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12日、タワン地区のチメイ寺院(Chimmey Monastery)を訪れたダライ・ラマ。(DIPTENDU DUTTA/AFP/Getty Images)

ダライ・ラマ、インド・タワン訪問 中印関係が浮き彫りに

 【大紀元日本11月17日】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の、インド北東部アルナーチャル・ブラデーシュ州タワンへの訪問が、先週一週間にわたって予定通り遂行された。中印国境問題の紛争中心地帯である同地への訪問に、中国政府が激しい抗議を表明した。これに対して、インド政府は「ダライ・ラマが国内のどこに行くのも自由」とはっきりとした態度で臨んだ。

 ダライ・ラマは8日、インド北東部アルナーチャル・ブラデーシュ州を訪れた。酷寒にもかかわらず、地元タワンの住民数千人がダライラマを手厚く迎えた。ダライラマは、1959年にタワン地区を通って亡命していた経歴を思い出し、懐かしく感じると話した。

 ダライ・ラマのタワン訪問に対して、中国外交部の秦剛報道官は、「インドが中国の厳正な立場を顧みず、ダライ・ラマの中印国境紛争地帯の訪問を許可したことに、中国政府は強い不満を表明する」と述べ、また「ダライ・ラマが中国とインドの国境紛争地帯を訪問することは、中国を分裂させようとする本質を暴露した」とダライ・ラマを非難した。

 これに対して、ダライ・ラマは「今回の訪問には政治的な意味合いはなく、中国政府の批判は根拠がない」と強調した。訪問は、チベット仏教の教えを広め、人々と会うことが目的と説明している。

 インド政府は「ダライ・ラマは大切な賓客。国内のどこに行くのも自由」とはっきりした態度で臨んだ。一方、中国側の批判を和らげる試みで、海外記者が同州で取材することを拒否する規定を設定した。

 タワンはチベット仏教徒が住民の多数を占め、 1995年のチベット動乱でダライ・ラマがインドに亡命する際、最初に訪れた町。中国・チベット自治区に隣接し、1914年、チベット政府とイギリス領インド帝国の間でマクマホンラインと呼ばれる国境線が取り決められたが、1947年に共産党が実権を握った際、中国はこの国境線を否定した。1962年の大規模な武力衝突では、中国が当地にかなり侵攻した。25年後に統治領(territory)から州(state)へと改変された。

 今回のダライ・ラマの訪問は、両国関係を浮き彫りにするシンボルとなった。9日付け「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)中国語版の報道によると、中国現代国際関係研究院で南アジア問題を専門とする胡仕勝氏は、ダライ・ラマがこの敏感な時期に中国と領有権を争う北東部アルナチャール・ブラデーシュ州を訪問することは、インド政府の強い要請のためと分析している。インド政府はかつて、アルナーチャル・ブラデーシュ州の領土権に関して、ダライ・ラマの承認を求めたが、ダライ・ラマ側は沈黙を続けた。

 また、チベット支援団体の関係者は、チベットの独立はインド政府にとって、国境の安全に繋がる重要な課題と指摘している。「インド人は今回、チベット問題はインド問題と関係していると認識しただろう。中国当局がチベットを完全に掌握した場合、インドへの政治面、軍事面での中国からの圧力は多大になる」という。同氏によると、最近、中国は中印国境での基盤工事をマメに行っており、インド側は不穏に感じているという。

(翻訳編集/楊J・鶴田)


 (09/11/17 07:43)  





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