【大紀元日本11月16日】北朝鮮当局は最近、南から飛来する「ビラ(対北ビラ)」に極度に神経を尖らせている。 過去には韓国政府レベルで北朝鮮にビラを撒布していたようだが、2004年 6月軍事境界線地域の宣伝活動仲裁の合議により韓国政府のビラは姿を消した。 現在のビラは韓国の民間団体が飛ばしているものである。
民間団体は水素やヘリウムガスを入れた大型風船にビラの塊りをぶら下げて北側に向けて飛ばす。 最近では 1ドル札を入れたりもするという。ビラの内容は主に金正日体制を批判し、大韓民国の優越性を強調する内容だという。 北朝鮮の政治犯収容所の実態, 拷問など人権蹂躙の問題と金正日の女性スキャンダルや家族問題, 健康問題などが主な内容。 また最近では、脱北者たちが体験した自由と人権の大切さについて書かれた文章なども含まれているという。
北朝鮮当局は数年前から何度も会談や電話通知文などでこのようなビラ撒布に抗議して来た。 しかし最近では単純な抗議レベルではなく、異常なほど敏感に反応しているようだ。
今年5月 30日、南北軍事実務会談で北朝鮮は「6.15共同宣言と 10.4宣言を履行するために双方が誓約した軍事的合議には、ビラ撒布を含むすべての心理戦を中止し、一切の敵対行為を終熄させるとあるはずだ。 李明博政府が軍部と右翼反共団体を利用して、我が国の体制と制度を悪辣に誹謗中傷する反共和国ビラ撒布行為を指図している」と非難した。
また10月 2日に開かれた軍事実務会談では、「(ビラ撒布が続く場合) 開城工団事業と軍事境界線を通る南側人員の通行を制限し, 開城と金鋼山地区内の南側人員の滞在を許可しない」としながら、韓国の南北合議履行状況と軍事訓練などを挙げて「南北関係を全面的に中断し、先制打撃をすることも考えられる」といった脅迫的言論まであった。
北朝鮮がビラ問題に対し、政府レベルで敏感になる理由は何だろうか。
北朝鮮専門家らは体制の再編が求められている北朝鮮にとって、空から大量に撤かれるビラは実に米国のミサイルよりも大きい脅威であると指摘した。 北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「北朝鮮で最も重要視される体制の結束力が、南から大量に飛んでくる宣伝物により崩れる可能性が出てきている。この事態が続けば軍部の立場が弱くなり、そのため軍部がこの問題に積極的に出ていると考えられる」ことを明らかにした。
北朝鮮の独裁体制と、それによる社会や経済に及ぼす副作用を明確に暴露したビラが、実際に北朝鮮体制にとって大きな脅威になっているため, これ以上見過ごすと深刻な事態を招くことになると判断しての行動のようだ。
北朝鮮住民がビラに接触できる地域もかなり広範囲に及んでいるようだ。 ビラは風に乗って黄海道, 開城, 金鋼山一帯はもちろん、平壌と原州まで飛んでいく時もあるという。
北朝鮮では風船あるいはビラを見つけた者は、真っ先に国家安全保衛部に報告しないといけないことになっている。 しかし住民らはビラを拾っては素早く読んだり、隠して家に持って帰って読んだりしているのが現状のようだ。
脱北者のキム・ヨンフン(37)氏は 「軍人時代にビラを数えきれないほど見て来た。 初めは反感があったが、徐徐に好奇心に変わり、しまいにはビラが飛んでくるのを毎日待ち望んでいた」という。
またソン・セチョン(43)氏は 「潜伏勤務や山に薪を拾いに行く時は、風船が飛んでこないのかと空ばかり眺めていた。韓国から送られてくるお菓子や缶詰で飢えを凌ぎ、生きて来られた」とその時期を思い出した。
北朝鮮では外部と徹底的に遮断されているため住民は外部の情報を待ち望んでおり、韓国から送られてくるビラは住民らが新しい情報を得る一つのツールとなった。最近では脱北者の中でも、相当数の者がこのようなビラから情報を得て韓国の実情が分かるようになり、今まで政府にだまされて来たという事実を知り、脱北を決心するようになった事例が多いことから、その影響力は確かに大きい。
そうなると北朝鮮当局も取締りを強化するのも必然である。このようなビラを「敵地物」と呼び、町内に回収箱を設置し、ビラを見つけると絶対保持しないで、素早く箱に入れるよう強要しているという。 住民に対する思想教育もいっそう強化され、ビラを他人に渡した場合死刑に処することもあるという。
しかしこのような強硬措置にもかかわらず、ビラの内容は最近急速に住民らの間に広がっているという。 政府がいくら統制しても新しい情報に飢えている北朝鮮住民を阻むには力不足であるようだ。一方、この現状は国民が北朝鮮当局の報道や発表をまともに信じていない、政府に不信感を持っているという有力な証拠でもあるのだ。
(大紀元韓国より)
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