THE EPOCH TIMES

何清漣:北京「対外宣伝計画」のベールをはがす

2009年12月09日 08時58分
 【大紀元日本12月9日】今年の1~2月頃から、北京当局の対外宣伝計画にまつわるニュースが絶えない。このニュースを最初に報道した香港の「南華早報」によると、中国政府は中共の国際イメージを改善するため、450億元を費やして中共支配下の主要なマスコミを国際化するという。また、今年の2月3日、国営通信・新華社に属する「環球時報」は「中国政府が国家広報活動を実施、450億元を費やす」と報じた。このニュースはすぐに新華ネットに転載され、「鳳凰週刊」2009年第7期にも転載された。対外宣伝、いわゆる「国家広報活動」はすぐに話題となり、450億元の使い道がとりわけ人々の目を引いた。

 450億元の大部分は、海外の中国語マスコミの買収に使われると海外の華人マスコミは期待していた。このニュースは海外で話題となったが、中共宣伝部は「450億元の対外宣伝」について言及してはならないと各マスコミに命令を下した。これが更に、中共宣伝計画の“神秘性”を増す結果となった。実際には、この巨額の金はすでに設立された中共の「対外宣伝系統」を強化することに用いられ、即ち、中共の対外宣伝マスコミを現地化するために使われるのだ。

 「対外宣伝計画」の主題:「話語権」を奪取

 2008年の北京オリンピック前、チベット弾圧に抗議する人たちが聖火リレーを妨害するという事件を目の当たりにした中共は、中国政府の国際的なイメージが傷ついたと考えた。これらの事件から汲み取った教訓は、人権状況の改善を図ることではなく、国家イメージを改善することが必要だと中共は思い込んだ。国家広報活動に資金を投入し、中共の人道に反する価値観をうまく飾り立てることができればよかったのだ。

 従って、「話語権(言葉を先に発することで世論をリードすること)を奪取すること」がこの計画のキーワードとなった。中共の構想によると、計画の第一歩は海外に新しいマスコミを作り、海外オフィスの増設および外国語スタッフの募集を行い、海外への進出を図ることである。これは主に、すでに設立された新華社、中国新聞社、中国国際放送局、中央テレビ衛星放送、中国日報などのマスコミと、中国外文局(中国外文出版発行事業局)の刊行した数十種類の刊行物を利用して行われる。その中でも、新華社は海外に最も影響力を持つ中国共産党系のマスコミだ。中共当局のマスコミとして、新華社は海外に186の支社を設立し、ほとんどあらゆる国家をカバーしている。アルジャジーラ・テレビ局のようなグローバルなニュースチャンネルを開設するのが新華社の近い将来の目標の一つである。

 これらのマスコミは各自の機能を持っている。たとえば、日報が報道を、ラジオ局が評論を、テレビ局がパフォーマンスを、雑誌や書物などが解釈やミスリーディングを担う。

 対外宣伝計画の中核:中国外文局

 中国の対外宣伝機構の中で、あまり知られていないのが「外文局」である。外文局は、1949年10月1日に設立され、当時の名称は中央人民政府新聞総署国際新聞局であり、中共外交界の大物・喬冠華(チョウ・クワンファ)が一期目の局長に就いた。対外宣伝の主要機構として、外文局の主な仕事は中共指導者の著作、政府公告、政策ファイル、国情紹介、中国文学作品と中国語の雑誌を外国語に翻訳することである。

 外文局が設立されて以来、これまで43種の言語で、13億冊近くの書籍が出版され、世界180カ所あまりの国と地域で発行された。業務内容は文書の翻訳、編集、出版、印刷、発行、ネット上の宣伝、世情研究などの領域におよぶ。特に、外文局が手掛けた出版物は、中国の出版物輸出総量の5割以上を占める。各種の言語で出版される主力刊行物は「北京週報」、「人民画報」、「今日中国」、「人民中国」などがある。同局に名を連ねる人物は、中国文化界の大物や、中共が「国際的な友人」と呼ぶ、いわゆる諸外国の左派の人たちも少なくない。

 外文局の出版物は、全て中共政府が購入し、各国の中国大使館や領事館を通じて、政府要人や各界のエリートに配られる。例えば、「北京週報」は北米の国会議員と各地の図書館に寄贈されている。

