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危機の中にある中国:職探しに疲弊する人々

 【大紀元日本3月9日】世界規模の経済・金融危機は、中国に深刻な打撃を与えており、輸出が大幅に減少した結果、数百万の中国人が職を失った。彼らのうち、打撃の矢面に立ったのは農民工であったが、雇用の危機に直面したのは彼らだけではない。若い大学卒業生もまた、職探しの困難に直面している。記者自身、北京の取材を通じ、危機の中にある中国の就職難の問題を実感したところである。

 ある冬の寒い日、北京の西、六里橋にある砂埃が舞う街道は、中国各地からの農民工でごった返していた。彼らは、薄くぼろぼろの服を身にまとい、穿き潰れた靴を履き、沿道に荷物を広げ、歩道で火を起こし、厳寒をしのいでいた。彼らが、この非公式の雇用市場を訪れた目的は、暖を取るためではなく、職を探すためである。河南省からやって来た34歳の張軍輝(音訳)は、記者に次のように語った。「金融危機が発生する前から、雇用圧力は非常に強くなっており、仕事を探すのは困難でした。私たちは学歴が低く、何の技術もありません。今回の事態は火に油です。他の都市にも行きましたが、状況は非常に深刻になっています」。

 中国政府の統計も、雇用情勢の深刻さを示している。約2000万人の農民工が職を失い、中国南方の工場では、就業機会が減少に転じ、北京の建設用地もこのような状況となっている。経済・金融危機は、中国の輸出量を激減させたばかりか、中国の不動産バブルを崩壊させた。六里橋で就業のチャンスを待つ農民工は、苦しい未来に直面していることを熟知している。周囲には締め付けるような雰囲気が漂い、人々は時に攻撃的となっており、未来に対する恐怖に覆われていた。

 河北から来た楊暉(音訳)は次のように語っている。「いま、私は全く仕事が見つかっておらず、非常に疲れています。今年の圧力はさらに強くなっていますが、私たちからすれば、これは生存への圧力です。私は一人ではありません。子供の学費を支払い、老人の面倒を見なくてはなりません。何にでもお金が要ります。故郷の農村ですと、家にはたった4、5ムーの農地しかなく、野菜を売っても大した収入にはなりません。だから、外で仕事をしなければ、家での出費を賄うことは不可能です」。

 群衆の間で、たまたま騒ぎが起こった。一台の車が人々の間をゆっくりと通りすぎると、窓が開き、仕事を紹介する紙が飛び出した。これに、数十人が押し寄せたが、オファーされた仕事は、いずれも建設工か工場労働であり、賃金は高くない。賃金は、昨年秋以来下落が続いており、一日約100元となっている。楊暉は次のように語る。「どれも(賃金が)安く抑えられています。しかし、それでも、誰かが必ずこれを引き受けるのです」。

 前途に懸念を持つのは、農民工だけではない。大学卒業生の状況も同じである。北京の東にある展覧場で開催された説明会には、1万人に上る若者が詰めかけた。彼らの大多数は、今年の夏に卒業予定の大学生であった。他方、約700の企業がホールにブースを設けたが、例年とは異なり、一部の大企業はこれに参加していない。

 あるレストランチェーン企業のブースに、学生数十人が集まっていた。彼らが履歴書を提出した後に、一次面接が行われる。この企業は、大規模な採用を行う唯一の企業であり、人事部の劉暁東(音訳)は、求職案内の束を前に、次のように語っている。「私たちが提供できるポストは100ですが、昨日の一日で受け付けた履歴書は、数百にもなります」。

 しかし、全ての企業が大学生を必要としているわけではない。ホールの片隅で、安徽省から来た23歳の大学生陸飛(音訳)は、職探しに疲れ果てていた。「私たちは卒業予定者です。多くの企業を回りましたが、彼らはみな、就業経験が必要だと言います。私たちにとって、この要求は高すぎると感じています」。

 陸飛は、北京の有名大学の学生である。この大学の名声だけで、過去においては、安定した職と高賃金が約束されていた。しかし、雇用市場の逼迫により、多くの大学生は、すでに期待値を下げている。陸飛は、中文科の学生である。彼は、簡単な文書整理業務を探しているが、努力すれば、臨時の職が見つかると信じている。

 今年において、約699万人の大学卒業生が雇用市場に溢れ出る。彼らが直面するのは、他の大学卒業生との競争である。昨年だけで、4分の1の卒業生に職が見つからなかった。河北省から来た学生・王娜によると、友人との間で、職探しが最も重要な話題となっており、ネットやショートメールでは、職が見つかったかどうかをお互い質問することが、挨拶代わりになっている。

 王娜などの学生には、今や選り好みは許されない。彼女によると、どんな仕事でも受けるとのことであり、月収が1500元~2000元もあれば十分だという。この数字は、建設工を担う農民工の収入にも及ばないが、学生らはハードルを下げるほかない。王娜は、求職状に、やむを得ない事情があれば、賃金の引き下げ、ひいてはただ働きをも受け入れると記載している。

 
(看中国より、翻訳・飛燕)


 (09/03/09 05:24)  





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