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リオ・ティント社上海事務所 (PHILIPPE LOPEZ/AFP/Getty Images)

リオ・ティント社、中国との鉄鉱石価格交渉を中止

 【大紀元日本9月8日】英豪系資源大手リオ・ティント社は4日、中国鉄鋼メーカーとの鉄鉱石価格交渉を中止し、今後「基準価格」で中国に鉄鉱石を供給していくと発表した。基準価格とは、今年5月に日本と鉄鉱石契約価格を前年度比33%引き下げることで合意した価格を指す。中国側は、40%以上の引き下げを要求していた。

 ヴォイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によると、リオ社鉄鉱石部門のサム・ウォルシュ最高経営責任者は4日、中国との価格交渉の中止を発表した。同氏は、7月に商業スパイ容疑および賄賂容疑で同社4人の社員が拘束されたこととは無関係だとしながらも「われわれは拘束された事実を忘れていない」と話した。

 計画性のない政府、混乱する鉄鋼業界

 中国経済誌「中国経済季刊」編集長・周博氏は、ウォールストリート・ジャーナル紙に寄せた論説「中国鉄鋼業の混乱局面の形成について」の中で、中国がリオ社に大幅な値引きを求めている理由として、中央政府が国内の鉄鋼価格をコントロールできず、省や市などの地方政府が握っているからだとしている。周氏によると、中央政府に計画性がないため、基準価格で輸入した鉄鉱石では、需要に間に合わない。従って、大量の鉄鉱石を国内の市場から購入しなければならなくなり、その価格は基準価格よりも倍以上高くなるため、価格双軌制(double-track price system)が発生することになる。このシステムは、一つのものあるいは製品に対して2つの相違する価格が発生することで、一つはあらかじめ制定された計画的かつ独占的な価格で、もう一つは、市場によって常に変化する価格だ。

 周氏は「日本や韓国では、鉄鋼産業は非常に計画的だ。中国政府の場合、計画があっても実行が伴わない。そのため、中国では国営企業と民間企業が低価格の輸入鉄鋼石で争うという局面をもたらした」と説明する。

 腐敗を招く価格双軌制

 周氏によると、国営企業は政府から優遇政策を享受しているが、分配体制が非常に乱れているため、国営企業と民間企業が低価格の輸入鉄鉱石で争う事態になっている。その結果、鉄鉱石輸入企業や国内鉄鉱石生産企業は収益を増加させたが、その一方で、鉄鋼メーカーが大きな損失を出している。また、鉄鉱石の分配システムが整っておらず、腐敗も蔓延している。

 情報不透明な中国鉄鋼産業

 中国側が「リオ・ティント社の社員がスパイ行為を行った」とする事件について、周氏は、その背景に外資系企業が直面する、中国国内の情報の不透明さがあると指摘する。多くの外資系企業は、中国で事業を展開する上で、ビジネスに有利な情報を入手することが困難だ。政府が発表する経済指標は信ぴょう性が薄いため、これらの情報が有価商品となり、外資企業はそれらに、お金をかけることがあるという。

 米国の「ワールドウォッチ研究所」(Worldwatch Institute)のレポートによると、1990年代の中国鉄鋼生産量は6600万トンしかなかったが、2008年には日本や米国を超えて約5億トンに達し、世界鉄鋼生産総量の38%を占めているという。同レポートによると、鋼とアルミは中国金属生産業および加工業において、最も重要な産業となっている。

(翻訳編集・張哲)

 (09/09/08 14:07)  





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