何清漣:中国対外開放政策の重大な変化(1)

2007/02/09 08:12
 【大紀元日本2月9日】

 一.対外経済開放政策の中国政治経済に対する重大な影響

 今年は、中国のWTO加盟5周年であり、金融業の開放に係る中国のコミットメントの最終期限でもある。中国は巧妙に対外開放政策を調整し、対外開放の過程で蓄積してきた豊富な経験を踏まえ、WTOの原則規定に違反しない形で行われている。中国の門戸開放を首を長くして待っていた外資、特に金融資本グループの失望は深い。改革と開放は、かつて、_deng_小平が、中国が現代化の道を歩むために掲げた両翼であり、その改革のあり方については、既に90年代後期に検討が行われていた。そして、政府の介入、圧力が絡んだ苦しい論争を経た今日、政府及び御用学者を除き、国内の学界及び民衆の多くに既に明らかになっていることは、90年代後期に始まったいわゆる改革が、既に、政府が民衆の利益を奪う道具にすぎなくなっているということである。そして、中国の現代化への飛躍を担う両翼のうち、現在残されているのは、いわゆる「開放」である。

 中国政府の語る「開放」は、政治的な開放でも、政治文化の開放でもなく、経済の開放を指し、これには、政治とは無関係である流行文化の開放が含まれる。政治において、中国は、20年近くUターンの道を歩んできた。改革の当初は民主政治の建設を学習することを提起していたが、昨年に到って、民主建設白書は、西方式の民主政治は中国の国情にそぐわないと称しており、学界の一部のブレーンもまた、中国伝統文化に回帰し、中国式の王道を実施すべきであると吹聴している。また、政治文化上、80年代、90年代前半期においては、米国の200箇所の大学で採用された教科書「民治政府」のように、米国の民主政治について紹介した書籍が少なくなかったが、現在、この類の出版物を世に出すことは基本的にはできない。

 経済の開放は、中国に少なくないメリットをもたらしたが、経済上のメリットは一目瞭然であった。その主なものは、資金の枯渇を痛感していた中国に大量の血液を輸血したことである。20年余りを経た後、特に90年代中後垣xun_ネ後、中国に進出する欧米の多国籍グループが後を絶たず、外資は、国有企業、民間資本とならぶ3大経済支柱の1つとなった。(OECDが今年の1月に公表したところによると、2005年に英国が受け入れた海外直接投資は2,190億ドルで世界トップ、2位である米国の1,060億ドルの2倍以上であった。中国は第3位で、600億ドルであった。)

 政治上のメリットもまた一目瞭然であった。旧ソ連と異なるのは、ソ連が国際社会からの非難を受けていたことである。その理由は、当時の国際社会の経済は、互いの往来のない二つのブロック、すなわち、ソ連東欧経済体と欧米、日本の資本主義経済圏に分断されていたことであった。経済利益のもつれがなかったことから、政治上の利益も分立していた。しかし、中国が外資を導入した後、多国籍グループが中国に進出するにつれ、彼らは、本国における政治トレンドに重要な影響をもたらした。例えば、米国では、ワシントンにおいて多くの大企業が国会でロビーイングし、欧州もまた同じような状況であった。これによって、各国政府は、中国の専制政治、劣悪な人権状態について容認する態度をとるようになった。こうした状態は極度の段階に行き着き、次のような状況が発生した。すなわち、人権団体が中国政府を批判すると、中国政府が表に出て弁解する必要がなく、海外にいる中国政府の利益代弁者が自ら弁解し、ロビーイングを行うような状況が発生した。外国政府が中国を制裁しようとする際に遭遇する主な困難は、中国政府からの反発ではなく、自国の大資本グループによる反発となったのである。したがって、この数年来、奇妙な状況が発生している。すなわち、国内において、中国の経済情勢は決して楽観視できるものではないが、海外の投資者は自信に溢れ、中国経済の一人勝ちぶりを賞賛するという状況だ。中国の政治状況は不断に後退を続けているが、海外の世論は、中国政府がまたも政治改革を実施した、中国政府がメディアの改革を開始しようとしている、といったニュースをひたすら流し続けたのである。こうした宣伝が結局のところ空砲であったことは事実が証明するところであるが、これらの利益代弁者を非難する者が一人でもいただろうか?

 二.民族主義の台頭と中国経済環境の重大な変化

 中国ブームの高波は未だ過ぎ去ってはいない。しかし、昨年以降、シーメンスを含む電力企業など、一部の外資が中国から撤退しており、これに伴って、海外では、中国が海外投資者にとって天国であるのか、それとも墓場であるのかを探る声が出始めている。一部の数字が明らかにする、中国における外資の座礁の状況は驚くべきものがあるが、こうした声がもたらす効果はかなり微弱である。その背景にあるのは、各産業の利益が異なっていることである。製造業、電力産業は、中国に進出して長い年月が経過しているが、ちょうど彼らが撤退するタイミングにおいて、金融業の巨頭が、中国の門戸開放を首を長くして待っており、中国の金融業に対して過大な期待を抱いているのである。

 この時、中国の民族主義が台頭してきた。これは、民間人による民族主義とは異なり、背後にいる利益集団が煽り立てたものである。2006年8月2日、国家発展改革委員会に属する投資研究所は、「中国証券報」において次のような提案をしている。つまり、中国政府は専門の機関を作り、外資による国有企業のM&Aを「厳格に審査」し、「外資の投資がもたらす様々な弊害を防止」すべきである。ここでの「弊害」が指すものは、「充実した資産を持つ外国企業が、中国の戦略である工業分野の支配権を奪いとっている」ことである。米投資会社カーライルと中国の建設機械大手徐工グループのM&Aを巡る交渉が長年に渡って続けられてきたが、これもまた、徐工が中国にとって戦略的意義をもっているからである。また、カーライルには強烈な政治的背景があることから、この事件は、「愛国」と「売国」の争いの焦点になっている。

