウントを持っていなくても、ESTAの申請を提出でき、そのことによって不利益な解釈や推測がなされることもなかった。
しかし、CBPの今回の規制案では、SNSの審査が必須項目として扱われることになる。
またCBPは、可能である場合には、ESTA申請に複数の「高付加価値データ項目」を追加し、現在の申請で求められている情報を補完する方針だ。
「高付加価値データ」には、過去5年間に使用した電話番号、過去10年間に使用したメールアドレス、家族の個人情報や、その家族が過去5年間に使用した電話番号のほか、指紋やDNA、虹彩スキャンなどの生体情報が含まれる。
さらに、ESTAのウェブサイトによる申請手続きは停止され、スマホ向けのアプリが唯一の申請プラットフォームとなる予定である。顔認証やパスポートスキャンなどのより高度な身分確認方法を用いることで、安全性を高め、不正の発生を減らすとしている。
ESTAの認証申請を提出する際、CBPは申請者に顔写真またはリアルタイムのセルフィー写真の提供を求める。これは、申請者が証明書類や関連文書の正当な所持者であることを確認するためだ。申請者は、旅行代理店や家族などの第三者にESTAの申請を代行してもらうこともできるが、その場合でも申請者本人の写真を提出する必要がある。
現在、この提案は60日間のパブリックコメント期間に入っており、今後さらに修正される可能性がある。
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