インド政府は最近、デリーに設置されている中国製監視カメラ約14万台を、4月1日から段階的に交換する方針を明らかにした。
公共事業局のパルヴェーシュ・シン局長は、中国の監視カメラ最大手「ハイクビジョン」製カメラを中心に置き換えを進めると説明し、「政府の最新指示および国家安全保障上の広範な考慮に対応する措置だ」と述べた。
シン氏は「市内の監視システムの大部分、とりわけ中国製の機器については段階的に廃止することを決定した」と強調した。
インド政府はすでに第1段階として5万台の中国製カメラの交換を承認しており、これを「明確な是正措置」と位置付けている。今後、既設の中国製機器は順次、安全性が確認されたシステムへと置き換えられる見通しだ。
デリーではこれまでに2期に分けて計27万4389台の監視カメラが設置されている。このうち、2020年9月から2022年11月にかけて導入された約14万台はすべて中国製。一方、昨年6月から今年3月に設置された約13万4389台は非中国製となっている。
これに先立ち、インド電子情報技術省は国家安全保障を理由に、厳格なセキュリティ認証(STQC)を受けていない監視カメラの販売を4月1日から禁止した。これにより、認証を得られない中国製ブランドは実質的にインド市場から排除されることになった。
企業はチップセットなど主要部品の原産地を開示し、サイバーセキュリティ試験に合格するとともに、不正な遠隔アクセスを防ぐ対策を講じる必要がある。
当局は、中国製部品(ファームウェアやチップセットを含む)を使用した製品については認証を付与しない方針で、認証を受けていない製品は国内での販売が認められない。
インド政府の新たな方針により、ハイクビジョンのほか、ダーファテクノロジー、ティーピーリンクといった中国系企業が大きな打撃を受けるとみられる。これら3社はインドの監視カメラ市場で大きなシェアを占めており、現時点でも中国製製品は販売全体の約3分の1を占めている。
中国製カメラ撤去の背景
インド政府は国家安全保障の強化、サイバーリスクの低減、中国製技術への依存脱却を目的として今回の方針を打ち出した。
ネットワーク接続型の監視カメラは遠隔操作が可能であるため、情報漏えいや監視リスクへの懸念が高まっている。
なお、今回の規制は2024年に導入された「基本要件(ER)」規範に基づくもので、企業には2年間の移行期間が設けられていた。移行期間の終了に伴い、新たな方針は2026年4月に正式施行された。
この2年間で市場構造にも変化が生じ、インド国内企業がシェアを拡大したほか、多くのメーカーが非中国製部品への切り替えを進めた。一部の中国企業は事業規模を縮小、あるいはインド市場から撤退している。
既に中国製監視システムを使用している場合、直ちに使用停止や撤去が求められることはない。ただし、今後のソフトウェア更新やアフターサービス、サイバーセキュリティ対応などにおいて、長期的なリスクが生じる可能性があると指摘されている。
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