 実際のところ、中国の民族主義は日増しに台頭してきており、外資の制限を求める声は今日に始まった話ではない。この2年間、民族主義者は文章の発表を続けている。一つは、国務院研究発展センターが発表したもので、中国産業の安全が脅威にさらされている証拠として幅広く引用される報告である。この報告によると、中国において既に開放されている産業について、上位5社の企業は、ほぼ全てが外資に支配されている。中国における28の主要産業について、外資は21産業において、多数の資産支配権を持っているという。例えば、ガラス産業において、業界最大の5社は全て合資である。全国生産量の80%以上を占めるエレベータの生産事業者の上位5社について、外資は既にその株式を保有している。国家指定の家電企業18社のうち11社が外資との合資である。化粧品業は、150社の外資に支配されている。医薬品産業のうち20%が外資の手中にある。自動車産業における販売額の90%が外国ブランドである、等等。また、ネットワーク設備の産業、コンピュータ・プロセッサー等の産業において、多国籍企業は、中国市場において、絶対的独占の地位を占めている。

 また、ある論文は、外資は中国に8つの危険をもたらすと総括している。その論点は次の通りである。利潤のオフショア化、外国投資家が資本の30%を拠出し、50%の株式を保有し、利潤の70%を持ち去っている。資源を大量に消費し、生態環境を深刻なまでに損なっている。外資による合併を通じて、大量の国有資産が安く買い叩かれており、過度に開放された外資政策は、中国本土企業の発展を抑圧している。国家にとって重要な経済、軍事情報が外国に奪われる可能性が極めて高く、外資の流入は、失業問題を激化させる。外資は、核心となる技術を最後までコントロールしている…等々。

 民族主義者が下す結論は次の通りである。中国の運命は、既に外国人の手中に掌握されている。中国経済は、既に外資によって絡め取られ、依存型発展の道を進んでいる。「一旦外資が更なる高利潤を追求するか、あるいはその他の要素を考慮して、技術と資金を別の地に移転すれば、現在の、熱気溢れる『世界の工場』は、すぐさま、汚染物が遍く廃棄された静寂の地へと変貌し、中国経済は崩壊に直面するであろう」。

 しかし、この結果は、中国政府の予想範囲内の出来事である。なぜなら、昨年来、中国政府が徐々に外資政策を引き締めてきたことによる必然的な結果だからである。中国の外資政策に変化が生じたのは、中国国内の経済環境において重大な変化が生じたことが原因となっている。

 第一に、中国は、もはや資金面で枯渇することがなくなっている。中央銀行が公表した最新の数字によると、中国の外貨準備は9,879億ドルに達し、1兆ドルの壁を越えようとしており、世界第1位となっている。

 巨額の外貨準備が意味することは、中国がもはや資金で枯渇することがないということである。過去の政策において、外資は、所得税の減・免税、「三免両減半」等の優遇政策を享受することができた。その目的は、より多くの資金を導入することだった。現在、資金は、中国の経済発展における主要なボトルネックではなくなっている。このため、外資政策は、中国の経済発展にとって重要なハイテクの導入を主要な目的に変更すべきなのである。

 第二に、国内の資源制約が日増しに厳しくなっている。長期の外向型の経済政策により、中国国内の資源配分が対外経済向けに集中した状態となっている。エネルギー、鉱産資源、土地、廉価な労働力、政策等、国内における多くの資源の全てが対外経済部門に傾斜している。労働力が過度に廉価で、環境保護の制約がほとんどないために、中国は資源、環境、エネルギーの面で高い代価を支払っている。しかし、社会福祉は同じ割合で向上しているわけではない。国内市場は、始終需要不足の状態で、いわゆる「持続可能な発展」は、実現できない遥かな夢である。

 この二つの要因から、中国は外資政策を必ず調整しなければならない。この調整は、突如として起こったものでは決してない。中国において、両税合併の討論が日増しに増加していることに加え、外資政策が次第に引き締められていく中で、外資の対中投資の減少が見られる。最近発表された統計数字は、この点を証明している。今年1月~9月の外資の実際投資額は、前年同期に比べて1.52%下落した。このように、外資の投資が減少したのは、投資構造が変化と関連があり、投資が下落した主な原因は、製造業における外資の投資が減少したことである。2005年、日本、韓国、台湾からの投資総額は、前年に比べて6.5%減少し、今年上半期においては、前年上半期と比べ、31%の暴落であった。この3地域の対中投資額の合計は、米国、EU諸国の対中投資額を上回っている。中国の統計数字が示していることとして、2003年より、米国の対中直接投資が年を追って減少している。なお、ここでの直接投資は、新規業務の開始、既存の業務を買収する資本を指し、株式、債券の購入資金は含んでいない。

 製造業の投資が減少するのと同時に、外資は、中国企業の買収に強い興味を示している。2005年に、中国は、海外の投資者に対し、主要国有銀行の株式を売り出した。この売り出し行動により、中国は、外国直接投資額を121億ドル増加させた。しかし、中国企業を買収しようとする外資の熱意に対し、中国は躊躇している。ますます多くの官僚、エコノミストらが、外資による中国の重要工業部門の買収を制限するよう求めている。彼らの見解によると、国有資産の売却価格は低すぎ、支配権を外国人に譲りすぎている。シンクタンクの者は、特別の機関を設立し、外資による国有企業の買収によってもたらされる「潜在的リスク」を審査すべきであると提起している。

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