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中国の消費者物価指数の上昇率は前年同期比で7・1%。そのうち、豚肉価格の上昇率は58・8%と極めて高い水準に達した(AFP)

中国のインフレ率、過去11年間で最高を記録

 【大紀元日本2月28日】中国のインフレ率は過去11年間の最高値を記録し、1月期の消費者物価指数は7.1%に上昇した。このほか、生産者物価指数は6.1%に上昇し、3年来で最大の上げ幅となった。強まり続けるインフレ圧力を受け、中国中央銀行は緊縮的な金融政策を採ることになるだろう。しかし、専門家によると、利上げを行うのであれ、利下げを行うのであれ、いずれも中国の経済に対してマイナスの影響を及ぼすという。VOAが伝えた。

 中国国家統計局が2月19日に公表した最新の数字によると、1月期の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比で7.1%の伸びとなり、月次ベースで、1997年以来の最高値を記録した。このうち、都市部のインフレ率は6.8%、農村部のそれは7.7%であった。このうち、食品類の価格上昇が最も大きく、前年同期比で18.2%の伸びとなり、うち、豚肉は58.8%増と急騰した。価格の伸びは、肉類及び肉製品が41.2%、野菜が13.7%、果物が10.3%、水産品が8.7%であった。

 中国のCPIは、2007年下半期以来上昇のペースを強めており、7月期の5.6%を除くと、他の5ヶ月間はいずれも6%以上で、11月期には6.9%に達した。年全体のCPIは4.8%上昇し、2006年の3.3%を上回った。

 中国政府系メディアの見解によると、CPIの上昇をもたらした主な要因は以下の3つである:第一に、春節期においては、凡そ食品価格に一定の上昇が見られる。第二に、1月に発生した、過去50年間で稀に見る大雪災害が、食品供給の不足をもたらした。第三に、2007年1月期におけるCPIの上げ幅がわずか2.2%と、低い数字であった。

 また、同じメディアによれば、大雪が1月期のCPIを引き上げたとのことであるが、こうした季節・気候要因によってCPIが記録的な上昇を示したからといって、長期のインフレ率のトレンドが次第に下落の趨勢になるということにはならず、2008年におけるCPIのトレンドは、上げと下げを繰り返す局面となるだろう。

 しかし、ゴールドマンサックスグループ・中国地区シニアエコノミストである梁紅は、中国の高インフレ率が次第に緩和されるとは見ていない。彼によると、大雪の効果が減退した後においても、貨幣供給の増加ペースの速さから、インフレ率は上昇を続け、二桁の水準になる可能性が高いという。

 ラーディは、ピーターソン国際経済研究所のシニアリサーチャーで、著名な中国経済研究家である。彼は、今後数季にわたってインフレ圧力が緩和されていくという考え方について疑問を呈している。彼によると、懸念すべきは、CPIの伸びが過去11年間で最高を記録したことだけでなく、生産者物価指数の上昇のペースがCPIのそれを上回り、3年来で最大の上げ幅となったことであるという。

 ラーディは次のように語っている:中国おいて、全面的なインフレの兆候が日増しに顕在化していると私は考えます。1月期における生産者物価指数は、2007年1月期に比べ、6.1%上昇しましたが、2007年1月期においては、わずか2.5%の上昇でした。このため、生産者物価指数の伸びが、CPIのそれをはるかに上回っているのです。

 中国は、90年代後期より、国家行政手段を用いて大規模な都市化を行ったが、その結果、経済構造にいびつな発展が生まれた。短期的な需要が大量に発生する一方で、持続可能な発展のために必要な生産能力を提供できず、供給不足に陥った。

 米国・マサチューセッツ工科大学スローン校教授・黄亜生の見解によると、上昇を続ける国際エネルギー価格等の外生的要因が作用し、インフレは必ず発生するという。黄亜生は次のように語っている:中国のインフレは長期的な問題です。なぜなら、その原因が長期的な問題であり、短期的な問題ではないからです。この長期的な問題とは、過去10年における経済成長にあり、この間、最もハイペースな成長が達成される一方で、全体的な社会生産能力は増加しませんでした。当時、政府投資により、短期においては、鉄鋼、アルミニウム等の需要を増加させることができましたが、長期的な国家の生産性の向上には、何のプラスの影響ももたらしませんでした。

 中国は、昨年12月、中央経済工作会議において、経済のマクロ調整のための“双防”策を提出した。これは、経済成長が過熱に転化することを防止し、価格を構造的な上昇から明白なインフレに変異することを防止するためのものであった。このほか、穏健な財政政策と緊縮的な金融政策を採ることを決定した。

 しかし、中国のマクロ調整政策が効果を発揮する以前に、2007年のGDP成長率は11.4%となり、13年来で最大の上げ幅となった。また、1月期の貿易黒字は予想を上回り、マネーサプライも、過去20ヶ月で最大の増加率となり、CPI、生産者物価指数も過去最高の伸びとなった。

 こうした、経済発展の過熱ぶりを示す様々な兆候に対し、中国は、緊縮政策の強化を継続すると市場は予測する。19日、中国人民銀行は、国際収支の不均衡と過剰流動性等の問題に対応するため、中央銀行は、新たな金融政策のツールを発展させ、価格を基礎とする金融政策システムを展開するとともに、量的政策のツール(貸し出し、預金準備金の調整)の使用を継続するとともに、及び為替レートの安定を前提とする人民元の弾力化を検討とした。しかし、中国人民銀行の官員によると、1か月分の数字をもって金融政策を調整することはないという。

 しかし、スタンダードチャーター銀行在中シニアエコノミストである王志浩の見解によると、深刻な短期的インフレの脅威に直面し、中国中央銀行は、まもなく金利を引き上げざるを得なくなるという。しかし、リーマンブラザーズ香港のエコノミストである孫明晴の見解によると、中央銀行が貿易黒字、過剰流動性、貸し出しの伸びを抑制する主要な手段は金利の引き上げではなく、預金準備金の増加と人民元の切り上げの加速によるべきであるという。

 昨年、中国は6度の利上げ、11度の預金準備率の引き上げを行った。現在、1年の貸出利率は7.47%、預金準備率は15%である。人民元の対米ドルレートは、2005年7月以来で、既に17%上昇しており、年間で19%の上昇率となっている。2008年末における為替レートは、1ドル6.7~6.55人民元と予想されている。

 ラーディは、中国の経済過熱によるリスクとインフレ等の問題を解決するためには、各種の政策協調が必要であると指摘する。

 ラーディ:私は、中国は、人民元の切り上げを加速して巨額の経常黒字を解決し、為替レートの変動をより柔軟にし、為替政策を通じてマクロ経済環境を有効に管理すべきであると考えます。しかし、中国は今までのところ、こうした施策を実現していません。

 ラーディによると、米国で大幅な利下げが行われる一方、中国は利上げを続け、多くの余剰資金を引き寄せており、これが、ホットマネーの大量の流入をもたらしているという。

 彼の見解によると、中国にとって、金融政策は諸刃の剣である。為替レートの観点からは、低金利を維持すべきであるが、マクロ経済管理の観点からは、金利を引き上げるべきであるということになる。中国はいま、進退窮まる難局に置かれている。

 (08/02/28 10:03)  





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