 対外宣伝刊行物を「現地化」

 2004年から、中国外文局は対外宣伝刊行物の「現地化」を始めた。2004年10月、雑誌「今日中国」は、中東のカイロとラテンアメリカのメキシコシティに支社を設立した。同雑誌のアラビア語とスペイン語版が、現地で発行された。いわゆる「対外宣伝刊行物の現地化」とは、現地にいるベテランのマスコミ関係者と、現地の官僚を顧問として雇い、中国雑誌の企画やテーマ選択に参与させる。また、現地で主流のマスコミに影響力を持つ人を雇って雑誌に寄稿させ、彼らの口を借りて中国政府の言論を伝える。巧みに飾り立てられた現地の有名人の文章は、現地のマスコミにも引用され、中共の宣伝効果が増す。現在、「今日中国」はラテンアメリカにペルー版、ブラジルにポルトガル版の出版を企画している。2007年までに、外文局はすでに24種類の刊行物と27種類のネット版を発行し、182カ所の国と地域におよんでいる。

 ロシア、韓国、ベトナム、ミャンマー、ラオス、タイ、モンゴルおよび中央アジア5カ国に対する雑誌は、「ポタラ」(チベット語)、「金橋」(韓国語)、「大陸橋」(ロシア語)、「蓮の花」(ベトナム語)、「パートナー」(ロシア語)、「吉祥」(ミャンマー語)、「メコン川」(タイ語)、「ソロン」(モンゴル語)、「センバー」(ラオス語)、「友邦」(カザフスタン語)などがある。

 これらの状況を知れば、450億元がどこに流れていくのか分かるはずである。世界各地に散在している、中共に媚びへつらう中国語マスコミは、自分たちのところに資金が流れてこないことを嘆くしかないだろう。

 中共の「対外宣伝」は、中共のイメージを改善することできるのか?

 上述のことから、中共の対外宣伝は今年初めて企画したものではなく、中共が政権を獲った時点から始まっていたのだ。改革開廟xun_ネ来、中共は自分のイメージを飾り立てることをより重要視している。1980年、中央政府は対外宣伝チームを設立し、90年代になって国務院新聞オフィスを設立。対外宣伝に関わるあらゆる事項を一括管理した。

 一方、現在になっても、中共の対外宣伝活動はずっと相手にされないままの状態にある。新華社の海外の顧客は1450件以上に上ったが、依然として国際主流社会に受け入れられていない。中共のマスメディア学者である李希光氏は次のように話す。「現在の状況から見ると、中国の対外宣伝物は国際主流社会に入りにくい。特に、西洋の主流社会には入れない。一部の海外ホテルでは中央テレビの中国語番組を見ることができるが、中央テレビの英語番組はほとんどない。新華社の記事は、めったに現地のマスコミに引用されない。たとえ引用されてもほとんどネガティブに引用される。このような引用は通常、中国のイメージをダウンさせている」

 ヒトラーはかつて、宣伝効果に対する非常に印象的な発言を行った。「宣伝の任務は、物事の正しさにあるわけではなく、われわれに不利な事実の報道をしてはならない。逆にわれわれに有利な情報を繰り返し報道・宣伝すべきだ」。中共が大量の資金を投じて対外宣伝系統を打ち立てることは、中共本来の姿ではなく、中共が飾り立てたイメージを、国際社会に認識してほしいからである。これについて、アメリカの「キリスト教科学箴言報」は「中国の国家イメージは重要であるが、それよりもマスコミ自身のイメージがより大事である。中国政府の対外宣伝が成功を収めたいならば、マスコミにより大きな自由を与えるべきで、もしマスコミが信頼性を失ったら、中国政府のイメージを改善できるどころか、悪くする一方だ」と指摘している。

 ※何清漣(か・せいれん):米国在住の中国人経済学者。中国ではジャーナリストとして活躍し、1998年に政治経済学の視点から中国社会の構造的な病弊と腐敗の根源を衝く『現代化的陥穽』(邦訳:『中国現代化の落とし穴』)を出版した。その著作のために当局から弾圧され、2001年に中国を脱出し、アメリカへ渡った。

(翻訳編集・張陽)


関連キーワード
^